fbpx

ラサ商事 Research Memo(7):大型案件獲得の影響を除けば、中期経営計画の想定内の動き(1)

マネーボイス 必読の記事



■ラサ商事<3023>の今後の見通し

2. 中期経営計画
(1) 中期経営計画の概要
同社は、長期ビジョン(2031年度の目指す姿)として「専門商社の枠組みを超えて、社会のインフラを支える付加価値創出企業へ」を掲げ、その実現に向けて3つのステップで中期経営計画を推進している。3つのステップのうちSTEP-1に相当する前中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)では、2021年3月に判明した連結子会社における不適切会計事案への反省から、グループ・ガバナンスの確立を最優先課題として、中長期的な企業価値向上に必要不可欠な経営基盤の強化を推し進めてきた。その結果、内部統制の再構築や継続的モニタリングの実施等により、グループ・ガバナンスの確立に進捗が見られたほか、売上高及び利益が漸減傾向となるなかでも、グループシナジーの追求や既存事業の収益基盤強化などの施策を進めることにより、利益及び経営指標の目標を達成した。

2025年5月に発表した中期経営計画「“Step Forward”Rasa 2027~成長のステージへ~(2026年3月期~2028年3月期)」は、3つのステップのうちSTEP-2に相当し、前中期経営計画で強化を図ってきた経営基盤の下、新たな成長のステージへの一歩を踏み出す3ヶ年と位置付けている。

最終年度(2028年3月期)の業績目標(連結)として、売上高315億円、営業利益29億円、経常利益31.5億円、親会社株主に帰属する当期純利益23億円を掲げており、「新規・成長分野への取り組み」「既存領域の深耕」「事業活動を通じたサステナビリティ経営の推進」の3つの重点施策を推し進めることにより、社会インフラを支える付加価値創出企業として、既存事業の安定的成長にとどまらず、新たな成長のステージへの一歩を踏み出す。また、財務の健全性を念頭に置きながら、自己資本を効率的に活用しつつ、株主価値の拡大を図ることを主眼に、最終年度の経営指標の目標として、ROE10%以上、売上高営業利益率9%以上も掲げている。

なお、2026年3月期の業績が、売上高28,201百万円、営業利益2,958百万円、経常利益3,226百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,378百万円となり、売上高を除けば最終年度の目標値を上回った。また、経営指標についても、2026年3月期のROEが10.5%、売上高営業利益率も10.5%となり、同じく最終年度の目標値を上回る結果となった。ただし、前述したように、2026年3月期の業績には大型案件獲得による利益押上げ効果が含まれている。中期経営計画の進捗を見るうえでは、この影響を割り引いて判断する必要があるが、具体的な影響額は開示されておらず、判断が難しい部分が残る。もっとも、偶発的な案件獲得による利益の振れは避けられない面があり、業績計画値との乖離などから判断して、大型案件獲得の影響を除けば、ほぼ中期経営計画の想定内の動きと考えられる。

(2) 重点施策の概要と進捗
目標達成に向けた3つの重点施策については、総じて計画に沿って進捗していると考えられるが、今後は中期経営計画のスローガンとなる「成長のステージへ」の道筋をつけることが課題となる。M&A案件には慎重な判断が求められるが、具体的な案件検討が今後どこまで進むかに注目したい。

(a) 新規・成長分野への取り組み
中期経営計画のスローガンとなる「成長のステージへ」を実現するうえで、重点施策の中でも重要性の高い取り組みとなる。このうち、新規分野の取り組みとして「新しい取引先及び商品の開拓」を掲げており、具体的な施策として「伸長している海外マーケットの重点エリアにおける販売体制強化(建設機械など)」「新規商材の開拓に向けた市場調査及び販路開拓(資源・金属素材関連のレアアース、化成品関連の電線部材など)」「取引先拡大に向けた新規業種への提案(電子部材、食品関連など)」を挙げている。

現在の進捗として、建機商品では海外マーケットにおける掘進機の新規取引先獲得に向けて、レンタル市場の開拓にも取り組んでいる。産機商品では、開拓市場に掲げる食品業界について、食品廃棄物リサイクル方法の1つとして湿式メタン発酵バイオガス発電プラントへのポンプ納入が増加しており、さらなる増加に向けて取り組んでいる。また、耐水型汚泥処理ポンプ(モーターとポンプが一体化した水中ポンプ)を陸上でも使えるようにして、下水道施設向けの導入を働きかけている。環境設備関連では非鉄製錬ユーザー等への水砕スラグ製造設備「ラサ・システム」の販売を強化している。

成長分野の取り組みとしては「成長事業の模索及び主体的なM&Aの検討」を掲げている。M&A推進委員会では、営業本部及び管理本部の連携に加えて支店意見も反映したうえで、グループシナジーの追求を重視したターゲット選定を行うなど、従来よりも投資スコープを明確化している。これにより、案件検討の精度が高まってきているもようである。

(b) 既存領域の深耕
資源・金属素材関連の取り組みの1つとして「倉庫及び通関関連業務の最適化」があり、倉庫のBCP対策実施とともに物流業務の効率化を実施している。産機・建機関連の取り組みとして「現場でのポンプ診断による提案営業を通じた需要喚起」があり、急な整備案件に診断ノウハウのある営業が迅速に対応して整備案件受注につなげた事案も出てきている。

(c) サステナビリティ経営の推進
CO2排出量の削減に向けて、CO2フリー電力の導入を進めており、2024年7月のRASA日本橋ビルディング及びイズミビルディングに続いて、2026年2月には東京機械センターにも導入を実施した。また、気候変動による水害発生の増加とともに都市部を中心に防災意識の高まりから、緊急排水用途における可搬式ポンプユニット「SUPER BETSY」の需要が増加傾向にあり、主に民間工場や各自治体への導入に向け販促活動に注力している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 古川 聖治)
いま読まれてます

記事提供:
元記事を読む

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー