■ナック<9788>の業績動向
2. セグメント別の動向
(1) クリクラ事業
売上高は8,161百万円(前年同期比4.6%増)、営業利益は903百万円(同3.8%増)と増収増益となった。なお、販管費には前期に子会社化したコンビボックスに係るのれん償却額13百万円を含む。計画比で売上高は1.7%未達だったが、営業利益は20.4%超と計画を達成した。定額かつ安価で利用可能な浄水型ウォーターサーバーの需要が引き続き拡大するなか、長期ビジョン2035における同社の目指す姿であり、戦略でもある「顧客へのラストワンマイルを最大限に活用してLTV最大化」を実現すべく、配送員の教育体制を強化したほか、営業ツールを刷新した。直営部門では宅配水「クリクラ」での1顧客当たりのボトル消費量の増加や、配送員の教育効果による解約率の低下などが奏功し、売上高は同0.9%増の5,260百万円を確保した。加盟店部門では、新規顧客獲得のためのキャンペーンや旧型サーバーからの切替促進施策が奏功したことで加盟店向けのサーバー販売台数が増加し、売上高2,493百万円(同4.7%増)となった。オンライン販売中心の小型浄水型ウォーターサーバー「putio(プティオ)」を扱う「その他」部門では、需要拡大が続くなか顧客獲得が好調に推移し、売上高318百万円(同79.6%増)と増収となった。クリクラ事業の東北地方の主要拠点となる子会社のコンビボックスは、連結後も業況は堅調に推移し、売上高304百万円を確保し増収に寄与した。利益面では「putio」の顧客件数増加に伴いサービス用品費(サーバーのリース料金)が増加したものの、増収効果が上回り増益を確保した。
直営部門での解約率低下の要因としては、以前から実施している副商材の販売が好調なことや、配送員の教育体制強化といった施策が挙げられる。前者については企業と提携し、話題性の高い商品を顧客限定価格でクローズド販売するなどの施策を行っており、好評を博している。後者については動画教育ツールの活用によるスキルアップを図っているほか、ナンバーワンの配送員を選ぶコンテストを企画するなど、配送員のモチベーションアップにつながる施策を展開している。
(2) レンタル事業
売上高は8,908百万円(前年同期比0.4%増)、営業利益は625百万円(同15.7%減)となった。販管費には(株)キャンズ及び2025年8月に子会社化した(有)ダスキンヤマナカに係るのれん償却額6百万円を含む。計画比では売上高は3.2%未達、営業利益は16.6%未達となった。ダスキン事業は、売上高6,753百万円(同1.6%増、ダスキンヤマナカ分の売上高1百万円を含む)となった。ダストコントロール部門では前年同期比で顧客件数が減少したものの、ケアサービス部門及びヘルスレント部門においては2025年3月期までに出店拡大してきた店舗の売上高が順調に推移し増収につながった。特にケアサービス部門では、前期より注力しているアウトバウンド営業が奏功しており、こちらも増収要因となった。一方、害虫駆除器「with」を取り扱うウィズ事業は売上高1,076百万円(同2.3%減)となった。コロナ禍後に主として飲食業界において堅調に顧客獲得を進めてきたが、ここにきて一服感もありほぼ前年同期並みの水準で着地した。法人向け定期清掃サービスを提供する(株)アーネストでは、日常清掃業務において大口案件の解約もあり、新規やスポット案件の受注を進めたもののカバーできず、売上高は947百万円(同2.3%減)となった。賃貸物件等の現状回復工事等を行うキャンズでは、ナックの法人営業部との連係による事業拡大を図ったものの、受注が伸び悩み売上高は219百万円(同5.0%減)となった。利益面ではダスキン事業における新規出店や各部門での受注獲得に向けた販促費が増加したことにより、減益での着地となった。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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