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株価下落「三菱重工」今が買い?長期投資家が見るべき“防衛だけじゃない”強さと投資リスク=栫井駿介

利益の柱は防衛よりもエナジー

三菱重工業に対しては防衛関連企業という印象が強くなっていますが、利益規模を見るとエナジー事業の存在感が際立ちます。

前期の事業利益は、防衛・宇宙セグメントが約1,515億円だったのに対し、ガスタービンなどを含むエナジーセグメントは約2,600億円でした。

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出典:三菱重工業 決算説明資料

話題性では防衛事業が目立つものの、利益面ではエナジー事業のほうが大きいのです。

したがって、三菱重工業の将来性を判断する際、防衛費の動向だけを追っていては不十分です。
ガスタービンの受注、世界の発電設備投資、データセンターの電力需要などを合わせて確認する必要があります。

脱炭素時代にガス火力はいつまで必要か

ガスタービンの需要が好調であっても、長期的な課題は残ります。
天然ガスを燃焼すれば二酸化炭素が排出されるため、ガス火力は完全なグリーン電源ではありません。

AIを発展させるためにデータセンターを増やし、その電力を供給するために化石燃料を燃やし続けることが、社会的にいつまで許容されるのかという問題があります。
気候変動への危機感が強まれば、ガス火力への規制や投資姿勢が変化する可能性も否定できません。

一方で、再生可能エネルギーだけでは安定供給が難しいという現実もあります。
こうしたなか、脱炭素と安定供給を両立する選択肢として、再び注目されているのが原子力発電です。

原子力事業も中長期の成長候補

三菱重工業は、ガスタービンだけでなく原子力関連技術も持っています。

原子力発電は、発電時に二酸化炭素をほとんど排出せず、天候に左右されにくい安定電源です。
安全性、廃棄物、建設費、工期などの課題はあるものの、データセンターなどによって電力需要が急増するなか、世界では原子力を活用しようとする動きが広がっています。

特に近年は、従来の大型原子炉に加え、比較的小型で柔軟な導入を目指す小型モジュール炉(SMR)への関心も高まっています。
三菱重工業の原子力関連事業では受注高に年度ごとの変動が見られるものの、世界的な電力不足と脱炭素の要請を考えれば、中長期的な需要拡大の可能性があります。

原子力設備もガスタービンと同様、誰でも作れる製品ではありません。
高度な技術、厳格な品質管理、長期にわたる実績が必要であり、供給できる企業は世界でも限られています。

三菱重工業は、ガス火力が必要とされる局面でも、その先に原子力が拡大する局面でも関与できる立場にあります。
このエネルギー分野での選択肢の広さは、同社を評価するうえで重要なポイントです。

政策と外部環境に左右されるリスク

三菱重工業の事業は国や社会のインフラに深く関わるため、政策の影響を強く受けます。

防衛事業は政府の予算や安全保障政策に左右されます。
原子力事業も、国ごとのエネルギー政策、規制、世論によって事業環境が大きく変化します。

また、現在のガスタービン需要を支えているAIデータセンターの建設ブームが一服すれば、エナジー事業に対する高い成長期待が後退する可能性があります。

「国策に売りなし」という相場格言はありますが、国策であることだけを理由に無条件で買えるわけではありません。
国策関連株は注目が集まりやすい分、期待が株価に織り込まれすぎることもあります。
予算の規模だけでなく、いつ、何に使われ、企業の受注と利益にどのようにつながるのかまで確認することが大切です。

Next: 三菱重工業は買いか?長期投資家が持つべき視点

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