fbpx

米国で失業給付が終わっても「働かない人」続出の異常事態。労働力不足とサプライチェーンの寸断が世界恐慌の引き金に=高島康司

世界経済危機の引き金となりうる複数の事態が同時進行している。しかし、注目されている中国「恒大集団」破綻や米政府「債務上限引き上げ」問題などは大きな危機にはならないだろう。一般的に危機の本格的な引き金になるような事態は、誰も想像だにしていなかったブラックスワン的な出来事である。それは、世界中で起きている説明のつかない「労働力不足」だ。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2021年10月1日の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

※毎週土曜日or日曜日16:00からLIVE配信予定「私たちの未来がどうなるか考える!メルマガ内容の深堀りと視聴者からの質問に答えるQ&A」世界中から情報を収集、分析し、激変する私たちの未来を鋭く予測する『ヤスの備忘録』でおなじみ、ヤスこと高島康司さんのライブ配信が大人気。世界の未来を、政治経済の裏表だけでなく、歴史、予言、AI、陰謀、スピリチュアルなどあらゆる角度から見通します。視聴方法はこちらから。

世界経済危機を引き起こす「爆弾」が同時に出現

いま、近い将来に世界経済危機の引き金になるかもしれない、いくつかの事態が同時進行している。問題が本格化すると、そのどれもが深刻な経済危機の原因となりかねない事態だ。

それらは、中国の大手不動産「恒大集団」の破綻、米債務上限引き上げ法案の可決失敗とアメリカのデフォルト、そして労働力不足によるサプライチェーンの寸断と、コントロールの効かなくなりつつあるインフレだ。

これらの動きを見ると、我々は明らかに2019年くらいまでとは大きく異なる、コロナ以後の状況に生きている。まずはこれらの個別の問題を見てみよう。

「恒大集団」破綻懸念と金融危機

まず注目されているのは、「恒大集団」の破綻懸念だ。「恒大集団」は中国第2位の不動産開発会社である。中国南部の中核都市・深センに本拠地がある。

ここは中国で根強い不動産ブームを背景に、マンション建設で急成長し会社だ。いまは中国本土の第2と第3の都市で約1,300のプロジェクトを手掛けている。直接雇用の従業員は20万人おり、開発プロジェクトのために毎年雇用される労働者は400万人に上る。また、プロサッカーチームの経営、電気自動車の生産などの方面に経営を多角化している。

しかし、昨年の12月31日、かねてから過熱していた不動産バブルを抑制する目的で、中国の金融監督当局は「21年1月から銀行の住宅ローンや不動産企業への融資に総量規制を設ける」と発表した。 これを受けて「中国人民銀行」は、不動産市場の安定に向けて、不動産開発業者の負債規模に応じて新規の銀行融資を制限する資本調達規制を全面適用した。

銀行からの過剰融資に依存して発展した「恒大集団」は、このあおりを受け破綻の危機に直面している。負債総額はなんと33兆円だ。「恒大集団」は資金の一部を社債で集めている。「JPモーガン」など欧米系の金融資本がこれを大量に保有していることから、「恒大集団」の破綻は第2のリーマン・ショックを引き起こすのではないかと心配されている。予断を許さない状況だ。

また、販売した金融商品に対する利払いが滞り、投資家らが抗議活動を続けている。安徽省では「恒大集団」と投資家の話し合いが持たれ、利払いなどの交渉を開始した。一方、広東省では地方政府の建設局が「恒大集団」に「収入のすべてを送金せよ」と指示する通知を出すなど、事態の収拾に向けた動きも出始めている。

しかし、これだけの規模の「恒大集団」が破綻した場合、それはまさに、2008年のリーマン・ショック規模の世界的な金融危機をもたらす可能性も否定できない。

どうなるのか、世界が注目している。

Next: 米政府「債務上限引き上げ」法案が失敗に終われば金融危機へ

1 2 3 4 5
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー