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プロジェクトHD、主力DX事業で単価改善が進展 再成長フェーズで売上高年平均20%成長を目指す

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2026年5月16日にログミーFinance主催で行われた、第132回 個人投資家向けIRセミナーの第4部・株式会社プロジェクトホールディングスの講演の内容を書き起こしでお伝えします。

自己紹介

土井悠之介氏(以下、土井):株式会社プロジェクトホールディングス、代表取締役社長執行役員CEOの土井悠之介です。最初に、簡単に自己紹介します。

私は平成元年生まれで、少し変わった環境で育ちました。母が作曲家、父が囲碁のプロ棋士というプロフェッショナルな両親のもとで育ち、私自身もなにかしらの分野でプロになりたいと考えながら幼少期を過ごしました。

大学生や社会人になった頃、日本全体を見渡した際に感じたのは、アメリカでは時価総額ランキングの上位企業が50年前から今に至るまで大きく変化している一方で、日本社会では顔ぶれがほとんど変わっておらず、あまり変化が起こっていないマーケットであるということです。

そのような状況の中で、日本では2000年から起業家を輩出する国策が進められ、起業家の数は増えていますが、生産性の改善にはなかなか至っていません。そうした社会環境や課題を目の当たりにした際に、私自身が起業家や経営人材となり、社会に対してなにかインパクトを与えたいと思い、経営のプロを目指そうとキャリアを歩んできました。

現在、経営者として一流の経営者の方々の薫陶を受けながら、自身の成長に努めています。その中で、プロジェクトホールディングスを着実に成長させ、マーケット価値の高い会社にしていきたいと考えています。

グループ経営理念

土井:本題に入ります。まずはプロジェクトホールディングスの概要について、みなさまにご説明します。

プロジェクトホールディングスは、創業以来、「プロジェクト型社会の創出」というミッションを掲げています。

これは、プロジェクト型を体現するプロフェッショナル人材を育成・輩出し、企業変革を実現する多様なソリューションを提供することで、市場に存在する顧客1社1社を次世代を代表する企業へと導き、日本社会の復活を目指すという想いを持った会社です。

超長期で目指す姿

土井:このプロジェクト型社会の創出は、プロジェクト型人材に支えられています。しかし、マーケットを見渡した際に、意志を持ってチャレンジする人材があまり多くないのではないかと感じています。

言われたことをきっちりこなす、タスク型人材と我々は呼んでいますが、そのような人材は多いものの、未来を見据え、意志を持ってチャレンジするような人材がもっと増えることが望ましいと考えています。そのような人材を輩出することが基本的な考え方です。

このような人材が多く育成、輩出されることで、マーケットの課題を見つけて事業化を進め、多様な社会課題を解決する道筋が立っていくのではないかと考えています。そして、それを実現することで、我々のビジョン達成を目指しているところです。

当社は大きく2つの方針を掲げています。プロジェクト型人材を1,000人マーケットに配置すること、また、そのような人材が先頭に立って事業を牽引し、「100億円×100事業」を創造して新たなマーケットを築き、マーケットを活性化させていくことです。

2045年には売上高1兆円を達成し、日本を代表する企業となることを目標に掲げ、経営を進めています。

グループ概要

土井:グループの概要です。当社は2016年に設立され、現在11期目を迎えています。従業員数は約370名です。事業体制としては、ホールディングスの傘下に大きく3つのセグメントがあります。

1つ目はプロジェクトカンパニー、2つ目はアルトワイズ、3つ目はDr.健康経営という会社です。プロジェクトカンパニーでは、いわゆるDXや、最近ではAIを活用した企業のコンサルティング支援を行っています。アルトワイズではエンジニアの派遣を手掛けています。Dr.健康経営では、組織の健康状態をより良くするために、産業医や保健師のマッチングを行っています。

本日は主に、中心となるプロジェクトカンパニーについてご説明します。

当社グループが取り組む企業課題

土井:当社が取り組んでいる企業課題、マーケット課題についてご説明します。日本の企業全体を見渡したとき、なぜ生産性が向上しないのか、またグローバルで見ても、なぜ良い会社が次々と生まれてこないのかといった疑問が生じます。

こうした観点で日本全体を見た場合、経営層や経営層を支援する戦略コンサルティングは非常に充実しているように思います。

しかしながら、いくら良い戦略を描いても、現場の部長や課長といった層に多くの業務が舞い込んで、なかなか進まないことがあります。結果として、描かれた戦略が実行に移されないことが最大のボトルネックとなり、イノベーションの阻害要因になっているのではないかと考えます。

我々はこのように捉え、従来のコンサルティングが役員向けの経営戦略支援を中心としている中で、戦略を実現する責任を持つ現場の部課長や執行役員の方々に伴走しながら、戦略をいかにマーケットで現実化するかに支援の重点を置いている会社です。

一般的なコンサルティング会社との立ち位置の違い

土井:一般的なコンサルティングファームとの違いについてです。一般的なコンサルティング会社は、何が正しいのかという正解を導き出す支援を中心に据えていると考えています。

しかし、正解を描いても、現場ではさまざまなしがらみやアジェンダが存在するため、正解があってもなかなかマーケットで表現できなかったり、実行が途中で止まってしまったりします。また、実行の段階で戦略とは異なるかたちで最終的な着地を迎えることもあります。

我々はこのような点が課題であると考えています。そのため、一般的なコンサルティングファームとは異なり、我々は「何が正しいか」だけでなく、「なぜ組織が動かないのか」「なぜ物事が実現されないのか」といった現実に向き合っています。

スライドの表、下から2番目にある「難しさ」に記されているように、論理的思考力だけでは十分ではありません。人間の感情や組織の構造というような、論理的思考では答えが得られないような空気感も含む複雑さをどのように理解し、ほぐして物事を前に進めるのかが非常に重要な支援領域であると考えています。

現在はAI技術が台頭し、過去の事例や論理的思考を用いて正解や最適解を導き出す力はAIに取って代わられる時代が到来しています。

しかしながら、AIでは代替できない人間の感情や組織の力学、現場特有の空気感や温度感といった領域に対して、我々は深くリーチし、いかに現場を動かし、プロジェクトを前に進め、描いた戦略を実現するのかに重きを置いています。

そのため、こうした市場ニーズはこれからも変わらないだろうと考えています。むしろ、これらの要素が今後さらに重要になってくるのではないかと考えながら、ビジネスを展開している会社です。

Case1|誰も決めない会議を、決める会議に変えた

土井:さらにご説明します。わかりやすい事例を2つご用意しました。

1つ目は、各部門の主張が並立し、会議は継続的に開催されているものの、意思決定がなかなか進まないというケースです。こうしたケースは多くの企業で見受けられるため、例として挙げました。

一般的には、論点を明確化し、「この判断軸で進めましょう」という軸を設定して賛否を決めたり、原案を持ち込んで話し合いを進めたりするのが、コンサルティングファームの推進方法かと思います。

しかし、我々は「どのような条件が整えば、議論を前に進めることができるのか」を考え、意思決定を行うのではなく、意思決定が可能なかたちに議論を再設計することを考えました。

意思決定者と決定タイミングを明確に設計し、条件付きではありますが、一歩一歩結論を前に進めるかたちで会議体を変更しました。その結果、物事を最後まで進め、最終的に商品をリリースすることができました。

この事例の特徴は、分析に基づいた最適解を出し、「これが正しい」という主張のロジックを詰めて進めていくのではなく、組織の力学を踏まえて、意思決定がいかに前に進むかを考えながら進めた点です。

組織の深い力学や参加される方々の雰囲気を考慮しつつ、議論をいかに前進させるかを意識して支援した事例でした。

Case2|現場が動けていないプロジェクトの立て直し

土井:もう1つ、事例をご紹介します。プロジェクトに関わるお客さまのメンバーには非常に優秀な方が多かったのですが、役割と判断権限が曖昧で、互いに様子をうかがいながらプロジェクトが停滞してしまう状況が発生していました。

当社では、ゴール定義を「現場で使われる状態」に置き換えました。つまり戦略の資料を作成することや企画を仕上げること、単に良い企画を練ることを目標にするのではなく、「いかに現場で使われる状態のものを生み出すか」に変えました。同時に、各メンバーの役割や判断権限を明確にしていきました。

加えて、週次で進捗状況や課題を率直に発表する場を設計しながら、チームが自走して物事を進められるような仕組みを構築しました。

当社の価値の1つとして、個別の作業支援ではなく、物事が意思決定されて前進するように、自走する組織へと構造を変革する支援が特徴であると考えています。

先ほど従来型のコンサルティングファームとの違いとして、「組織を動かしていく」とお伝えしましたが、この事例のように、組織に深く入り込み、ご支援している点が、当社の極めて重要な価値であると考えています。

主要メンバーと専門領域(1/2)

土井:具体的にどのような人が働いているのかという点について、お示しします。

当社はこれまで若手人材の抜擢と育成を通じて、コンサル未経験者からも事業を牽引する人材を継続的に輩出する取り組みを行ってきました。スライドには、現在非常に当社の中核を担う本部長レイヤーの人々が並んでいますが、彼らはそれぞれ未経験で入社し、当社のさまざまな育成プログラムを経て成長してきた人材です。

大手企業やベンチャー系企業から第2新卒として当社に入社し、官公庁のDX支援の経験を経て複数のチームを率いる本部長クラスの人材に成長した例もあります。5年から6年でここまで成長する人材が活躍しています。

主要メンバーと専門領域(2/2)

土井:一方で、最近では、従来からの若手中心の採用を進めつつ、経験豊富なハイレイヤーの方々の採用も強化しており、入社いただいている状況です。

もちろん上流の戦略案件やAIの共創モデルの構築に対応可能な組織体系を強化するという目的もありますが、これまで活躍してきたポテンシャル層とハイレイヤーの方々との融合を図り、より付加価値の高いサービス提供が可能な環境を整備してきました。

以前のIRでは、若手を中心に採用しポテンシャルを開花させることで、さまざまなマーケットニーズに対応することを強調してお伝えしてきました。しかし昨今では、外部のハイレイヤーの方々を積極的に迎え入れる状況になっています。

そのようなコラボレーションを経て、事業価値を高めながら物事を前に進めていける環境が整ってきたと考えています。

関本圭吾氏(以下、関本):株式会社IR Agents代表の関本です。概要に関して、2点ほどおうかがいしたいと思います。

まず1つ目ですが、AIを含めたDXコンサルティングについてのお話の中で特にユニークだと感じたのは、「100億円×100事業」や「プロジェクト型社会」「プロジェクト型人材」という考え方です。これらは非常に珍しいと感じています。

ぜひ、土井さまのご経歴に関連して、このようなミッションや考え方に至った背景をお聞かせいただけますか? 

土井:先ほどもお話ししたとおり、私自身もなにかしらのプロフェッショナルになりたいという思いを持っていました。同級生やマーケットの人材を見た際に、高い志を持ち、なにかに挑戦しようとしている方が思ったより少ないと感じた経験が、非常に強い原体験としてあります。

日本社会は非常に良い社会で、トップダウンでさまざまな意思決定を行ってきた組織が多くあります。しかしマクロ的に、これからの未来を創るためには、志を持った人がもっと増えなければまずいのではないかと私の周りの雰囲気やマーケットを見た時に特に強く感じました。

やはり、チャレンジする人を増やす必要がありますし、それ自体が社会にとって価値のあることだと考えています。このような思いを抱いたことが非常に大きなきっかけとなっています。

関本:そのあたりを踏まえた上で、コンサルティング会社が競合になると思われますが、貴社としてどのような会社が競合にあたるとお考えなのか、お聞かせいただけますか?

土井:事業として、我々はコンサルティングというかたちで大手企業の方々と向き合っています。そのため、いわゆる大手総合コンサルティングファームが競合にあたると考えています。

一方で人材育成の観点では、ポテンシャル層を採用し大きな志を持ちチャレンジできる人材を輩出するという点において、人材育成やポテンシャル層を開花させることをコンセプトとしている会社も採用マーケットでは競合になるのではないかと考えています。

沿革

土井:当社のこれまでの歩みと直近の業績についてお伝えします。冒頭でもお話ししましたが、当社は2016年に創業し、2026年1月で創業10周年を迎えました。

創業期から右肩上がりで事業を拡大し、2021年9月には当時の東証マザーズに上場しました。上場後は、自社で新しい事業を立ち上げたり、複数のM&Aを実行したりするなど、グループ経営による多角的な成長を目指してきました。そうした中で、2024年1月には持株会社体制に移行しました。

