fbpx

ケンコーマヨ Research Memo(6):約200億円のM&A投資枠を設定、成長加速で経営数値目標を上方修正(1)

マネーボイス 必読の記事



■ケンコーマヨネーズ<2915>の今後の見通し

2. 中長期経営計画「KENKO Vision 2035」の見直し
(1) 「KENKO Vision 2035」見直しの概要
同社は中長期経営計画「KENKO Vision 2035」(2025年3月期〜2036年3月期)について、市場環境の変化や業績の進捗状況なども鑑み2026年2月にアップデートを行った。新たなコンセプトとして「Global Food Solution Companyへの転換〜食の「困った」を「ワクワク・ドキドキ」に変える〜」を定め、品質と美味しさにこだわった食品の製造・販売会社から一歩進化し、顧客に感動を届けるサービスの提供を目指すという想いをコンセプトに込めた。

同コンセプトに基づき、基本戦略を以下のとおりアップデートした。
a) 「事業ポートフォリオの再構築」と「成長戦略」の見直し
「事業ポートフォリオの再構築」では、顧客ニーズや課題を収集し顧客と一体となって商品開発を推進する「顧客IN」の取り組みを行うことで顧客接点の拡大と強固な関係を構築し、既存事業の売上拡大を図る。コロナ禍以降、同社はリモート営業の時期もあり顧客との接点頻度が減少したほか、自社ブランド品の販売比率向上に取り組んでいた。このことから従来の強みであった販売・商品開発・生産・メニュー開発チームが一体となって顧客ニーズを満たす商品を開発するといったことや、従来の営業活動に制限がかかってしまったこと、前期の売上高伸び悩みの一因であったと考えられる。今回の見直しでは「顧客IN」という原点回帰により、既存顧客との取引シェアを拡大するだけでなく新規顧客の開拓も進める戦略だ。

また、「成長戦略」の1つとして海外市場への展開を加速する方針を明らかにした。中長期経営計画を2024年に発表以降も海外戦略については社内で議論を重ねてきたが、今回、M&A戦略によって海外展開を加速する戦略を打ち出した。中長期経営計画は3期に分けて戦略を進めているが、2028年3月期までの第1フェーズにM&A投資枠として約200億円を設定して、M&Aを積極的に推進する。このため、目標数値についても2036年3月期の海外売上比率を従来の10%から30%に引き上げた。売上高に換算すると600億円となり、2026年3月期の実績約14億円に対して40倍以上の成長を見込んでいることになる。M&Aの対象企業は国内外問わず、海外市場(欧米、東南アジア市場)において一定水準以上の売上規模を持つ企業を想定している。さらに、海外事業の成長戦略として各国の規制や輸送期間を考慮した輸出向け商品の開発及びラインナップ拡充と販売エリアの拡大、海外拠点づくりの検討なども進める。

そのほか、経営資源の最適配分に向けて、サラダカフェ店舗の最適化を進めるほか、料理教室(キッチンスペース831)についてもリソースを既存事業の営業支援部隊へと再編する。サラダカフェについては店舗ベースでは黒字となっているものの、本社経費を含めると収益化に至っておらず、リソースを見直していく。

b) 「スマート化」戦略の位置付け再整理
「スマート化」戦略として、当初計画していたDXの取り組みをBXに進化させ、全社最適を図る。具体的には、研究開発から材料調達、製造、物流、販売、資金回収までの一連のビジネス・プロセス全体について、従来の発想を転換し、全体最適に取り組むことで資金回収期間の短縮・効率化を推進しROICの向上を図る。

また、顧客との共同開発や施策を行う施設として新東京本社内にCooking Labを設け、商品開発力を強化するほか、技術開発面では2026年秋に研究開発部門が移転予定の新木場オフィスにイノベーション施設を設け、外部研究機関とも連携しながら開発した技術を工場に実装していく考えだ。

そのほか、攻めと守りのIT戦略を推進し、競争優位性と生産性の向上に取り組んでいく。攻めのIT戦略とは、社内の各システムについてスピード感を持って連携するほか、生成AIも活用しながら効率化・生産性向上につなげる。また、守りのIT戦略としては、情報セキュリティ対策を強化する。

c) 資本コストや株価を意識した経営のさらなる深化
企業価値の向上を目指すべく、「成長性」「収益性」「健全性」を長期的にバランスさせる経営を行う。また、「キャッシュ・ベース・マネジメント」の推進と強固な経営基盤の構築に取り組むと同時に、株主還元のさらなる強化を発表した(株主還元については後述)。「キャッシュ・ベース・マネジメント」とは、企業が資金の流れを効果的に管理し、最適化するためのプロセスを指す。キャッシュベースで支出・収入を管理することで、資金効率を高めるための施策を打ちやすくなるほか、財務の健全性を確保しながら投資を行うなどの経営の意思決定スピードが向上し、成長性や収益性を高めやすくなるといったメリットがある。同取り組みにより創出した資金を成長投資や株主還元に充当していく。

また、「共創」と「全員戦力化」、ガバナンスの高度化とサステナビリティ経営の推進、IT・デジタル投資の推進といった経営の変革などに取り組むことで経営基盤を強化する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
いま読まれてます

記事提供:
元記事を読む

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー