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「1ドル=1200ウォン」突破で見えた韓国経済の瓦解。米韓スワップ終了で歯止めかからず、文在寅政権の余命は米国の気分次第

年初から韓国の経済危機が表面化。ついに1ドル=1,200ウォンの水準を超えた。韓国政府が絶対に死守したかったラインが一時的にでも破られた意味は大きい。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)

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※本記事は有料メルマガ『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2022年1月9日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

ついに「1ドル=1,200ウォン」のラインを一時突破

正直、この時期に1ドル=1,200ウォンのラインを超えるとは考えていなかった。3月の利上げまでには動いてくると想定していたが、市場はそれよりももっと速く反応した。

この理由について、韓国メディアは過去最高の607億ドル貿易額であったのに、輸入が613億ドルほど増えて貿易赤字になったことが原因であると報じている。

輸入が増えた理由は、主に冬場のエネルギー・資源価格の高騰である。韓国は組み立て工場なので、輸出が増えれば、中間財や資本財の輸入も増加する。そうでないと完成品が作れないからだ。

例えば、コロナ禍の初期、中国の工場が操業停止して、韓国の自動車メーカーが部品が届かなくて操業中止に追い込まれたことがあった。自動車は様々なパーツを組み合わせて生産されている。しかも、主要な部品は海外からの輸入である。

そして、ここで問題が発生する。ウォン安になればなるほど、輸入価格が上昇するということだ。しかも、これまでの適正範囲レートは1ドル=1,100~1,150ウォンだったが、現在のエネルギー・資源価格の高騰によって、このレートでも貿易赤字になっている。1ドル=1,200ウォンの為替レートなら、さらに輸入額は上昇する。

貿易赤字がウォン安を呼び、そのウォン安が貿易赤字を拡大する。その悪循環である。

すでに、韓国はウォン安が有利という輸出構造をしていない。そのため、ウォン安の恩恵もほとんど得られない。

ウォンが下がり続ける状況は非常にまずいということだ。

韓国政府はウォン安を止められない

これ以上のウォン安は韓国輸出にとって圧倒的に不利である。

ならば、ウォン安を止める必要がある。それが「ドル売り介入」なわけだが、韓国銀行はドルを無限に持っているわけもなく、ただでさえ、米韓通貨スワップ協定を2021年末で打ち切られた状況だ。

ドルを調達する手段はそれほど多く残されていない。韓国の輸入銀行や、サムスン電子、韓国人の年金といったところだろうか。

しかも、いくら介入しても、通貨のレートを固定させるのは難しい。いずれ、それらのドルも尽きてしまう。

他にも、いくら使えるかわからない外貨準備高4,631億ドルなどがあるが、実際、すぐに介入で使えるドルは1,000億ドルあれば良い方だろう。あとはほとんどが換金の難しい有価証券だ。

そもそもの問題が米国の利上げなら、韓国は年内3回ほど予定されている利上げをどう乗り切ればいいのか。昨年も触れたが、韓国も政策金利を引き上げるという手ぐらいしか残されてない。

しかし、それは家計や企業の借金を増加させる行為であり、結局、経済破綻に近づいてしまうという。

だから、韓国にできることは、市場が利上げというものを織り込んで、ウォンの価格が安定するのをただ待つだけである。

ここ数ヶ月は米国のインフレがこれ以上、加速化しないことを祈るだけ。資源やエネルギー価格の高騰が収まり、貿易収支が黒字化できることをただの願うだけだ。

もはや韓国経済は、米国の気分次第で簡単に吹き飛ばされてしまう。

Next: 韓国の市場関係者は「ウォン安は長期化しない」とたかを括っているが…

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