直近2年間は成長の踊り場にある状況でしたが、今期から再成長フェーズに入り、アクセルを踏んでいるところです。この2年間については、次のスライドでご説明します。

連結|直近の業績推移とその要因

土井:2023年から2024年にかけて、組織の規模を急拡大させたことや、過去の不適切事案等も影響し離職率が増加したこと、さらに組織規模拡大を見越したオフィス移転による固定費の増加が重なり、赤字転落に至りました。

これを受け、2024年から2025年にかけて大幅な経営改革を行いました。組織改革や組織制度の刷新を進めるとともに離職率を低下させ、当時非常に高かった外注比率を抑制することで収益性の改善に努めました。このような経営施策を一気に進めた結果、経営改革を実現しました。

離職が落ち着き、採用・育成体制が整ったことで、2026年には成長を再加速できるタイミングを迎えています。この3年間は、これまでのやり方を見直し、転換し、再び成長フェーズに戻るという、非常に大きな経営の転換期となりました。

2026年12月期 第1四半期の業績サマリー

土井:直近の業績です。第1四半期におけるポイントは3つあります。まず1つ目は、売上高とEBITDAが前年同期比で約20パーセント増加し、四半期売上が過去最高水準となった点です。この結果からも再成長フェーズに入ってきたことがうかがえます。

2つ目として、主力事業であるデジタルトランスフォーメーション事業で、コンサルタント単価が改善されており、前年同期比で約6.3パーセントの改善が見込まれている点です。後ほど詳しくご説明します。

3つ目は、決算発表と同時に自己株式の取得を決定した点です。この内容についても後ほどご説明します。

業績推移 -売上高-

土井:売上推移について、第1四半期は前期比で12.6パーセントの増収増益、前年同期比で19.3パーセントの成長を示し、過去最高の売上高となりました。

デジタルトランスフォーメーション事業では、単価の改善や季節性の要因を含む稼働率の向上により、前期比で14.1パーセント増加しました。スライドのグラフでご覧いただけるとおり、第1四半期は季節性により売上が上がる構造ですが、それを踏まえても過去最高水準に達している状況です。

テクノロジーセグメントおよびHRセグメントも高成長を維持しており、グラフの数字からもおわかりいただけるかと思います。

業績推移 -EBITDA・営業利益-

土井:EBITDAと営業利益についてですが、増収やデジタルトランスフォーメーション事業の単価改善により収益性が改善しました。

一方で、採用が順調に進んだことで採用費が増加したことが主な要因となり、EBITDAは前四半期比で5.2パーセントの減益、前年同期比で16.4パーセントの増益というかたちに着地しています。

EBITDAマージンは依然として7.8パーセントの水準にとどまっていますが、事業自体の収益性は改善傾向にあります。中長期的な業績見通しとして、2028年にかけて15パーセント程度までの回復を見込んでいます。

デジタルトランスフォーメーション事業|KPI推移(稼働対象人月・単価・稼働率)

土井:主なKPIの推移です。当社の事業は主に稼働対象人月、その稼働率、さらに平均単価などをKPIとして、成長を測ることができると考えています。

稼働対象人月は計画どおりに達成しています。ただし、内訳を見ると、採用は非常に好調で人員は確保できているものの、一過性で退職者数が増えたことにより、計画していた水準とほぼ同じ程度になっています。

稼働率は、前年と同様に季節性要因の影響で一時的な高水準となっています。また、単価は当初計画を上回る水準で推移しており、地力が着実に高まっていることが証明されていると考えています。

デジタルトランスフォーメーション事業|人的資本の状況

土井:スライドのグラフは人的資本の状況で、入退社の状況が記載されています。先ほど口頭で申し上げたとおり、一過性ではありますが、退職者数が増加しています。しかし、採用は順調に進んでいます。

マネージャー数についても、当初の想定と同水準で進捗しています。一部のマネージャーがこのタイミングで新たな挑戦を選び離職しましたが、横ばいを維持しています。なお、期末時点で40名から50名という目標を掲げており、マネージャー層の採用も順調に進捗しています。

さらに、内部からのマネージャー育成も進んでおり、目標達成に向けて順調に進捗している状況です。

連結|中長期の業績見通し

土井:中長期の業績見通しです。2026年度から2028年度にかけては、人員増加による平均20パーセント程度の売上高成長を維持しつつ、内部での単価向上による利益率の改善を目指します。トップラインは20パーセント程度の成長、利益率成長はそれを上回る水準を目指す事業計画を策定しています。

