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なぜ利上げでドル安円高になるのか?安倍政権への2つの注文=三橋貴明

世界が恐れるべきは、新興経済諸国の通貨暴落による債務不履行

勘違いしている人が少なくないのですが、ユーロ圏内を除き、おカネを「移す」ことはできません。日本円は、日本国内でしか使えません。この種の国際的な資金移動で発生するのは「両替」であり、主たる現象として為替レートの変動として現れます。

新興経済諸国(中国含む)から資金が「純流出」しているとは、要するに外貨への両替が増えているという話です。今の世界が恐れるべきは、新興経済諸国の通貨暴落による債務不履行なのです。(あるいは通貨危機)

18日、中国人民銀行がオフショア銀行の人民元預金に預金準備率を適用すると発表しました。コメルツ銀行のシニアエコノミストであるZhou Hao氏は、「人民元が急速に下落することを見込んでいる投機筋に対する人民銀行の警告だ、と市場は受け止めている」
と語りました。

中国もまた、すでにして「為替暴落」の懸念を抱いているわけです(実際、外貨準備は月に10兆円前後のペースで減っています)。

そして、現在の新興経済諸国の為替危機を引き起こしたのは、「中国経済が永遠に成長するという幻想」が崩壊したことです。大本の需要(中国)が設備投資過剰による供給能力過剰に苦しむ状況では、しばらくは新興経済諸国の経済が安定することはないでしょう。

すなわち、ドル高、そしてそれ以上の円高が続く可能性が高く、海外投資家が取引に占めるシェアが七割を超えた日経平均が上昇に転じることは、安倍政権がよほど大規模な経済対策でもやらない限り、しばらくはないという話です。

もっとも、現在の株安は海外投資家の「利益追求」のために引き起こされているわけです。そんなものを指標にしていた安倍政権が、そもそも間違っていたわけですが、

もはや、「株価至上主義」を成立させていた円安株高は、終焉したと理解するべきなのです。といった話題を、三橋経済塾 では「経済時事」として取り上げていきます。繰り返しますが、別に東京にお越しになられなくても、インターネット経由でどこからでも、いつでも受講できますので、ご検討くださいませ。

安倍政権に話を戻しますが、もはや表向きの理由は何でも良いので(中国経済失速でも、日経平均の下落でも)、とにもかくにも実体経済を立て直す大規模財政出動と消費税増税の凍結(もしくは減税)を推進するべきです。「外国」に依存して経済政策をやっていけた時代は、もはや終わったと、最後に申し上げておきます。

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