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極東貿易 Research Memo(5):前中期経営計画の総括と「PBR1倍割れ」への強い危機感(1)

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■極東貿易<8093>の新中期経営計画「『中期経営計画2028』Beyond NEXUS」

同社は2026年5月に新中期経営計画「『中期経営計画2028』Beyond NEXUS」(以下、新中期経営計画)を策定した。同社の今後の成長軌道を分析する上で、2022年3月期から2026年3月期まで実施された前中期経営計画「KBK プラスワン 2025」(以下、前中期経営計画)の成果と課題を正確に総括する必要がある。前中期経営計画においては「変革期」「発展期」と位置付け、事業ポートフォリオの最適化やM&A(TWD Japan、三幸商会、ウエルストンの3社)の実行、累進配当の導入など、多くの構造改革が実行された。修正後の定性・定量目標(連結経常利益19億円など)は超過達成し、収益構造の改革は一定の成果を上げた。しかしながら、経営陣は資本政策における重大な課題を率直に認識している。具体的には、修正前の前中期経営計画の目標であったROE8%に対して、特別要因を除いた実績は6.0%にとどまり、同社の株主資本コスト(約7%)を依然として下回る「エクイティ・スプレッドのマイナス状態(=企業の稼ぐ力(ROE)が株主の期待利回り(株主資本コスト)を下回っている状態)」が継続してしまった点である。その結果としてPBRは継続的に1倍を割り込んでおり、株式市場から十分な評価を得られていない状況が続いている。ただし、同社はこうした現状に対し、過去の資本政策に不備があったというよりは、本業における収益性・効率性の低さが本質的な課題であると認識している。今後は事業の収益性・効率性の向上に加え、推進してきた資本政策のさらなる高度化を両輪で進める意向である。新中期経営計画では、この反省の上に立ち、資本コストを意識した経営への完全なシフトを目指す。

1. 新中期経営計画の全容と戦略的意義
2027年3月期から2029年3月期の3年間を対象とする新中期経営計画について同社は、これまでの基礎固めを経て、未来へ飛躍する「飛躍期(Phase III)」と明確に位置付けている。社是「人と技術と信頼と」、経営理念「ニーズとシーズの橋になる」を踏襲しつつ、スローガンに込められた「NEXUS(つながり)を越えて」という言葉には、単なる需要と供給の仲介役(橋渡し役)にとどまらず、自らが先導役となって社会や顧客の課題を解決する「ソリューションパートナー(価値創造企業)」へと変革を遂げる強い意志が表れている。10年後のありたい姿として、「『技術商社×メーカー機能』による価値創造企業」「多様な才能が躍動する自律型プロ集団」「インテリジェンス経営(データドリブン)」の3つを掲げ、長期的には売上高1,500億円、ROE12%以上という高い目標を設定している。

2. 「ROE8%」を必達目標として再設定
新中期経営計画の最終年度となる2029年3月期の目標として、以下の数値を掲げている。
・連結営業利益:35億円(2026年3月期実績26億円から約35%の増益)
・ROE:8%以上(株主資本コスト7%を確実に上回り、エクイティ・スプレッドをプラス転換)
・ROIC:7%以上(WACC 6%を上回る事業投下資本利益率の確保)
・M&A等投資枠:3年間で50億円以上
・株主還元:累進配当の継続(年間配当74円を下限)

前中期経営計画では未達に終わったROE8%を、今回は「必達目標」としてコミットしている点が新中期経営計画の最大のポイントである。これを達成するために、同社は後述する「5つの重点領域」と「5つの重点テーマ」に基づく戦略を推進する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水 啓司)
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