現在の進捗状況としては、2030年のEBITDA目標を15億円から30億円のレンジで掲げており、上限である30億円を目指せる水準にあります。この目標達成に向けて一生懸命、経営を進めています。

こちらをしっかりと目指せる水準が見えてくれば、上場維持基準である時価総額100億円も十分達成可能と考えています。

関本:これまでの歩みと見通しについて、いくつかご質問します。スライド21ページのグラフで過去の推移を見ると、退職率が上がり、その後復活しつつある点が目立ちます。

離職率が上がった過程では、キーマンや重要な人材が辞めてしまったり、採用を拡大した際に入社した人が辞めてしまったりなどで体制が違うのではないかと思います。まず、この過程でどのような方々が離職したのでしょうか?

また、この構造改革にあたって外部から人材を迎え入れたり、企業文化において大きな変化があった点があるのでしょうか? このあたりを詳しくうかがえればと思います。

土井:離職率が高まった要因はスライドのとおりです。マネージャー層やメンバーを含め、離職率が高かった時期でした。そのような状況を受けて、会社内の組織文化を大きく入れ替えました。

ビジョンは掲げ続け、その実現に向けて組織作りを進めていましたが、過去には最重要KPIとして売上KPIを設定していました。結果的に売上を伸ばす一方で、組織内部の付加価値についての優先度が下がる状況がありました。

このような中で、コンサルタントや未来のリーダーを目指す人材が入社したものの、売上成長を強く重視する運営や自分の成長環境への疑問を抱き、離職してしまうケースが多く見られたのが過去の状況です。

そこで、売上KPIを最重要とする体制から、利益という付加価値をしっかり追求する経営指標へと変更し、付加価値を創出できる人材の人物像を評価制度で明確にしました。

「このようなスキルを持った人が付加価値が高い人間だよ」「このような成果を上げた人が、付加価値が高い人間だよ」とKPIおよびKGIを入れ替えながら、人材評価制度も大きく見直し、「誰を評価するのか」「誰を評価しないのか」という点を、2024年前後で変えていきました。

これにより、入社後のミスマッチが大幅に減少し、成長実感を得られる環境が整ってきたことで、離職率の改善に大きく寄与していると考えています。

関本:その過程では、基本的には入社される方を絞るようにしたのか、あるいはガバナンスや管理部門にもともと大手で勤務されていた方が入社したことで方向性がだいぶ変わったりしたのか、そのような部分の整備も行われたのでしょうか? 

土井:このタイミングで、大きな文化の入れ替えに伴い、目指す方向に合った実績を持った方を外部から招き入れました。実績のある人事分野に詳しい、リクルート出身の方にも加わっていただいたり、コンサルファームで経営経験を豊富に持つ方もお迎えしたりしました。

ガバナンス体制の強化を図る一環として、そのような十分な理解と経験を持つ方を経営に近い層として外部から数名採用しました。

関本:見通しとして、この3年間はコンサルティング事業を中心に伸ばしていくという理解でよいのでしょうか? 加えて、中長期的なポートフォリオの目標について、2027年の8億円から12億円には幅があると思っています。この上端と下端のイメージはどのようなものでしょうか? 

土井:ここに含んでいるのは、基本的にコンサルティング事業の成長です。コンサルティング市場の中で、当社の付加価値をどれだけしっかり発揮できるかがポイントだと考えています。先ほどお話しした単価の改善を含め、付加価値をさらに高める取り組みが成功するかどうかが鍵になります。

幅の中には、KPIの変動を織り込んでいます。ただ、新規事業やM&Aは含まれておらず、コンサルティング事業をオーガニックにどのように成長させていくのかが主要な課題です。

主な領域は引き続きコンサルティング市場であり、お客さまの現場にしっかり入り、組織を動かしていくことは変わりませんが、AIの技術をどれだけ組織の中に取り込んでいけるかといった変革も重要です。こうした取り組みを進めながら、この事業を確実に成長させていく計画です。

関本:細かい点ですが、単価についておうかがいします。スライド20ページで示されたデジタルトランスフォーメーション事業の単価が、再生フェーズに入り、どんどん上がってきている点が非常にすばらしいと思っています。

