■要約
NSグループ<471A>は、住居用及び事業用の賃貸不動産市場で家賃債務保証事業を手掛けている。子会社の日本セーフティー(株)が入居者の連帯保証人となり、賃料や管理費の支払いを保証するサービスを全国で展開する。不動産仲介会社、管理会社、賃貸人を主な取引先とし、入居時の保証委託契約に基づき新規保証料や更新保証料を受領する仕組みで収益を得ている。入居者が家賃を滞納した場合には同社が賃貸人へ代位弁済を行い、その後入居者から回収する。保証人を確保しにくい社会環境の変化により利用は拡大しており、同社は長年の審査ノウハウと回収体制を生かして事業を成長させてきた。加えて、家賃の集金代行サービスも提供し、分別送金などの機能により賃貸管理業務の効率化に貢献している。全国の営業網と不動産会社との取引関係、審査から回収までの一体的な運営体制が競争力となっている。
1. 2025年12月期の業績概要
2025年12月期の業績は、営業収益が前期比13.2%増の29,826百万円、営業利益が同12.0%増の9,873百万円、調整後EBITDAは同18.2%増の13,148百万円、税引前利益が同6.5%増の9,365百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益が同11.3%増の6,325百万円となった。営業収益が拡大した主な要因は、新規契約件数の増加と家賃単価の上昇による新規保証料の拡大であり、新規保証料は同12.2%増の14,257百万円となった。なかでも事業用保証の成長が大きく、コロナ禍以降、事業用賃貸では敷金水準の低下やテナントの資金繰りへの配慮から保証会社を利用する契約が増えており、同社の契約獲得が進んだと考えられる。契約の拡大に伴い将来の更新契約の母数も増加しており、ストック収益の成長にもつながっている。過去契約の積み上げによるストック収益である更新保証料は同9.5%増の11,956百万円となった。営業費用は同14.3%増の20,444百万円となった。将来の事業拡大を見据えた人員増強により人件費が増加し、従業員給付費用は人件費の増加により同15.4%増の5,926百万円となったものの、調整後EBITDAマージンは44.1%と同1.9ポイント改善した。
2. 2026年12月期の業績見通し
2026年12月期業績は、営業収益が前期比10.9%増の33,069百万円、営業利益が同20.5%増の11,898百万円、調整後EBITDAは同4.8%増の13,779百万円、税引前利益が同21.5%増の11,379百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益が同24.9%増の7,900百万円の見通しである。営業収益は、家賃債務保証事業における新規契約の増加と家賃水準の上昇により、引き続き拡大する見込みだ。住居用保証では、世帯数の増加や都市部の賃貸需要の底堅さを背景として契約数の拡大が続く見通しである。特に同社のシェアが相対的に低い大都市圏での営業強化により、契約件数の増加を図る。事業用保証では、店舗やオフィス向けの賃料保証需要が拡大しており、同社が成長分野と位置付ける事業用保証の伸びが収益拡大をけん引すると見られる。利益面では、収益の拡大に加え、貸倒関連費用の抑制や一時費用の減少が寄与し、営業利益は同20.5%増と高い成長を見込む。なお、2025年12月期には東証プライム市場への上場に伴う関連費用など1,449百万円の一時費用が発生しており、2026年12月期はこれらの費用が剥落することも利益押し上げ要因となる。利益ガイダンスはやや保守的な印象であり、計画どおり新規契約の拡大と貸倒関連費用の管理が進めば、一定の上振れ余地があると弊社では考えている。
3. 中長期の成長戦略
同社は、2025年11月12日に2027年12月期までの中期経営計画を公表し、家賃債務保証事業の拡大と収益構造の高度化を軸とする成長戦略を掲げている。主力である家賃債務保証事業の競争力を高めつつ、保証領域の拡張や不動産DX関連サービスの拡大も視野に入れ、業界トップのポジションをより強固にする方針である。2027年12月期の定量目標として、営業収益365億円(2024年12月期から2027年12月期までの年平均成長率約12%)、調整後EBITDAマージン43.0%を掲げており、高い売上成長と収益性の両立を目指す。事業KPIとしては、新規契約件数38.5万件、新規保証料185億円を目標としている。内訳は、住居用保証が新規契約29.5万件、新規保証料115億円、事業用保証が新規契約3.5万件、新規保証料60億円であり、住居用、事業用の双方で契約数の拡大を図る。成長の中核は家賃債務保証事業の拡大である。住居用保証では大都市圏での営業体制を強化し、未開拓エリアへの人員配置と取扱店拡大により契約件数とシェア向上をねらう。事業用保証では、不動産会社やデベロッパー、REITなどへの営業を強化し高単価分野を伸ばす。併せて、付加価値サービスのクロスセルや集金代行の拡大、審査高度化と業務効率化により収益性の向上を進める。
■Key Points
・家賃債務保証事業を全国展開、審査から回収までの一貫体制で賃貸インフラを支える
・2025年12月期は新規契約件数の拡大及びストック収益の積み上げにより2ケタ増益
・2026年12月期は事業用保証が成長をけん引、AI活用と回収体制の向上で高成長が続く見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
いま読まれてます
記事提供: 
元記事を読む