投資でお金持ちになる人と、無一文になってしまう人。この差はどこにあるのでしょうか?今回は 投資に失敗する人が起こしがちな判断ミスについて、心理学的アプローチから解説いたします。(『神岡真司の人生逆転の心理術』)
※本記事は有料メルマガ『神岡真司の人生逆転の心理術』2022年1月3日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
ビジネス心理研究家。日本心理パワー研究所主宰。法人対象のモチベーショントレーニング、組織活性コンサルティング、心のパワーアップセミナーなどで活躍。著書に『思い通りに人をあやつる 101の心理テクニック』(フォレスト出版)、『苦手な相手に勝つ実践切り返し術』、『必ず黙らせる「クレーム」切り返し術』(日本文芸社)、『効きすぎて中毒になる 最強の心理学』(すばる舎)など多数。
人には「損失回避」という本能がある
「値上がりしそうだ」と予想した銘柄の株を購入したら、たちまち値下がりしはじめた——といった場面がよくあります。
こんな時、多くの人は「損切り」で売却するのを忌避し、「そのうち、また上がるはずだ」などと希望的観測で様子見に入ります。
その後、ズルズル値下がりするのを見続けて、ついには売るに売れない「塩漬け株」にすることがよくあるのです。
投資したお金も低額のままにロックされ、他の有望株を見つけても、投資の余裕がなくなっている状態です。
なぜ、こうした行動をとってしまうのでしょうか。
それは、人が「損失を回避したい」本能に支配されているからと言えます。
「10%値下がりしたら損切りして売る」とルールを決めていても、売却で10%の「損失額」を確定したくないため、売りたくなくなるのです。
これが有名な「プロスペクト理論」です。「損失回避の法則」とも呼ばれます。
人は、目先で株が10%値上がりしただけでも、早く売って利益を確定したくなり、10%値下がりした時には、今度は「損失」を確定したくないので売りたくなくなるのです。
この理論は、2002年にノーベル経済学賞を受賞して一躍脚光を浴びた行動経済学者で、プリンストン大学のダニエル・カーネマン教授が実験で明らかにした法則です。
たとえば、ギャンブルで損失が大きくなると、イチかバチかの大勝負に出たくなるのも、赤字続きの事業をなかなかやめられなくなるのも、こんな心理が背景にあるからなのです。
株式投資の初心者は、大抵この「プロスペクト理論」に呪縛されているといわれます。
王道は「長期・分散・積立」
投資の王道は、「長期・分散・積立」といわれます。
株式投資の初心者は、目先の利益を追おうとして、四六時中株価が気になって頻繁に売買を繰り返しがちです。
1日中、株価ボードを眺めていられるデイ・トレーダーでもない限り、こうした短期売買ではリスク大となり、なかなか利益は上げられません。
往々にして、「プロスペクト理論」に呪縛されるのです。
投資はじっくり腰を定めて「長期・分散・積立」の構えで行わないと、うまくいかないもの——ということなのです。