そもそも単価の上昇は、お客さまとの交渉によって単価を引き上げているのでしょうか? それとも案件の質が変化してきているのでしょうか? 単価上昇の背景について教えてください。

土井:単純に付加価値の高い人材が育成されてきたことが大きな要因です。付加価値が向上すれば、より高単価な案件を提案し、受注することが可能になります。人材が成長し、高付加価値の案件を獲得できるようになるという好循環が回り始めていることが、最も重要な要因だと考えています。

関本:通期計画のイメージに対して、第一四半期は単価の上昇が非常に順調だと見受けられますが、状況は計画どおりと捉えてよいですか? 計画との比較のイメージについて教えてください。

土井:単価の上昇は予想していたよりも早い段階で実現しており、ポジティブな要素だと考えています。また、稼働人月に関しては採用が順調に進んでいる中で、組織の規模拡大もうまく進んでいると感じています。

ただ、一過性とはいえ、退職者数がやや増加した点は懸念材料です。しかし、採用が徐々に積み上がっていく見通しが立っており、これまで整備してきた仕組みも整ってきています。

組織内でしっかりと方針を浸透させていけば、懸念事項についても徐々に解消できると予想しています。

関本:今後の考え方として、単価が思ったよりも良い状態が続き、利益面にも反映されてくるのでしょうか? また、足元の採用を含めて、中長期の成長を実現するために投資が必要だと考えた場合、どのようなバランス感をお持ちでしょうか? 

土井:2028年に向けて、しっかりと利益率を向上させていく目線で考えています。足元でも引き上げを進めようと考えていますが、やはり採用をしっかり進め、組織を強化していくことには一定の投資が必要です。中長期を見据えて、採用や育成にはしっかり投資を行っていきます。

2028年の時点ではしっかりと成果が出ていると考えていますが、それまでは徐々に利益率が向上していく見込みです。2028年の水準に一気に到達するようなことは想定していません。

自己株式の取得について

土井:株主還元とIR情報の発信についてご説明します。

今期の利益予想、創出されるキャッシュフロー、足元の株価水準、当社が従業員に対する株式報酬を重視していることなどを総合的に判断し、自己株式の取得を決定しました。

また、2024年9月に「株主還元の考え方」を発表しています。その内容に基づき、成長投資と株主還元の最適なバランスを追求します。本日公表した自己株式の取得に加え、すでに導入済みの株主優待や配当を含めた機動的な施策を実行することを予定しています。

株主優待制度について

土井:昨年度から株主優待制度を導入しています。年間の優待利回りは、5月1日時点の株価を基にすると1,500株以上保有で5.4パーセントと高水準ですので、ご活用いただけますと幸いです。

IR情報発信

土井:今後も本日のようなイベントへの参加や我々自身が発信するSNSを通じて、会社内部の施策や背景などを積極的にご説明していきたいと考えています。お時間のある株主の方々には、ぜひご覧いただけたらと思います。

PR情報発信

土井:直近では、PRやメディア発信を通じて、当社の事業やアライアンスなどに関する取り組みを継続的に発信しています。

ニュースも徐々に増えており、再成長フェーズに入っていますので、新しい取り組みを積極的に発表していきたいと考えています。ぜひご注目ください。

関本:株主還元についてお聞きします。優待制度がメインのご説明になっていると考えていますが、一方で、ITサービスやコンサルティングといった業態は、キャッシュフローがかなり潤沢に生み出されるビジネスではないかと思います。

過去にはM&Aや事業譲渡もあったかと思いますが、配当や株主還元、自己株買い、成長投資、M&Aなど、現金をどのように活用していくかについて、社内ではどのような議論が行われているのでしょうか? いわゆるキャピタルアロケーションの方針について教えてください。

土井:基本的には、適切に事業へ投資し、確実に株主へ還元するという考え方がベースにあります。現在、当社は成長フェーズにあり、その成長は主にオーガニックなかたちで進んでいます。そのため、採用や育成に対する投資を重視しており、オーガニックなキャッシュフローの範囲内でそれらを行っています。

ただ、さらなる事業拡大を見据え、M&A戦略の検討についても議論をしているところです。みなさまが期待する成長を実現するために重要な施策として、積極的に事業投資を行っていく方針です。

