2026年5月19日に発表された、株式会社キューブシステム2026年3月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
エグゼクティブサマリ
中西雅洋氏(以下、中西):株式会社キューブシステム代表取締役社長執行役員の中西です。本日はお忙しい中、株式会社キューブシステムの2026年3月期通期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。本日は、2026年3月期実績、「VISION2026」達成に向けた取り組み、そして2027年3月期業績予想についてご説明します。
まず、全体のサマリーです。前期の2026年3月期は「VISION2026」第2次中期経営計画の2年目にあたります。
今期は、「VISION2026」の最終年度として、これまで続けてきた成長基盤の整備に加え、企画型ビジネスへの変革を一層加速することで、飛躍的な成長を目指しています。
2026年3月期は、売上高および営業利益ともに増収増益を達成しました。Sier向けサービス提供事業で売上高が増加し、全体的な収益の改善が図られました。特にプライム向けでは収益性が大幅に向上しました。
また、当期純利益は、保有していた有価証券の売却益により増加しています。
2026年3月度のトピックスは3点あります。1点目に、全体的な収益性の改善が大きな成果として挙げられます。2点目に、当社が目指す企画型サービスとしてAIを活用したサービスの開発が進み、いよいよ事業としてスタートする段階に至りました。そして3点目として、株主のみなさまへの還元を、期末の増配というかたちで実現しました。事業面でも経営基盤の面でも成果の手応えを感じています。
本日の説明会では、これらについて詳しくご説明します。
連結損益計算書概要

決算概要です。2026年3月期の業績はスライドをご覧のとおりです。売上高は184億9,800万円で前期比0.8パーセント増、営業利益は15億5,800万円で前期比12.9パーセント増、当期純利益は15億6,400万円で前期比24.0パーセント増となりました。事業環境では、さまざまな業種で、サービスの高付加価値化や人材不足を背景にした効率化など、DX需要が継続しています。
基幹システムのクラウド移行や利便性向上を目指したシステム構築などのニーズは根強く、IT投資は引き続き拡大傾向にあります。2026年3月期においては、Sier事業で非常に難易度の高いプロジェクト対応に注力した1年でした。こうした案件対応には大きな意義があると考えています。一方で、社内リソースを重点的に投入する必要があり、その結果、次の案件獲得に向けた受注活動は停滞しました。
高難易度案件については、収益性に課題があり、採算のとれない結果となっています。しかし、その他のさまざまな領域では着実に収益性を改善しており、全体として利益は改善しています。これは当期における大きな成果の1つです。
当社は、「飛躍的な成長」を目指すべき目標として掲げています。当社の本来あるべき姿は、高難易度案件に果敢に挑戦し、的確な取り組みを進めながら適切な収益性を確保し、売上成長と利益成長の両立を実現することだと考えています。
その意味で、当期は成果を上げることができた一方で、重要な課題も認識した1年となりました。
営業利益の増減要因(前期比較)

営業利益の前期からの増減についてです。増加の要因は、スライドのグラフ左側のオレンジ色の部分です。プライム向け事業のデジタル領域やSier向け事業のSIビジネス領域における収益性の向上により、増益となりました。また、海外子会社であるベトナム現地法人の事業が堅調に推移し、事業の安定化や収益改善が図られました。
そして、退職給付債務の割引率変更に伴う人件費の減少により、原価の低減がありました。
グラフの右側に示されている利益減少の要因については、まず、残念ながら不採算案件による損益の影響がありました。また、生産体制の拡充としての開発拠点である、品川イノベーションハブの開所に伴う費用増が挙げられます。さらに、研究開発への投資も影響しています。
結果として、営業利益は前期比で1億7,700万円の増加となりました。
ビジネスモデル別 売上高推移

ビジネスモデルごとの売上高です。デジタルビジネスは、小規模なテーマの積み上げで規模が急激に拡大するビジネスではありませんが、コンサルティングやAIの先進技術支援など、お客さまからの要請が強く、年々売上が伸びている分野です。このテーマは今後も大いに発展し、展開すると期待しており、対応を進めています。
SIビジネスについては、さまざまな分野でのクラウド案件への取り組みが活況で、受注機会が旺盛でした。特に、テーマとしては、モダナイゼーション案件の対応が順調に進みました。
エンハンスビジネスについては、収益性の改善などに取り組み、体制や対応範囲を見直した案件もありました。また、需要が旺盛なSIビジネスへの体制シフトも影響し、この分野は前期比でマイナスとなっています。
事業スタイル別 売上高推移

