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株価下落「三菱重工」今が買い?長期投資家が見るべき“防衛だけじゃない”強さと投資リスク=栫井駿介

株価が上がった企業はもう買えないのか

三菱重工業の株価は、数年前と比べて大きく上昇しています。
そのため、「すでに上がりすぎていて、今からでは遅い」と感じる投資家もいるでしょう。

しかし、過去の株価が安かったという理由だけで、現在の株価を割高と判断することはできません。
企業の収益力や競争力が高まれば、その企業の適正価値も上昇するからです。

三菱重工業には、防衛費の増額、データセンターによる電力需要、ガスタービン市場での高い競争力、原子力の再評価など、過去にはなかった追い風があります。
経営も収益性重視へ変化しています。
そのため、かつての株価水準へ戻ることだけを待つのは、必ずしも合理的ではありません。

重要なのは、過去の株価と比較するのではなく、現在の事業価値と将来生み出す利益を見積もり、それに対して株価が十分に安いかを判断することです。

もちろん、好材料があっても、どの価格でも買ってよいわけではありません。
業績の伸びを強気に見積もりすぎず、安全余裕を確保できる水準を待つ姿勢が求められます。
市場全体の下落などで株価が大きく調整した際には、改めて企業価値と株価を比較したい銘柄の1つといえるでしょう。

2026年8月4日発表の決算は好調

三菱重工が2026年8月4日に発表した決算では、事業利益が前年同期比65%増となり、非常に好調な内容となりました。

注目したいのが、各事業における受注の動向です。防衛・宇宙事業の受注高は前年同期を大きく下回ったものの、会社側は通期の受注見通しを上方修正しています。

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出典:三菱重工 決算説明資料

今後の受注獲得に対する見通しは明るく、防衛事業についても受注減少に歯止めがかかる可能性があります。

また、これまで好調を維持してきたエナジー事業についても、通期の受注見通しが上方修正されました。

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出典:三菱重工 決算説明資料

旺盛な需要が続いており、引き続き三菱重工の業績を支えることが期待されます。

このほか、プラント・インフラ事業や物流・冷熱・ドライブシステムなどの事業も堅調に推移しており、全体として足元の事業環境は良好です。

決算発表を受け、三菱重工の株価は上昇に転じました。
これまで株価は調整基調が続いていましたが、今回の好決算と受注見通しの上方修正を踏まえると、反転の兆しが見え始めたと捉えることもできそうです。

もっとも、短期的な株価の方向性を決算だけで判断することはできません。
今後は、上方修正された受注計画が実際にどの程度達成されるのか、各事業の収益性が維持されるのかを確認していく必要があります。

まとめ:防衛の一服だけで三菱重工業を判断しない

三菱重工業を分析する際のポイントは、次の3点です。

第一に、防衛事業は2023年度から2027年度までの集中整備を背景に成長してきましたが、新規受注の勢いには一服感があります。
防衛予算が高水準を維持しても、装備品の新規取得から維持・運用へ予算配分が移れば、これまでのような伸びが続くとは限りません。

第二に、三菱重工業は防衛関連企業である以上に、世界有数のエネルギー機器メーカーです。
AIデータセンターの増加を背景とするガスタービン需要に加え、中長期的には原子力事業にも成長の余地があります。
利益規模でもエナジー事業の存在感は大きく、同社の将来性を考えるうえで欠かせない視点です。

第三に、約13.2兆円の受注残は将来の売上を支える一方、利益を保証するものではありません。
インフレ、原材料費、人件費、工期遅延などによって大型案件の採算が悪化するリスクがあります。
受注を予定どおり消化し、利益とキャッシュを残せるかが今後の最大の焦点です。

足元の株価下落だけを見て、すぐに買い場と判断するのは早計です。
一方、防衛関連株の調整だけを理由に三菱重工業の将来性を否定することも適切ではありません。

防衛需要の一服、エナジー事業の成長、受注残の採算、経営改革の進展、そして株価に織り込まれた期待を総合的に比較し、自分なりの適正価値を見極めることが重要です。


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image by:Tada Images / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2026年8月6日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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