単なる「客寄せパンダ」か?報じられぬゼレンスキー“電撃訪米”のウラ事情

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12月21日にアメリカを訪れ、米連邦議会で演説を行ったゼレンスキー大統領。なぜウクライナのリーダーは、このタイミングでの訪米を敢行したのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田さんが、ゼレンスキー氏の電撃的米国訪問の裏側を推測。さらに当紛争のカギを握っているにも関わらず目立った動きを見せない「とある国」の実名を挙げるとともに、彼らの思惑を分析・解説しています。

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ポーランドが握るウクライナの運命。ロシアとウクライナで大きくずれたEndgameのかたち

「クリミア大橋を爆破されたことで、プーチン大統領とロシア政府のredlineを超え、プーチン大統領はウクライナを徹底的に叩きつぶす決意を持った」

2022年10月8日早朝に、ロシアにとって“クリミア解放のシンボル”と捉えられていたクリミア大橋が何者かによって爆破されました。

ウクライナ軍の特殊部隊によるものではないかとの見解が当初示されていましたが、直前の映像では橋の下にアプローチしてくる小さな船舶の姿も確認できました。

クリミア大橋爆破の主犯がウクライナ軍の特殊部隊であろうと、イギリス軍の特殊部隊の仕業であったとしても、プーチン大統領にとってはどうでもよく、彼にとって重大なのは、自らのレガシーでもあるクリミア大橋を誰かが爆発したというfactです。

このショッキングな事件を機に、ロシアの対ウクライナ戦術はレベルアップされました。それが今、起こっているウクライナ国内の電力網や石油備蓄施設をはじめとする“生存のためのインフラ”を徹底的に破壊するという攻撃です。

以前から継続しているように天然ガスパイプラインは途絶させ、発電所や送電網をことごとく破壊し、主な補給路を断ち、輸送網も麻痺させるという、徹底的な攻撃で国民を飢えと寒さに晒して抗戦意欲を割くという冷徹な作戦です。

ウクライナ側もロシアの空軍基地への無人ドローンでの攻撃を加えるという、ついに一線を越えることで、ロシアによる攻撃に屈しないとの意思を明示していますが、ロシアによるウクライナ国内の生活インフラへの徹底攻撃は止んでいません。

それゆえに、ゼレンスキー大統領は戦闘中にもかかわらずワシントンDCを訪問し、抗戦のための大規模な軍事支援を依頼しに行ったわけですが、彼が得たのは何だったでしょうか?

1基のパトリオットミサイルとミサイルに装着可能な誘導システム、そしてハイマースなどの拡充などがパッケージに含まれました。パトリオットミサイルをアメリカが供与することが事前に情報として出てきた際には、パトリオットミサイルがゲームチェンジャーになるのではないかとの期待にメディアなども溢れていましたが、実際にはたったの1基のみというニュースに私は個人的にとても驚きました。

ちなみに同盟国か否かというステータスの違いはあるものの、確か我が国日本を守るパトリオットミサイルは18基(計36発)あり、日本列島のいたるところで攻撃に対して目を光らせています。

ウクライナの場合、この1基のパトリオットミサイルはどこに配備され、どこを守るのでしょうか?キーウ?ハルキウ?ヘルソン?それとも…。

現在、ロシアが仕掛けているインフラへの徹底的な攻撃は精密な誘導ミサイルを用いたものであり、主眼は補給路の破壊とインフラ施設の破壊ですが、補給路を優先するならばリビウ周辺、インフラ施設だと大都市圏ということになるのでしょう。

具体的な配備の場所や体制についてはまた明らかになるでしょうが、私が抱く大きな疑問はなぜこんな中途半端な支援獲得のために、ゼレンスキー大統領はウクライナを物理的に離れたのかです。

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