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日本も超格差社会に突入…6人に1人が貧困に喘ぐも、働かない富裕層がさらに豊かになっている=鈴木傾城

政府が無能すぎて貧困層は困窮していくばかり

これはもちろん、日本人も他人事でも何でもない。経済格差は根本的にはグローバル経済の仕組みが加速させているものだから、グローバル経済に飲み込まれている日本も後を追っている。

日本では少子高齢化が進んでおり、これによって社会保障費が逼迫して、政府は何が何でも税金や社会保険料を絞りとろうと躍起になっている。すでに実質的な国民負担率は5割を超えている。

おりしも2020年にパンデミックが起きて、それが終わったと思ったら今度は物価高が襲いかかってきて、貧困層は困窮していくばかりである。それなのに、政府は無能すぎて何ひとつ経済問題を解決できないので、政治不信も極まっている。

すべての世帯人員を、等価可処分所得の少ない順番に並べたときに、ちょうど中央に位置する者の金額のことを「等価可処分所得の中央値」と呼ぶ。2021年のデータでは、その金額は約254万円だった。

この254万円の半分の値である127万円以下を、日本では「相対的貧困」と呼ぶ。

2021年の日本の相対的貧困率は15.4%である。これは日本人口の6人に1人が相対的貧困であることを意味する。高齢者の貧困も深刻だが、非正規雇用で使い捨てにされている若者たちの貧困もまた目を覆いたくなるものがある。

貧困層の中でも極貧の中の極貧の若者たちは、もうアパートやマンションに住むこともできなくなってしまって、シェアハウスやネットカフェに寝泊まりするのも「見慣れた光景」になってしまった。

「働けど働けどなお我が暮らし楽にならざり。じっと手を見る」という、かつての石川啄木のような人が出てきて、日々の生活に苦しんでいる。

働かない富裕層がもっと豊かになる仕組み

ところが、この日本でも富裕層は増えている。さらに富裕層の保有する資産額も上昇している。彼らは労せずして資産を増やした。昼間はヨット遊び、夜はパーティー遊びに明け暮れて、必死で働いているように見えない富裕層もいるが、こういう富裕層も資産が桁違いに増えていく。

なぜ、そんなことになるのか。

それは、労働で得るリターンよりも、金融資産という「カネでカネを生む」リターンのほうが大きいからだ。

貧困層の所得が減っていくのは貧困層が怠けたからではない。働く場が減り、企業が賃金を減らし続けているからだ。では、なぜブラブラ遊んでいる富裕層の資産が増えるのか。

別に富裕層は貧困層のまったく知らない極秘のトリックを使っているわけではない。ただ単に、金融資産(主に株式や不動産)を買って、それを保有しているだけである。わかりやすくいえば、労働でカネを増やしているのではなく、資産でカネを増やしているのだ。

たとえば、年収300万円の層が無遅刻無欠席で必死で働いても1年間で300万円を貯めるのは数字的に不可能だろう。生活もあるのだから、300万円もらって300万円を全部貯めることなどできるわけがない。

しかし、富裕層は別に300万円くらいはたいしたことがない。1億円の資産があるのであれば、それを年3%以上の配当をくれる株式やETFや債券を買っておけばいい。米国株式市場では年配当3%の株式なんかごろごろある。日本株でも探せばある。

他に何もしなくてもいい。そこに投資して、ただ何もしないで保有しておく。たった、それだけのことで年間300万円が手に入る。

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