事業スタイル別に分類した売上高の推移です。Sier向け事業は前期とほぼ同水準です。旺盛な引き合いのあるSierからの案件は大幅に増加しましたが、一方で、他のSierでは大型案件の中止や縮小があり、結果として横ばいとなりました。
プライム向け事業の売上は前期比でマイナス5.2パーセントとなりました。大型の対応案件の減少が影響しています。
サービス提供事業は前期比で24パーセント増加しており、旺盛な需要を捉えて拡大を続けています。
事業スタイル別 2026年3月期実績

もう少し踏み込んで内容をご説明します。まず、Sier向け事業は、一部の不採算案件の影響により、受注の鈍化と損失が発生しました。
ただ、全体としては安定的に事業を進め、収益を拡大することができています。特に、モダナイゼーション案件の獲得を着実に進めることができた結果、事業の拡大と収益性の向上の両面で成果を上げることができました。利益率の面でも、一定の水準をしっかりと確保することができました。
また、当社が目指しているワンストップサービスの実現については、現在ワンストップ化を進めている途上です。まだ「確立できた」と言える状況には至っていません。引き続き、対応を進めていきます。
次に、プライム向け事業については、新規顧客の獲得は当初の期待ほど進みませんでした。しかし、プライム向け事業の分野では、お客さまとの関係が良好であり、生産性向上の実現や不採算案件からの撤退により、営業利益率は7.8パーセントから16.3パーセントへと大きく飛躍しました。この分野で顧客開拓と事業拡大を図るためには、上流工程やシスコン領域のビジネスが重要なポイントになると考えています。
最後に、サービス提供事業についてです。テクノロジーソリューションの分野では、ベンダーとの協業が成果を上げ、高いスキルを持つ人材の層を厚くし、受注を拡大しています。これまでの構築案件の実績や運用支援の展開により、今後につながる成果が得られています。
また、新たなサービスの創出においても、「H・CUBiC」や「AI自動発注システム」の取り組みをかたちにすることができました。新たな付加価値の提供に向けた一歩を踏み出せたと考えています。
業種別 売上高推移

エンドユーザーを主要業種ごとに分類した、業種別の売上高の推移をご説明します。
金融分野では、先ほどご説明したプライム事業での案件減少が見られました。また、低収益案件からの撤退もあり、この分野は前期比で減少しています。
流通業では、取り組みが堅調な分野もあるものの、大型案件の縮小が影響し、前年並みの水準となりました。
官公庁関連では、中央省庁におけるクラウド案件の需要が旺盛で、受注が拡大し、大幅な増加を記録しました。
運輸・通信分野では、残念ながら既存顧客のテーマが進まず、結果として前期の売上を上回ることはできませんでした。
製造業では、新領域である自動車や酒造メーカーにおいてそれぞれ新たな案件が立ち上がり、増加となりました。
その他の業種では、エネルギー分野や教育分野で成長が見られます。
1人当たり指標

スライドに、当社が重要な経営指標としている「従業員1人当たりのパフォーマンス」に関する数値を示しています。スライド左のグラフをご覧ください。2026年3月末時点での当社グループの従業員数は、グループ全体で938名となりました。内訳は、国内従業員が790名、海外子会社従業員が148名です。
1人当たり売上高は2,341万円、1人当たり営業利益は197万円となりました。今後もさらなる生産性と利益の向上を実現し、1人当たりの指標の改善に取り組んでいきます。
2026年3月期実績 重点施策

重点施策の進捗です。「研究開発」はテーマが明確になり、事業化に向けて大きく進展しました。特に「H・CUBiC」や「AI自動発注システム」は、お客さまへサービス提供を始めています。詳細は次のスライドでご説明します。
「生産体制」については、2025年に品川イノベーションハブを開所し、開発拠点の整備を進めました。生産技術革新として、ビジネス領域におけるAI活用の検証も進展しています。このテーマは、引き続き重要な取り組みとして、一層注力していきます。
一方で、懸案事項である「品質の強化」については、さまざまなケースを想定し、必要な対策を進めています。しかし、高難易度の案件に関しては、開発体制の確保やリスクへの備えといった課題が依然として残されている状況です。引き続き、対応を強化していきます。
「人的資本」については、社員の学びに対する意識は着実に醸成されていると感じています。採用に関しては、必要な人材の確保を着実に進めることができています。一方で、退職率は残念ながら上昇傾向にあります。特に若年層における離職が進んでおり、それにより中間層やリーダー層への負担が相対的に大きくなっています。組織運営や人材育成の面でも影響が生じる可能性があると認識しています。
さまざまな対策が必要と考えていますが、まずは2027年4月より、初任給の引き上げに加え、若年層の処遇改善を実施します。リテンション対策も行っていきます。
2026年3月期実績 研究投資から生まれたソリューション

