■株式相場見通し
予想レンジ:上限60000円-下限56000円
今週末の米国株式市場はまちまち。ダウ平均は前日比237.33ドル安の51285.73ドル、ナスダックは同264.43ポイント高の24579.43で取引を終了した。225ナイト・セッションは日中終値比840円高の58250円。雇用統計の上振れを受けて長期金利が上昇し、株式市場の重しとなった。一方、前日に急落したAI・半導体関連株にはリバウンド狙いの押し目買いが優勢となり、ハイテク主体のナスダックは上昇している。
米中間選挙での民主党の躍進は相当程度織り込まれていたとみられるが、同時に行われた州知事選でも民主党が大勝。とりわけ、テキサス州における知事選で民主党のジーナ・イノホサが勝利したことで、AIデータセンター規制強化への懸念が一段と強まることとなった。テキサス州はデータセンター建設計画が集中している地域であるが、イノホサ氏は選挙戦でデータセンターの新規開発停止を公約に掲げていた人物。短期的に、AI関連株には突っ込み警戒感も意識される状況であるが、データセンター建設に新知事とどのような折り合いをつけていくのか、今後の波乱の芽は残る形であろう。ちなみに、足下の株価下落に伴い、アンソロピックの新規株式公開(IPO)に備えた換金売りの動きは進んだものと捉えられる。なお、アンソロピックのIPO延期などは短期的な株価へのリスク要因となろう。
一方、民主党の上・下院奪取に伴って米長期金利は低下しつつある。トランプ米大統領が再度イラン攻撃に踏み切るリスクは捨てきれないが、中東情勢の悪化がなければ、インフレ懸念は大きく後退することになる。非AI銘柄への資金シフトが強まる余地は大きく、米国株のこうした流れは東京市場にも波及しよう。また、民主党の躍進に伴う関連銘柄の物色意欲なども活発化していく可能性がある。金利低下メリットのある不動産株や、代替エネルギー関連、EV関連なども注目される。また、関税強化への懸念が後退することで、自動車株などにも買い安心感が強まりそうだ。なお、翌週は急落したAI関連株のリバウンド狙いなど、AI関連株にも短期資金の関心は高まる見込み。
国内では来週末にかけて、主力銘柄の7-9月期決算発表が続く。9日にはオリックス<8591>、三菱地所<8802>、商船三井<9104>、JX金属<5016>、10日にはソフトバンクグループ<9984>、ホンダ<7267>、フジクラ<5803>、住友金属鉱山<5713>、11日はリクルートホールディングス<6098>、ENEOSホールディングス<5020>、レゾナック・ホールディングス<4004>、13日にはSMC<6273>、メガバンク各社などが予定されている。資金シフトが強まるとの期待もある非AI銘柄には好決算がストレートに反応する可能性があるほか、株価が調整したAI関連銘柄は、これまでのように出尽くし感が強まりやすい状況からは脱却することが想定される。海外企業の決算では、12日に予定されているアプライド・マテリアルズが最注目となろう。
経済指標では、10日発表予定の米消費者物価指数(CPI)が注目される。長期金利がピークアウトする中、CPIの下振れは12月の利上げ見送りの可能性を高めさせることにつながる。雇用統計を受けて12月利上げの織り込みが進んでいるため、一段のダウンサイドにはつながりにくいイベントと考えられる。
■為替市場見通し
ドル・円は底堅いか。米中間選挙で民主党が上下両院の多数派を獲得し、データセンター規制強化への警戒からハイテク株を中心とした株安で円買い先行。ただ、米雇用統計の強さを受けた連邦準備制度理事会(FRB)の12月利上げ観測からドルの下げは限定的となりそうだ。11月3日の米中間選挙で、民主党が上下両院で多数派を奪還し、データセンター建設への規制強化が警戒されやすい。ハイテク株を中心に売りが強まれば、リスク回避的な円買いが続く可能性がある。また、財政協議の停滞や財政赤字の拡大に対する懸念も、ドル売り材料となろう。トランプ政権内では中間選挙の敗因について、イランへの攻撃と一部で分析されている。米国のパートナーであるイスラエルの政治情勢も不安定化しており、中東の地政学リスクに対する懸念が一服、原油相場の値下がりもドル売り要因となりそうだ。10日と13日に発表予定の米10月消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が注目される。加速すればドル買い材料となるものの、原油相場の先安観が広がればインフレ圧力の弱まりが見込まれ、過度なドル買いを抑制しよう。一方、6日発表の米10月雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に上回り、失業率も低下した。労働市場の底堅さを受けてFRBの12月追加利上げ観測が強まり、米金利の上昇を通じたドル買いが入りやすい。また、トランプ政権に対する議会の監視機能が強まり、金融政策に対する政治的圧力の弱まるとの期待もある。もっとも、ドル・円は全般的に下げづらいものの、「防衛ライン」とされる160円が視野に入れば、日本当局による為替介入への警戒が強まり、戻り局面では上値が重くなりそうだ。
■来週の注目スケジュール
11月9日(月):財務省が為替介入実績・日次ベース公表(7-9月)、景気一致指数(9月)、景気先行CI指数(9月)、米・卸売在庫(9月)、米・NY連銀1年先インフレ期待(10月)、中・消費者物価指数(10月)、中・生産者物価指数(10月)、中・資金調達総額(10月、15日までに)、中・マネーサプライ(10月、15日までに)、中・元建て新規貸出残高(10月、15日までに)、国連気候変動枠組み条約第31回締約国会議(COP31)開幕(20日まで)など
11月10日(火):家計支出(9月)、国際収支(経常収支)(9月)、銀行貸出動向(含信金前年比)(10月)、貸出動向 銀行計(10月)、日銀金融政策決定会合における主な意見(10月29・30日分)、景気ウォッチャー調査 現状判断(10月)、景気ウォッチャー調査 先行き判断(10月)、米・CPI(10月)、中・貿易収支(10月)など
11月11日(水):マネーストック(10月)、工作機械受注(10月)、独・CPI(10月)、集団安全保障条約機構(CSTO)首脳会議、石油輸出国機構(OPEC)月報、米・債券市場は休場(ベテランズデー)、中・「独身の日」など
11月12日(木):浅田日銀審議委員が長崎県金融経済懇談会で講演、同記者会見、国内企業物価指数(10月)、東京オフィス空室率(10月)、米・新規失業保険申請件数(先週)、米・中古住宅販売件数(10月)、米・財政収支(10月)、欧・欧州中央銀行(ECB)経済報告、英・鉱工業生産(9月)、英・GDP(7-9月)など
11月13日(金):米・PPI(10月)、中・経常収支速報(7-9月)、欧・ユーロ圏GDP(7-9月)、露・GDP(7-9月)など
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