■事業概要
2. 強み・特徴と競合、課題
(1) 強み・特徴
シグマクシス・ホールディングス<6088>の強みは、主要顧客の事業や業界構造、経営理念、組織文化に対する深い理解を基盤としている点にある。加えて、DX・MX・SXという「3つの変革」の支援や、SaaS活用、IT組織体制改革・業務改善といった多様な案件への関与を通じて、デジタル/ITに関する実践的な知見・ノウハウを蓄積してきた。
さらに、成果実現に向けて継続的に関与する「シェルパ」としての実行力と、社内外の専門性や知見・技術を束ねるアライアンス・ネットワーク力を掛け合わせることで、複雑な経営課題に対しても構想から実装まで一気通貫で推進できる。この点が同社の特徴となっている。
(2) 競合
同社の主な競合は、戦略立案から実行までを担う総合コンサルティングファームである。たとえばベイカレント<6532>は、幅広い業界・サービス領域をカバーし、ワンプール制を通じて多様なテーマに柔軟に対応している。Big4※各社も、グローバルネットワークと多様な専門性を生かし、戦略から実行、テクノロジー実装や業務変革までを一体的に支援している。また、アビームコンサルティング(株)、野村総合研究所<4307>といった国内大手も、戦略立案から業務改革、システム導入、デジタル変革までを一貫して支援しており、同社と競合する領域は少なくない。
※ コンサルティング業界や会計業界における4大ファーム(企業グループ)の総称。具体的には、(同)デロイト トーマツ、PwCコンサルティング(同)、EYストラテジー・アンド・コンサルティング(株)、KPMGコンサルティングを指す。
そのなかで同社は、「シェルパ」としての伴走姿勢と、「アグリゲーター」として社内外の知見を束ねる機能を通じて、新たな価値創造まで踏み込む点で差別化している。単なる総合コンサルティング会社ではなく、価値共創型の変革パートナーとして市場におけるポジションを確立している。
(3) 課題
AIによるコンサルティング業務の代替が懸念されるものの、会計系などの基幹系SaaSでは高いガバナンス要件が存在するためAIによる代替は容易ではない。加えて、BPRやステークホルダーマネジメントといった変革支援は高度な調整力が求められるため、コンサルタントの付加価値は引き続き維持される。同社はこうした変化を好機と捉え、AIを単なる効率化にとどめず、提供価値の高度化と事業モデル刷新を実現する成長ドライバーと位置付け、生産性向上や成果連動型モデルへの転換を進めている。
もっとも今後の重要な課題は、AIをはじめとする進化の速いIT技術を継続的に取り込み、それを顧客の業務・組織・事業変革に結び付く実装ノウハウへ転換し続けられるかどうかにある。同社が自社のDXやIT活用を核とした変革支援を行っている一方で、競合各社もAI・デジタル・データ活用を前面に打ち出しており、技術知見の鮮度と実行力の両立が競争力に直結する環境にある。したがって、同社が今後も優位性を維持・強化するためには、これまで培ってきた顧客理解、伴走力、ネットワーク力に加え、先端技術を素早く吸収し、顧客価値へ落とし込む力をさらに高めていくことが重要であると考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)
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