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ゼンムテック Research Memo(7):2030年12月期まで年売上高CAGR30%を目指す

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■ZenmuTech<338A>の中長期の成長戦略

1. 中長期成長目標「30×30」
同社は、2030年12月期を最終年度とする中長期成長目標として「30×30」を策定した。中期的な目標として、売上高CAGR30%及び営業利益率30%の達成を設定するとともに、長期的には独自の秘密分散・秘密計算技術の社会実装により、売上高10,000百万円規模の事業への拡大を目指す。既存事業の深化による「オーガニック成長」を加速する一方、新たな市場開拓による「インオーガニック成長」を推進し、高収益なビジネスモデルの確立と持続的な企業価値の向上を図る戦略である。

オーガニック成長では、主力ZVDの代理店販売網強化や、製品ラインナップの拡充による市場シェアの拡大を進める。また、ZENMU Engine及び秘密計算事業を強化し、売上拡大による利益成長を目指す。これらの事業ではロイヤリティ型ビジネスへの転換を進めることで、ZVD中心の製品ポートフォリオの分散を図る。インオーガニック成長では、海外展開の本格化や技術補完を目的としたM&Aに取り組む方針である。

また、サブスクリプション型のストック売上を積み上げることで、2027年から2028年頃にはストック収益のみで黒字化が可能な事業基盤の確立を目指す。

「置き換え」と「共存」の両面展開

2. 情報漏洩対策ソリューション「ZVD」
(1) 販売代理店網の強化
ZVDの潜在的なターゲット市場は、日本国内のホワイトカラー層約2,700万人のうち、VDIユーザー834万人である。現在のZVDユーザー数は約11万人に過ぎず、成長余地は大きい。同社は、5年以内に国内VDIユーザーの5%(約42万人)を獲得することを目標に掲げている。成長戦略の柱は、「置き換え」と「共存」の両面展開である。VDIは高いセキュリティを持つ一方で、通信依存度の高さやサーバー・ネットワーク負荷によるパフォーマンス低下、さらにインフラ投資コストの高さなどの課題を抱えている。同社はZVDの低コストかつ通信依存度の低さを訴求して、VDIからの置き換え需要を取り込む。さらに同社は、2025年にサービス提供を開始したVDI共存型のZLEを推進している。VDI環境をそのまま利用してZENMU-AONTを導入できるため、PC更新タイミングに依存せず短期間での導入が可能であるとともに、将来的なZVD通常版への移行も期待できる。VDIの販売実績が豊富なSIerなどの販売代理店を活用し、販売力を強化する。

さらに、同社は非VDI市場も視野に入れている。これまでPC内のデータ保護ニーズはあったものの、コストや運用負担の大きさから対応が進んでいなかった中小企業や会計事務所などが対象である。ZVDの低コストと導入のしやすさを訴求し、中堅SIerや販売代理店を通じて、新規顧客獲得を図る。

(2) カスタマーサクセスの強化
同社は、カスタマーサクセス活動を通じて契約継続率の向上とアップセルにも注力する。ユーザーサポートを強化するとともに、ユーザー間で利用ノウハウを共有できるプラットフォームの導入を予定している。また、デバイス管理・バックアップ・認証など他社セキュリティ製品との連携を拡大し、総合的なセキュリティ強化を進める。2024年12月に設立されたトラストセキュリティ・コンソーシアムへの参加も、この連携戦略の一環である。

(3) 製品ラインナップの拡充
同社は製品ラインナップの拡充にも取り組んでいる。次世代製品として、従来のWindows PC限定という制約を解消するため、「クラウド秘密分散ストレージ(秘密分散ストレージ)」の開発を進めている。これはPC内ではなくクラウド側のデータを秘密分散で保護する製品であり、端末やOS、ブラウザ環境を問わないマルチデバイス対応を実現するものである。通信環境の向上を見据えたこの新製品の投入により、ZVDの適用範囲を拡大し、多様化する働き方に伴うセキュリティ需要を取り込む計画である

アライアンスパートナーとの連携強化によりZENMU Engineの適用領域を拡大

3. 秘密分散ソフトウェア開発キット「ZENMU Engine」
ZENMU Engineの適用領域は幅広く、映像などのデータ配信やブロックチェーンの認証強化、クラウドやIoT機器のデータ保護などに活用できる。IoT機器には、ウェアラブル端末、車載カメラ、ドローン、家電などが含まれ、ZENMU-AONTの技術を組み込むことで、各機器内に保存されたデータや転送中のデータを保護することが可能となる。

これらの市場規模は大きく、例えば車載データ保護・管理分野は2030年に世界市場で約319億ドル、ブロックチェーン分野は2025年に国内市場で約7,247億円、防犯カメラ内のデータ保護は2026年に世界市場で約6.4兆円、ドローン内のデータ保護は2028年に国内市場で約9,054億円と推定されている。

ドローン市場では、アライアンスパートナーであるネクストウェア<4814>及び(株)アイ・ロボティクスと共同で、ドローンや移動型ロボットに搭載する「インテグリティ・ドローン」技術の実証実験に成功した。これは、ドローンが予期せぬ落下などの事故を起こした際に、自律移動用プログラム、飛行経路情報、撮影データといった機密情報が漏洩するリスクに備え、データを瞬時に無意味化する技術である。

また、2025年6月には、医療AIプラットフォーム技術研究組合(HAIP)に組合員として参画した。同社の秘密分散技術を医療AIプラットフォームのサービス事業基盤や開発基盤に適用し、業界共通の基盤技術の研究開発を一層加速することが期待される。

同社では、自治体向けソリューションのセキュリティ強化プロジェクトや、AIで利用するデータのセキュリティと利便性を両立させるプロジェクトなど、複数案件が2026年中リリースに向けて進行している。既存パートナーとのアライアンスによる商品リリースに向けた伴走支援を継続する一方で、新規パートナーの開拓にも取り組む。また、秘密分散技術の特性を生かしたOEMプロダクト群の構築にも注力している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
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