■リログループ<8876>の業績動向
1. 2026年3月期の業績動向
第四次オリンピック作戦初年度の2026年3月期の業績は、売上収益151,074百万円(前期比5.7%増)、営業利益30,815百万円(同1.2%増)、税引前利益30,943百万円(同41.5%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益20,665百万円(同52.3%減)となった。営業利益は過去最高益を記録したが、先行投資期だったため微増益にとどまった。期初予想との比較では、売上収益は1,074百万円過達となったが、営業利益は585百万円の未達となった。未達額は小さいうえ、中期経営計画初年度のため、今後カバーできる可能性は高い。
売上収益は、福利厚生事業の会員数や借上社宅管理事業の管理戸数など、アウトソーシング事業のストックビジネスが堅調に推移したため、順調に増加した。営業利益は、サービス向上や不動産価格の上昇により全般的に単価が上昇したが、第四次オリンピック作戦初年度ゆえの人件費やシステム費用など先行投資が発生したため、微増にとどまった。なお、税引前利益と親会社の所有者に帰属する当期利益が減少したのは、前期にあった日本ハウズイング(株)の株式売却益と為替換算調整益がなくなったことなどによる。これを除外した親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比横ばいだった。不動産価格高騰を背景に賃貸管理事業で人の移動がやや少なかったことに加え、観光事業の想定がそもそも高かったものの、期初予想との比較で売上収益が超過達成となったのは、アウトソーシング事業全般で順調に伸長したことが要因である。一方、営業利益が未達となったのは、人の移動減少の影響もあると思われるが、各事業で少しずつ未達になったことが要因と考えられる。
セグメント別では、アウトソーシング事業が売上収益80,769百万円(前期比8.8%増)、営業利益22,899百万円(同3.4%増)、賃貸管理事業が売上収益52,956百万円(同2.3%増)、営業利益8,012百万円(同1.9%減)、観光事業が売上収益16,399百万円(同4.0%増)、営業利益4,344百万円(同3.5%増)となった。なお、主力事業の基盤を生かして金融関連事業などを展開しているその他は、売上収益948百万円(同17.8%減)、営業損失206百万円(前期は166百万円の損失)だった。
(1) アウトソーシング事業
アウトソーシング事業は、福利厚生事業が売上収益30,416百万円(前期比11.1%増)、営業利益12,726百万円(同3.7%増)、借上社宅管理事業が売上収益32,737百万円(同9.1%増)、営業利益7,042百万円(同3.5%増)、海外赴任支援事業が売上収益17,615百万円(同4.7%増)、営業利益3,131百万円(同1.6%増)だった。
福利厚生の分野では、人手不足から人材を採用し、つなぎとめるために福利厚生施策を拡充する傾向が強まっており、法定外福利費は2022年以降4%〜5%のピッチで増加、中長期的にも増加傾向は継続すると予想されている。このため、福利厚生分野のアウトソーシングに対するニーズも高まっており、同社の福利厚生事業も新規会員の獲得は順調に推移した。しかし、大手生命保険会社の傘下に入った競合が出資先や親密取引先に集中営業したため、会員数(OEM・CRM除く)は732万人(前期比0.6%増)と微増にとどまった。競合による集中営業の影響は特に期末の3月に現れ、1年は続くと見られている。このように厳しい状況だったが、独自性の高い商品・サービスを開発しグループの総合力を生かして提供したことで利用関連の収益が16%増加、全体としての売上収益は2ケタ増収となった。一方、人材投資、商品開発や販売力の強化、コールセンター拡充、アプリ開発、データセンター再構築など、中期経営計画に沿った基盤づくりのための先行投資を行ったため、営業利益は売上収益ほど伸びなかった。
借上社宅管理事業では、同社の転貸方式が好評で、社宅管理戸数が298,141戸(前期比7.0%増)、留守宅管理戸数が10,381戸(同4.3%増)、家具付き賃貸管理戸数が12,599戸(同26.3%増)と増えたため、管理手数料収入や、「リロネット」の物件検索など転居支援サービスの利用件数が増加した。また、システムの機能拡充など付加価値サービスを提供する一方、事務対応の有償化や手数料改定など実質的な収益性向上を図った。この結果、売上収益は2ケタ近い増加となったが、先行投資に加えて前期に発生したスポット利益の反動により、営業利益は1ケタ前半の増加にとどまった。
海外赴任支援事業では、日本企業の海外展開が引き続き旺盛である一方、ビザ発給の申請プロセスが煩雑化しつつある。これに伴い、インハウス対応していた業務を外部委託するケースが増える傾向にあり、高度なノウハウを持つ専門ベンダーとして同社に案件が集中した。期初に米国の入国審査が厳格化された際には、一時的にビザ発給に遅延が生じたが、国内外を問わず大企業、なかでもこれまで取引のなかった複数の国内総合商社から受注を獲得するなど、海外赴任支援世帯数は7,055世帯(前期比3.1%増)となった。また、プロセスの煩雑化により、赴任完了単価も同5%程度伸びた。加えて、海外現地での日系企業の不動産関連取引に対するサービス提供も堅調に推移した。一方、インバウンド支援世帯数は2,474世帯(同13.6%減)と減少したが、前期に受注した大型プロジェクトの反動やインバウンド完了世帯数の計上時期の見直し(1ヶ月後ろ倒し)といった特殊要因によるもので、特殊要因を除くと引き続き安定した水準を維持している。
(2) 賃貸管理事業
賃貸市場を取り巻く環境は、不動産価格の上昇に伴う東京圏での家賃の高騰を背景に、人の移動が鈍化して空き物件が減少している。特に第4四半期の引越繁忙期に物件が想定以上に不足するなど、仲介業者にとって厳しい状況であった。一方、同社は管理会社であることから比較的収益が安定しているうえ、引越情報を最初の段階で知ることができる立場にあることから、仲介としては有利な状況にあった。こうした環境下、同社は、既存賃貸管理会社の成長に加え、大型ではないものの引き続きM&Aを推進してストック基盤の拡大を図ったことにより、賃貸管理戸数は125,535戸(前期比2.7%増)となった。アセット売却粗利益は、相続関連ニーズや管理解約防止の対策として不動産売買を支援したことにより、4,314百万円(同12.7%増)と順調に拡大した。ただし、売上収益は1ケタ前半の増加にとどまり、人件費などの先行投資により減益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
いま読まれてます
記事提供: 
元記事を読む