社会的孤立感が高く“寂しい”人は「つい食べてしまう」という研究結果

Starving,Upset,Hungry,Cute,Caucasian,Millennial,Woman,Sitting,In,Bed
 

社会的孤立の強さによって食生活に関連する脳の働きが異なってくるという実験結果があります。今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』では、その結果を紹介し、孤独感と食行動の関連を解説しています。

孤独と食事に関連する脳の働き

◎要約:『社会的孤立感は食事に関連する脳の反応に影響し、これが食行動に関する不適応の背景となっている可能性がある』

社会的な孤立はパンデミック期間中において、精神状態悪化の主要な原因であると指摘されてきました。

今回は、食事に関連する脳の働きに関して、孤独感の影響を調べた研究をご紹介します。

Social Isolation, Brain Food Cue Processing, Eating Behaviors, and Mental Health Symptoms

社会的孤立、脳の食物刺激処理、食行動、精神症状

アメリカのロサンゼルスにおける研究で、閉経前の女性93人(平均25.38歳)が対象となりました。

孤独感や食行動等についての調査と、脳の機能的画像検査を行い、関連性を調べています。

結果として、以下の内容が示されました。

・実感されている社会的孤立が強いグループでは、比較的体脂肪率が高く、食事の質が低下しており、食行動の不適応(渇望、報酬希求の強い形態、制御困難、依存性)、精神状態の悪化(不安、うつ、抵抗力低下)が生じていました。

・社会的孤立感の強いグループでは、食事に関する刺激への脳の反応が、デフォルト・モードに関する領域(ぼんやりしている時に活動する領域)、遂行制御に関する領域、視覚的注意に関する領域で変化していました。

・甘いものに対する脳の反応の変化は、食行動の変化や精神症状の変化と関連していました。

・脳の反応の変化は、社会的孤独感と食行動の不適応との関連を仲介してしました。

孤独感と食行動との関連性は、「さみしい気持ちの時に食べてしまう」という現象で感じられるかもしれません。

脳の反応として客観的変化が生じている点が興味深い内容でした。

image by: Shutterstock.com

もりさわメンタルクリニックこの著者の記事一覧

もりさわメンタルクリニックが発行する精神医学論文に関するマガジンです。最新の論文を主としておりますが、テーマを掘り下げてやや以前の論文を振り返ることもあります。毎日1本の論文を取り上げて要約をお伝えします。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 精神医学論文マガジン 』

【著者】 もりさわメンタルクリニック 【発行周期】 日刊

print
いま読まれてます

  • 社会的孤立感が高く“寂しい”人は「つい食べてしまう」という研究結果
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け