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株価下落「三菱重工」今が買い?長期投資家が見るべき“防衛だけじゃない”強さと投資リスク=栫井駿介

設備投資型ビジネスには波がある

防衛事業を考えるうえでは、三菱重工業が「設備投資型」の製品を扱っている点が重要です。

消耗品は、使えばなくなるため、継続的な買い替え需要が生まれます。
一方、航空機、ミサイル、発電設備などの大型製品は、一度導入すると短期間で何度も購入するものではありません。

これは住宅や自動車を考えると理解しやすいでしょう。
一度購入すれば、その後は一定期間にわたって使用し、維持や修理にお金を使います。
購入時には大きな需要が発生しますが、それが毎年同じように続くわけではありません。

企業分析では、その会社が継続購入される消耗品を販売しているのか、需要に大きな波が生じる設備を販売しているのかを見極める必要があります。
この違いによって、売上や利益の動き方は大きく変わります。

三菱重工業の防衛事業がいったんピークを迎えること自体は、事業が悪いからではなく、設備投資型ビジネスの性質上、ある程度避けられない面があります。
将来、装備の更新や追加投資が必要になれば再び需要は発生しますが、足元の高成長をそのまま延長して考えるのは慎重であるべきでしょう。

三菱重工業は「防衛株」だけではない

防衛事業の成長が一服する可能性があるからといって、三菱重工業全体の成長まで止まるとは限りません。
同社には、IHIや川崎重工業と比較する際にも注目したい、強力なエナジー事業があります。

特に重要なのが、発電所で使用される大型ガスタービンです。

ガスタービンは、燃料を燃焼させて生み出した高温・高圧のガスでタービンを回し、発電するための中核設備です。
大型でありながら、高い効率と信頼性が求められます。
この分野で世界的な競争力を持つ企業は限られており、三菱重工業のほかには米GEや独シーメンス・エナジーなど、事実上ごく少数の企業に絞られます。

高度な技術と豊富な納入実績が必要なため、新しい企業が短期間で参入するのは困難です。
この参入障壁の高さは、三菱重工業の大きな競争優位性です。

AIデータセンターの増加がガスタービン需要を押し上げる

現在、ガスタービン需要を押し上げている大きな要因が、AIの普及に伴うデータセンターの建設ラッシュです。

生成AIをはじめとする高度なAIを動かすには、大量のサーバーと膨大な電力が必要です。
しかも、データセンターは基本的に24時間365日稼働します。夜間や天候に関係なく安定した電力を供給し続けなければなりません。

太陽光発電や風力発電は、脱炭素社会に欠かせない電源ですが、発電量が日照や風の状況に左右されます。
蓄電技術との組み合わせは進んでいるものの、現時点ではデータセンターの巨大な電力需要を常時安定して支えるには課題も残ります。

そのため、比較的短期間で建設でき、出力を調整しやすく、安定運転が可能なガス火力発電への需要が高まっています。
なかでも高効率なガスタービン・コンバインドサイクル発電は、電力供給力を確保する現実的な選択肢として注目されています。

三菱重工業のガスタービン事業では売上収益が伸び、2025年度の受注高も前年度から大幅に増加しました。

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出典:三菱重工業 決算説明資料

2026年度の会社見通しでは受注高の減少が見込まれているものの、データセンター建設が予想以上に続けば、受注が計画を上回る可能性もあります。

防衛需要が政策による集中投資でいったん落ち着く可能性があるのに対し、AIとデータセンターによる電力需要は、より長期的な成長テーマになる余地があります。
三菱重工業は、防衛関連銘柄であると同時に、データセンター関連銘柄としての側面も持っているのです。

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