■ミガロホールディングス<5535>の今後の見通し
1. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期は、売上高65,000百万円(前期比13.0%増)、営業利益3,300百万円(同7.8%増)、経常利益2,450百万円(同4.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,500百万円(同4.6%増)を見込んでいる。DX推進事業及びDX不動産事業の双方で増収を見込んでいる。DX推進事業では、これまで進めてきた先行投資の成果が本格的に業績へ寄与する見通しであり、「FreeiD」導入拡大やDX支援案件の増加を背景に、引き続き成長が期待される。一方、DX不動産事業においても、販売拡大や販売単価上昇を見込んでおり、安定した収益成長を想定している。利益については、DX不動産事業における建築費高騰に加え、長期金利上昇による影響を一定程度織り込んでおり、外部環境悪化リスクを踏まえた予想となっている。このように、2027年3月期はDX推進事業の利益成長が本格化する一方で、DX不動産事業では外部環境変化への対応力が重要となる。両事業の成長バランスを維持しながら、収益性と財務健全性を両立できるかが今後の注目点となる。
セグメントごとの重点施策としては、まずDX推進事業において、AI・DX需要の拡大を背景に、加速的な事業成長を実現するための体制強化と事業拡大を重点施策としている。具体的には、優秀な人材の採用強化とM&Aの継続実行を通じて、開発体制及び顧客基盤を拡充する方針である。DX推進事業ではAI活用によるコーディング効率化が進み、従来の労働集約型モデルからの脱却が図られている。一方で、プロジェクトマネージャーや顧客導入時のセールス部隊、コンサルテーションを担う人材の重要性は引き続き高い。エンジニアやプロジェクトマネージャーといった職種の採用難易度は高いものの、足元では採用活動を継続強化しており、一定の確保は進んでいる。加えて、人材確保手段としてM&Aも継続活用しており、前期は2社を実施、今期も継続的なM&A実行に向けて検討を進めている。
主力サービスである顔認証IDプラットフォーム「FreeiD」については、マンション関連領域への導入拡大を軸に売上成長を目指す。「FreeiD」の価格設定については、オープンプライスに近い形で案件ごとに対応しているが、一定の利益率を確保する線引きは明確に設けている。現状、案件獲得は順調であり、採算性の観点でも問題はないことから価格改定などの予定はない。一方で、同サービスの導入により、賃料上昇や空室期間の短縮などの恩恵を得られることから、価格引き上げ余地は十分にあると弊社では見ている。また、デジタルインテグレーション領域では、AIソリューションを基軸とした新規受注の獲得を推進するほか、基幹システムなど大型システム開発案件の拡大にも注力する。さらに、デジタルインテグレーション事業を展開するグループ各社間のシナジー創出を進めることで、営業・開発・顧客基盤の連携強化を図り、収益機会の拡大を目指す。加えて、「FreeiD」のシステム開発投資や販促・広告投資、人材採用及びM&A関連費用など、将来成長を見据えた先行投資も継続する計画である。「FreeiD」のシステム開発投資に関しては、10億円規模の投資を実施可能な体制を整えており、今後の機能拡充に向けたシステム投資余力が十分に確保されていると弊社では見ている。
一方、DX不動産事業では、建築費や仕入価格の高騰、長期金利上昇といった不透明な事業環境を踏まえながらも、着実な売上高・利益成長の継続を重点方針としている。そのため、適切な仕入戦略と在庫コントロールを徹底し、市況変動リスクを抑制しながら収益性を維持する方針である。また、生産性向上を進めることで、建築コスト上昇局面においても利益確保を図る考えである。業容拡大は継続する方針であり、新築マンションの開発・販売を中心に事業拡大を進める一方、引き続き慎重な事業運営を行う姿勢を示している。特に、新築マンションは竣工・引渡し時期によって四半期ごとの売上・利益変動が大きくなる特性があるため、案件ごとの進捗管理と販売タイミングの最適化も重要施策になる。
2026年3月期は、ここ数年で例を見ない賃料上昇があり販売価格もこれに連動して上昇した。足元でも賃料上昇圧力は継続しているが、前期のように2~3割急伸する局面ではないと見ている。新築物件の建築費については、為替や資材価格上昇の影響を受け、2年前と比べ2割程度上昇している認識である。加えて、建設業界の働き方改革の影響により、建築工期も従前比で1~2割程度長期化している。また、中東問題に端を発する資材価格上昇リスクが、夏場から秋口にかけて顕在化する可能性を想定している。ただし、東京都心部の賃料はここ2~3年は新築・中古を問わずに上昇トレンドであることから、これらの要因を一定程度吸収できる環境であり、売上総利益の水準が大きく毀損することはなく、機会ロスとならない賃料設定をすることで、建築費高騰へ十分に対応可能であると弊社では見ている。
四半期ごとの売上予想については、同社の収益の柱であるDX不動産事業は引渡基準で収益の認識を行っているため、新築物件の竣工・引渡しのタイミングにより、売上高が偏重する傾向がある。2027年3月期は、前期に実施した不動産販売戦略の調整により、第4四半期の一部物件引渡しを翌期へ変更した影響から、第1四半期売上高は大きくなる見込みである。また、新築物件の引渡しが第2四半期に集中する想定であることから、第2四半期が最も売上高の大きい四半期となる計画である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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