世界的エンジニア中島聡氏に「10年後は人工知能が“子どもを育てる”時代になる」と確信させた一本の動画

Asian,Child,Smile,Learning,With,Touch,Screen,On,Computer,Tablet
 

日本時間5月14日の未明にOpenAIが発表した最新のAIモデル「GPT-4o」。その著しい進化が大きな話題となっています。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では世界的エンジニアとして知られる中島聡さんが、GPT-4oのデモを見て「10年後の教育が全く異なるものになっている」と確信した理由を解説。さらに現代という激動の時代に身につけるべきスキルについて、自身の思うところを綴っています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:AIが可能にする個別教育/激動の時代に本当に必要なスキル

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

勉強以外の相談にも乗ることも可能。GPT4oの登場が変える10年後の教育

OpenAIによるGPT4oの発表を見て、一番心に残ったのは、GPT4oを使って子供が学ぶ場面です(GPT-4o (Omni) math tutoring demo on Khan Academy)。この件には、少し前から気がついていましたが、今回のデモを見て確信に変わりました。10年後の教育は、今とは全く異なるものになっています。

子供の教育には、手間もコストもかかります。勉強が嫌いな子、一つのことに集中できない子、数学や科学は大好きだけど漢文や古文は大嫌いな子、頭は良いけど飽きっぽい子、親や先生の言うとおりにすることが格好悪いと思っている子、自分がなんでも分かっていると勘違いしている子、そんな様々な子供たちを、30人、40人集めて、「教室」という箱の中に入れて画一的な授業をすることは簡単ではありません。

どんなに優秀で熱心な先生でも、様々な性格の生徒全員を把握し、それぞれに適切な指導をすることなど絶対にできません。先生にも生活があるので、24時間子供達のことを考えていることは出来ないし、彼らの質問に答えることなど出来ません。

AIならばそれが可能です。AIならば、子供達の異なる性格・能力を把握し、それぞれの性格や進み具合に応じて、個別指導をすることも可能です。褒めると伸びる子は褒め、勉強が嫌いな子には遊びを通じていろいろなことを学んでもらいます。24時間、いつでもどこでも子供達と対話ができるし、勉強以外の相談にも乗ることが出来ます。

子供が夢中になって遊んでいるオンライン・ゲームに、パートナーとなって参加することも可能だし、TikTokでいいねがいっぱい付く映像作りにも協力してくれます。楽しい時には一緒に笑ってくれるし、辛い時、悲しい時には、寄り添って慰めてくれます。AIがいれば退屈なんてなくなるし、遊びと勉強の境がなくなります。

大昔の映画に『メリー・ポピンズ』という、子供達にとって理想的なナニー(ベビーシッター)を描く映画がありましたが、まさにそんな存在にAIがなってくれるのです。

人類の長い歴史の中で、犬や猫は私たちのコンパニオンとして、重要な役割を果たしてくれましたが、そこにAIが人類の新たなコンパニオンとして参加する時代が来ようとしているのです。

私がこんなことを言うと、あまりにも現実離れしていて、「そんな世界が来るはずがない」と感じる人が多いと思いますが、それは大きな間違いです。この先、AIがどんな進化を遂げるのか、遂げるべきなのかが、私には、そして当然ですが、OpenAIの研究者・エンジニアたちには、はっきりと見えているのです。

それを「AGI」と呼ぶかどうかなんてどうでも良いのです。GPT3から、GPT3.5、GPT4、GPT4oと進化して来たその延長上に、そんな人生のコンパニオンになりうるAIを作ることは、決して不可能ではないことを、今回のGPT4oのデモは見せてくれたのです。

この記事の著者・中島聡さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 世界的エンジニア中島聡氏に「10年後は人工知能が“子どもを育てる”時代になる」と確信させた一本の動画
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け