研究投資の中から、2026年春にサービスを開始した2つのソリューションをご紹介します。1つ目は「H・CUBiC」です。これは建築業界に特化したタレントマネジメントシステムであり、AIのマルチエージェント方式を採用しています。複雑な条件の質問に対しても回答できる点や、文章や文脈を考慮して回答できる点が特徴です。2026年4月からサービスを開始しています。
2つ目は「AI自動発注システム」です。従来の自動発注システムにAIによる予測機能を組み合わせたもので、今回のサービス開始に向けて、AIエンジンの機能を向上させました。AIが発注傾向を学習するため、複雑な設定が不要という特徴があります。こちらは2026年5月からサービスを開始しており、問題なく稼働しています。
その他にも、研究開発を進めているサービスソリューションは複数あり、事業化に向けて推進を進めているところです。
当社の目指す姿 -サステナビリティ経営・価値創造モデル-

2024年度にスタートした「VISION2026」第2次中期経営計画の概要や施策、その取り組み状況についてです。まず、当社のサステナビリティ経営についてお話しします。
当社は、持続的に成長し続ける会社、そして持続的に社会に貢献し続ける会社を目指しています。当社自身が企業として成長を果たし、お客さまや社会、さまざまなステークホルダーの方々に貢献し続けられる会社を目指して取り組むという考えです。
スライドに示した図は、当社の価値創造モデルです。当社は、インプットとして人的資本や知的資本など6つの資本の拡充を図り、事業を進めていきます。事業成長に向けた事業戦略の考え方は、「VISION2026」第2次中期経営計画の方針に沿って進めていきます。
その成果として、財務的価値と非財務的価値の創出を果たし、さまざまなステークホルダーの方々に還元します。また、当社自身もその成果を活かし、さらなる取り組みを進めていくという考え方です。
その結果として、社会に貢献し続ける取り組みを行うことが当社の目標です。
第2次中期経営計画の概要

第2次中期経営計画の概要です。第2次中期経営計画では「第二の創業」と位置づけて進めています。これまで進めてきた受託型ビジネスに加え、新たに企画型の事業を追加するという考えです。
Sier向け事業とプライム向け事業は受託型ビジネスとして取り組んでいます。Sier向け事業は、大手Sierの下で行う受託事業です。一方、プライム向け事業は、当社自身がお客さまに直接対応するスタイルです。
また、企画型ビジネスとして、サービス提供事業にも取り組みます。この3つの事業スタイルを念頭に置いて、進めていきます。
事業スタイルにおける成長戦略

事業スタイルの関係性について、もう少し詳しくご説明します。スライド左側に示しているSier向け事業は、当社の売上を支える非常に大きな規模の事業です。Sier向け事業では、Sierとの良好な関係を活かし、さまざまな業種での取り組みや社会課題の解決につながるテーマなど、広範囲に対応を広げていきます。
また、先進技術にも積極的に取り組み、当社としての経験値、知的財産を積み上げていくことを目指しています。
中央に示しているプライム向け事業では、Sier向け事業で培った経験とノウハウを活かし、当社が直接お客さまに対応する取り組みを行っています。
難易度は非常に高いですが、高付加価値のサービスを提供することでお客さまに評価いただき、高い収益性を実現できるよう取り組んでいきたいと考えています。
右側に示しているサービス提供事業では、ソリューションベンダーとの連携による受注機会の拡大に加え、ベンダーとの連携を通じて技術ノウハウを蓄積し、当社自身のノウハウを磨いて競争力のあるサービスとすることを目指しています。
中央の矢印は、それぞれの関係性を示しています。Sier向け事業で得られた知見を活かし、サービス提供事業において当社独自のサービスとして展開します。また、サービス提供事業で得られた顧客やノウハウを、プライム向けやSier向け事業に活用していきます。
相互に価値を活かし、共有して全体の事業成長を図ることが、当社の事業スタイルにおける成長戦略です。
第2次中計の財務・非財務目標

第2次中期経営計画で掲げた財務および非財務の目標とその進捗状況はスライドをご覧のとおりです。
財務の目標は、成長性と高収益性を重視して取り組んでいます。
1人当たりの指標は、社員の能力向上への取り組みや生産技術などへの投資により達成を目指します。
ビジネスモデルの変革は、新しいビジネスの形を実績として積み上げていくことを目標としています。
非財務については、当社が目指すべき姿に向けて取り組むものです。スライドに記載の5つの観点を掲げ、それぞれの実現に向けて進めています。
第2次中計の財務・非財務目標