当社はキャッシュ創出力の高い業態だと考えており、自己株取得や配当政策を含め、株主への還元も積極的に実施していきます。

本日のハイライト

土井:本日のハイライトをお伝えします。冒頭でもお話ししましたとおり、「プロジェクト型社会の創出」というミッションのもと、「100億円×100事業」構想を進めていきます。

AI時代においても、当社の強みである「現場を動かす力」を活かした支援に対するニーズは不変であると捉えています。AI共創モデルの構築を進めながら、従来の強みを活かした支援を継続する方針です。

2026年からは再成長フェーズに突入しています。2024年から2025年にかけての経営改革に一定の目途がついた状況で、新たな成長に向けたさまざまな施策を進めるフェーズに入っています。

2026年第1四半期の実績は、四半期ベースで過去最高の売上高を記録しました。主力事業であるデジタルトランスフォーメーション事業では、提供価値の向上による単価の上昇も実現しています。

また、第1四半期決算発表と同時に自己株式の取得を決定しました。今後も成長投資と株主還元の最適なバランスを追求しつつ、機動的な株主還元施策を実行する方針です。

以上が本日のハイライトです。ぜひご興味を持ってご覧いただければと思います。

質疑応答:生成AIのコンサルティング事業への影響と対策について

分林里佳氏(以下、分林):「昨今話題になっている生成AIの事業への影響について、コンサルティング事業は影響を受ける業態とよく言われていると思います。貴社の認識や対策はいかがでしょうか?」というご質問です。 

土井:実際に資料を作成する、いわゆる作業ベースの仕事は奪われていくだろうという見通しが立っています。ただし、変革を進めていく中で、どのように変革を前に進めていくのかという部分で、プロジェクトを推進する支援は継続しそうだと感じています。

今後はさらに、人対人、組織の内部に入って支援していくことが求められるマーケットになっていくだろうと考えています。

また、AIを活用して生産性をどれだけ高められるかという点はお客さまのニーズであり、当社としてもそのようなサービスを提供しています。

同時に、当社自身も最先端の取り組みを積極的に進められるのかということが今後重要になると考えており、社内の経営OSや事業OSをAIベースに転換する取り組みを進めていくべきだと捉えています。

質疑応答:採用と人材育成に関する取り組みについて

分林:「採用についてもお話しいただきましたが、あらためて今後の採用や人材育成は順調でしょうか? 専門性の高いお仕事だと思いますが、御社ならではの取り組みがあれば教えてください」というご質問です。

土井:先ほどのお話とも関連しますが、AI技術の台頭によって、人材育成の方法も抜本的に変化していくと思います。いわゆる簡単な知識やスキルといったものは、AIを活用すれば高い水準で得られるようになってしまいます。

一方で、お客さまにどれだけ親身になって入り込めるのか、信頼関係を築けるのか、そして物事の成果に対して覚悟を持って取り組めるのかという、いわば「ヒューマンOS」ともいえる、人間のコアスタンスの育成が、これからますます重要になってくると考えています。

当社では、創業以来取り組み続けている「Ismブック」というものがあります。これは、当社なりの行動スタイルや規範、お客さまへの向き合い方、自己への向き合い方といった内容が50章ほどの章立てでまとめられたものです。

これらを採用時の評価基準にも組み込み、また、教育制度の中でも最重要視しながら、人間性を育んでいます。このような取り組みは、当社にとって非常にユニークな部分だと思います。

この「Ismブック」を育成の基盤とし、その基盤の上で成長していける素養を持った方を厳選し採用していくことをこれからも継続していきたいと考えています。

質疑応答:2026年からの再成長フェーズにおける新規事業およびM&A戦略について

分林:「超長期目標の売上高1兆円に向け、2026年からの再成長フェーズで、具体的にどのような新規事業やM&Aを優先的に検討されていますか?」というご質問です。 

土井:当社は事業機会を非常にキャッチしやすい構造を持っています。さまざまなお客さまの非常に深い現場まで入り込むため、その事業や業界での課題を現場で直接感じる機会が多くあります。

事業アイデアや可能性のある種を見つける機会が多く、そうした中から自分たちの事業開発につなげていく体制をシームレスに構築し、アイデアを出しながらさまざまな種類の事業が生まれてくる構造を作っています。

