■事業概要
3. 収益モデル
ビジュアル・プロセッシング・ジャパン<334A>の収益モデルは、クラウドを通じてサービスを提供するサブスクリプション型と、サーバーやネットワーク機器、ソフトウェアを顧客施設内に設置して運用するオンプレミスのライセンス型に大別される。いずれも月額課金を基本とするビジネスモデルであり、同社が直接または販売代理店を経由して顧客に提供する。導入時には、顧客ニーズに応じた「CIERTO」のカスタマイズや拡張機能の開発による開発収入のほか、導入後の運用維持やサポートを提供する保守収入が発生する。一方で、クラウドサービスパートナーやハードウェア・ソフトウェアなどの仕入先に対しては、利用料やライセンス料を支払う構造となっている。
2025年12月期のサービス別売上高は、ARR継続ビジネスにおいて継続SaaSが559百万円(構成比40.7%)、継続保守が230百万円(同16.7%)となり、合計789百万円(同57.4%)を占める。新規プロダクトビジネスでは、新規SaaSが88百万円(同6.4%)、新規ライセンスが71百万円(同5.2%)、初期技術費用が65百万円(同4.7%)となり、合計225百万円(同16.4%)となった。このうち新規SaaSと新規ライセンスは、翌期の継続SaaS及び継続保守へ移行し、ARR継続ビジネスの積み上げに寄与する構造となっている。新規関連ビジネスでは、新規開発案件が217百万円(同15.8%)、新規SIが141百万円(同10.3%)となり、合計359百万円(同26.1%)に上った。契約件数の増加とともにストック収益が積み上がる安定したビジネスモデルと言える。
4. 特長と強み
(1) 自社開発「CIERTO」による機能統合と柔軟な拡張性
自社開発の「CIERTO」は、国内で唯一、ワンシステムでDAMとPIMの両機能を内包している点が最大の強みである。この統合的なソリューションにより、顧客企業は散在する商品情報とデジタルアセットを一元管理でき、マルチチャネル制作における生産性向上とブランディングの統一を同時に実現できる。自社開発ゆえに顧客の個別ニーズに応じた柔軟な機能拡張が可能であり、2022年にはファイル情報の更新を円滑にする「FSモニター」技術で特許を取得するなど、他社に対する技術的優位性を確立している。
また、近年は生成AIの活用が進んでいるが、企業コンテンツには著作権管理やブランド統制、製品情報の正確性確保が求められており、AI単独での代替は限定的である。むしろAIが参照する正確性や権利を担保する管理基盤としてのDAM・PIMの重要性は高まっており、同社製品はAI活用を支える情報ガバナンス基盤としての役割を担っている。
(2) ストック収益を基盤とした安定的な収益構造
収益面ではサブスクリプション型を主軸とした安定的なビジネスモデルを構築しており、保守を含む月額利用料などの継続収入が売上全体の約7割を占めている。「CIERTO」の解約率は2025年12月期に2.44%と低水準を維持しており、売上の積み上げに伴い固定費の吸収が進むことで限界利益率が高まりやすく、継続売上の拡大は利益率の向上につながる収益構造となっている。
この高い継続率と収益性を支えているのが、独自のカスタマーサクセス体制である。同社は技術者が20~30社の顧客を担当するアカウント制を採用しており、保守対応の枠を越え、顧客の運用状況や業務フローを継続的に把握しながら活用支援や改善提案を行っている。継続収益の積み上がりとアップセルによる顧客単価の向上により、2025年12月期の営業利益率は前期比3.7ポイント上昇し18.9%となった。今後も収益性の向上が見込まれる。
(3) 国内市場の開拓実績と国際的な評価プラットフォームによる認定
同社はDAM領域に特化した製品開発と導入支援を長年継続してきた実績を背景に、国内市場の普及をけん引してきた。印刷・出版分野から一般企業の販促・EC領域まで幅広い導入経験を持ち、多様なコンテンツ制作環境や業務ワークフローに対応するノウハウの蓄積が競争優位性となっている。
また、主力製品「CIERTO」は世界的なソフトウェア評価プラットフォームG2.com※において、2025年にAPAC地域のDAMソフトウェアで「Regional Leader」に選出されるなど、国際的にも高い評価を獲得している。こうした外部評価は製品力と顧客満足度の裏付けであり、国内での信頼性向上に加え、APAC市場への販路拡大を後押しする要因となっている。
※ 企業向けソフトウェアに関するユーザーレビューを基に評価・ランキングを行う世界的なソフトウェア評価プラットフォームであり、製品力や顧客満足度を示す客観的な外部評価として活用されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
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