財務目標の詳細数値はスライドのとおりです。2027年3月期には、売上高230億円を目標としています。事業成長と収益拡大を目指し、高い水準ではありますが、この水準を達成するべく取り組んでいます。
業績見通しの概要

2027年3月期の業績見通しです。中期経営計画では売上高230億円、営業利益率10.5パーセントを目標としていました。しかし、生産体制の構築状況などを踏まえ、2027年3月期の業績の見通しは売上高は200億円で前期比8.1パーセント増、営業利益は18億円で前期比15.5パーセント増、当期純利益は15億円で前期比4.1パーセント減としました。
この前提となる環境認識についてご説明します。
外部環境として、世界的には不安定な状況ですが、企業における人手不足は依然として大きな課題です。その解決に向けたIT投資の需要は、今後も堅調に続くと考えています。
一方で、企業におけるIT投資の中身は変化していると感じています。従来のように外部のSierへ一括で任せるのではなく、社内でIT戦略として事業とITについての構想を議論し、外部に対しては、より高い専門性を持つパートナーを選ぶ傾向があるお客さまが増えています。
そのため、より高度な技術や業務理解、提案力が一層重要となっています。
加えて、AI活用も実証段階から実装段階へ移行しており、効率化だけでなく、新たなサービスや事業変革を実現したいというニーズがますます高まっていると考えています。
このように、需要は堅調である一方で、求められる価値が高度化しており、当社にとって大きな成長機会があると認識しています。
このような事業環境を踏まえ、2027年3月期に向けて取り組んでいきます。ただし、当社として解決しなければならない課題もあります。その内容については、この後ご説明します。
今期の具体的な取り組み

当社が解決すべき課題への今期の具体的な取り組みです。昨年認識した課題を真摯に受け止め、それらの解消に向けて取り組んでいきます。
まず、Sier向け事業においては、高難易度案件への対応に不備が生じたことで、その影響により受注活動が停滞しました。また、懸案であった生産性向上施策についても、依然として対応が思うように進展していないという課題があります。
今期は営業段階から提案時、その後のプロジェクト実行時の各工程において、リスク対策に重点を置いて取り組みます。これにより、大規模かつ高難易度の案件にも十分に備え、対応できる体制を整えます。
また、AIを活用した生産革新を成功させるため、生産技術本部を新たに設立し、AIを活用した成果を実現していきます。
プライム向け事業では、顧客の新規開拓や既存顧客における領域の拡大が重要なポイントとなります。今期は、さらなる拡大を目指し、上流・システムコンサルティング領域でのビジネスを組織的に行うため、システムコンサルティング室を新設しました。
既存顧客に対しては、より一層関係性の構築を進め、テーマの創出を目指します。また、新規顧客に対しては、営業提案スキルを強化し、顧客獲得を図ります。
サービス提供事業では、事業の拡大と収益の確保を目指して進めていきます。まずは、ベンダーとの連携が重要です。当社は、これまで培ってきたOracle技術での強みを活かしていきます。また、AWSやMicrosoftとの取り組みにおいても、当社の付加価値を創出し、事業の拡大を図ります。
当社初のサービスである「H・CUBiC」および「AI自動発注システム」については、導入顧客数を増やし、収益の拡大を目指します。
これらの取り組みにより、今期は売上高200億円、営業利益率9パーセントを目指します。
配当金および配当性向の推移

配当についてです。当社の1株当たりの配当金と配当性向の推移をご説明します。
当社は株主への還元を重要事項と考え、連結配当性向50パーセントを目安に取り組んでいます。
2026年3月期は、期末配当を当初予定の22円から4円増配し、26円としました。中間配当と合わせて1株当たりの配当金は46円とし、配当性向は44.5パーセントとなりました。
2027年3月期は、中間配当を22円、期末配当を24円、合計で1株当たり46円を予定しています。配当性向は46.5パーセントを見込んでいます。
今後も収益性の向上に努め、安定した配当を継続していきます。
最後に