ただし、事業アイデアが生まれても、それを担う事業責任者がいるかどうかが重要です。そのような人材をいかに育成し、輩出するかが中心課題です。そのために、育成制度やさまざまな挑戦の設計に鋭意取り組み、組織制度として整備を進めています。

質疑応答:新事業を生み出すための社内体制と仕組みについて

関本:超長期目標の売上高1兆円や100事業に関わるところかと思いますが、貴社内で新事業を生み出していく仕組みについて教えていただけますか? 具体的には、事業創出における体制や委員会・会議の運営についておうかがいできればと思います。

土井:我々の組織は、コンサルタントが事業計画にも関与するユニークな組織です。コンサルタントが日々さまざまな事業に向き合う中で、アイデアが生まれた際には社内の委員会でアイデア会議を行います。

経営層が中心となりながら、アイデアの壁打ちとそれに対するフィードバックを行い、質を向上させる取り組みを週次で行っています。

事業機会として非常に魅力的だと判断された場合には、戦略会議に進み、事業としてフィジビリティを判定する会議が設けられます。

フィジビリティの段階に進むと、コンサルタントの工数を一部投資する意思決定を行い、ミッションとして付与します。こうして事業の実験が開始され、顧客との共同テスト・検証が行われます。

その過程で、ある程度マーケットの規模や可能性が確認された場合には、社内のAIエージェントチームが参画し、プロダクト開発を進めます。このように、アイデアの壁打ち、フィジビリティの検討、プロダクト開発という3段階のプロセスを経ながら、事業を着実に進めていきます。

質疑応答:地方での拠点設置や採用育成について

関本:「地方での採用や拠点の設立について計画はあるのでしょうか?」というご質問です。

土井:まだ正式には発表していませんが、徐々に地方に向けた事業機会も増えてきていると思います。当初は都内の大手企業を中心にご支援していましたが、最近ではAI技術も活用しながら、地方の中堅企業への支援機会が増えてきました。

そのような企業にサービスを届け、生産性を向上させる改革を行うためには、東京からリモートで対応するよりも、現場に近い場所から直接支援することが非常に重要だと考えています。今後はそのような取り組みを検討していかなければなりませんし、必然的に拠点展開が課題として浮上すると考えています。

質疑応答:独立志向の社員への対応とインセンティブ設計について

関本:これは厳しい質問かもしれません。「『100億円×100事業』という考え方において、業態的に独立してしまうメンバーが多くなるのではないかと思いますが、いかがでしょうか?」というご質問です。

土井:おっしゃるとおりです。そのようなチャレンジ精神の多い人材は、自分でやりたいという気持ちが出てくることもあると思っています。私としては、そのような人材が増えるのはうれしい反面、一方でグループの企業価値にどう影響するのかという懸念もあります。

そのため、インセンティブ設計をどのように作っていくかについて、社内でまさに議論しているところです。

例えば、自分でマーケットで挑戦するという選択肢も良いでしょうし、グループ内で上場することや、成果を出した際には大胆に還元するインセンティブ制度などの環境整備を検討しています。

企業精神が旺盛でチャレンジ精神のある人材に対してしっかりと還元できたり、おもしろいネクストチャレンジが次々と回っていくような組織、仕掛けをどのように作っていくのかが、中長期的に非常に重要な論点だと思っています。私自身もこれを経営アジェンダとして認識し、まさに議論を始めているところです。

関本:実際、サイバーエージェントでは社内から多くの会社が生まれています。サイバーエージェントにいること自体がメリットであり、そこから事業が独立するのもありという体制で、そうした会社が出てくると非常におもしろいと思います。

土井:冒頭にお話しした採用マーケットにおける競合としてサイバーエージェントは意識しています。そのような制度をベンチマークとしながら、我々の中で最適なかたちで取り込んでいく部分を検討しています。

土井氏からのご挨拶

土井:ここ2年ほど、さまざまな経営変革を行うタイミングがありました。ようやく第1四半期で再成長フェーズに突入し、その状況をみなさまにお示しできる段階になったと考えています。

ここからは、あらためて我々のミッションである「プロジェクト型社会の創出」に向けて、一気に再成長フェーズにおけるさまざまな施策を実行していきます。

これからもみなさまにさまざまな施策をお届けできるよう、誠心誠意経営していきますので、ぜひ応援いただけたら幸いです。本日はありがとうございました。

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