最後に、今期は中期経営計画「VISION2026」の最終年度であり、次のビジョンを描くための重要な1年でもあります。
高難易度の案件に挑戦しながら品質を強化し、収益の向上を図るとともに、新たな事業を創出することで、次の成長ステージへの飛躍の流れを確実なものにします。
「VISION2026」では、各自が志を持ち、ビジネスマインドを持ちながら、自ら考え行動する姿を目指してきました。
Sier向け事業、プライム向け事業、サービス提供事業のどの領域においても、成長分野への挑戦を続け、成果を出す1年としたいと考えています。
今後も役職員一同、社業の発展に邁進していきます。引き続きご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
私からの説明は以上です。ご清聴いただき誠にありがとうございました。
質疑応答:不採算案件の発生要因と今後の対応について
司会者:「高難度プロジェクトにおいて、不採算案件が発生したとのことですが、差し支えない範囲でどのような案件で何が原因であったのか、また、今後の再発防止に向けた改善点についてお聞かせください」というご質問です。
中西:先ほどのご説明で不採算案件があったと述べました。分野としては、Sier向け事業の金融分野のプロジェクトです。技術面および要件面の両方で非常に難易度が高く、重要なテーマと位置付けました。今後の取引内容を念頭に置き、真摯に取り組んだ案件でした。
要因としては、受注段階における体制組成上の課題や、プロジェクトで顕在化しうるリスクへの備えが十分でなかったことなど、複合的な要素によるものです。
今後は、まず受注段階で要件を十分に検討し、中長期リスクに関しては提案時にお客さまとの十分な議論と調整を行います。また、プロジェクト実行段階では、各工程でのローンチを確実に実施するという基本を徹底し、解消していきたいと考えています。
質疑応答:サービス提供事業の拡大計画の実現性について
司会者:「サービス提供事業の今期の売上高は約5億円の増収、増収率は50.6パーセント、営業利益の改善も3,500万円を見込んでいます。その実現性についてコメントをお願いします」というご質問です。
中西:当社は今後、サービス提供事業で飛躍的に大きく拡大していこうと考えています。具体的にご説明すると、サービス提供事業は2つの領域を念頭に置いています。1つはテクノロジーソリューションサービスであり、これはクラウドソリューションを活用するサービスです。もう1つはビジネスソリューションサービスです。
テクノロジーソリューションサービスについては、現在クラウドソリューション案件の需要が非常に多くあります。これまで当社で実績を積み上げてきたことから、今後さらに需要が拡大していくことが見込まれます。これに伴って、これまでの実績を基にノウハウや対応内容を一層精査し、確実な収益の実現を目指していきたいと考えています。この分野は大きな成長が期待できると考えています。
もう1つのビジネスソリューションサービスは、先ほど説明した「H・CUBiC」や「AI自動発注システム」のように、ビジネスそのものを支援するサービスです。この分野は今期からサービスを開始し、収益に貢献すると考えています。
これらを踏まえ、サービス提供事業は今期大きな成長を目指した計画を立てています。
質疑応答:AI活用に関する考え方と取り組みについて
司会者:「ソリューションにAIを活用されているとのことですが、御社ではAI活用についてどのように取り組んでいくのか、具体的に教えてください」というご質問です。
中西:現在、AIについては、さまざまな領域で実験段階を超え、すでに具体的なテーマで必要とされていることから、非常に広範な分野で成果が出ていると見ています。当社もAIに向き合う中で、大きく2つの考え方を持っています。
1つ目は、AIを活用して新しいサービスを生み出すという考え方です。これは先ほどお話ししたように、「H・CUBiC」や「AI自動発注システム」など、当社のサービスにAIを活用し、お客さまに価値を提供するという取り組みです。
2つ目は、当社のシステム構築プロセスそのものにAIを組み込み、劇的に生産性を向上させる考え方です。
この2つの方針に基づき、当社はAI活用に取り組んでいます。
加えて、システム構築の工程にAIを活用する「生産革新」については、2つのレベルがあると考えています。まず、第1段階として、システム構築の工程ごと、すなわち要件定義、基本設計、詳細設計、開発、テストといった各工程にAIを利用し、それぞれの効率性向上を図ることです。この取り組みについては、相当のプロジェクトで実験を行い、効果を見極めたいと思います。
さらに踏み込んだ第2段階として、各工程をAIによって一括対応する「AI駆動開発」を通じて劇的なAI活用を実現し、飛躍的な改善効果を狙う取り組みが挙げられます。この段階については、まだ課題が多いと考えていますが、当社としてもいくつかのプロジェクトを通じて、内容を精査しながら効果を見極めたいと思います。
各工程で関わる技術者のレベルや向き合う課題も、AI活用の方法によって変わってきます。
AIにどのような仕事をさせるのかについては、より高い技術力や見識が求められるため、当社としてもしっかりと対応していきます。
この分野で成果を上げることが、今後の大きな飛躍の原動力になると考えています。
