■ ビューティカダンホールディングス<3041>の業績動向
3. 2026年6月期の総括
以上から、2026年6月期を総括すると、最大のポイントは業績面での大幅な落ち込みに尽きるだろう。各事業の売上高の伸び悩みに加え、原価増による収益性の悪化により厳しい結果となった。特徴的なのは、様々な要因が重なっていることであり、大きく分類すると、1)葬儀市場全体の構造的な変化、2)生花市場における需給両面での不安定な動き、3)物流費、人件費、円安等の一般的なコスト要因といった3つの外部要因に加え、同社自身の要因(農業分野における連作障害の影響継続)が重なったと見ることができる。ただ、原因の特定は合理的にできており、あとは短期・中長期の両面からいかに有効な策を打てるか、そして早期回復につなげていけるかにかかっていることは言うまでもない。
これまで業界を取り巻く環境変化に柔軟に対応してきた同社にとっても、複雑な事業環境を前にして、数量を確保すべきか、収益性を優先すべきかといった難しい判断が続くことが予想されるが、高付加価値化とコスト効率の両にらみで新たな事業モデルを構築していけるかどうかが今後を左右することになると考えられる。
一方、プラスの材料を挙げるとすれば、採用部門強化により新卒採用者が大幅に増加(2026年新卒採用30名)したことは、同社の将来性や社会性、地域密着性に対する期待の表れと見ることができ、人的資本の強化という点からも大きな成果と言える。また、ブライダル装花事業の黒字化をはじめ、その他事業においても、好調なレストラン事業や軌道に乗ってきたキャリアライフサポートの事業など、黒字事業の成長による損益改善の道筋が見えてきた。中長期(サステナビリティ)の視点からも、新たな価値創出に向けて産学連携による実証実験を進めている。
■ 主な活動実績
京都大学とのセルロース利活用研究は実用化・用途展開の検討フェーズへ
1. 京都大学と受託研究契約(第2期)を締結
2026年4月1日に、菊の花茎からセルロース※1を抽出・分析し循環型利活用を目指す研究について、京都大学と受託研究契約(第2期)を締結した。本件は2025年4月より実施した第1期の成果※2を踏まえ、抽出したセルロースの用途展開や製品化の可能性を検討する実用化検討フェーズとして実施するものである。近年、環境負荷の低減と資源循環の重要性が高まるなか、フラワービジネスにおける廃棄物削減は喫緊の課題となっている。また、同社グループでは年間3,000万円以上の廃棄コストが発生しており、特に生花祭壇や供花で使用される菊類の花茎の処理が大きな負担となってきた。同社では廃棄コストの削減はもちろん、用途展開や製品化の可能性も検討しており、他社との連携も視野に入れながら実用化に向けた検証を進めていく考えである。
※1 セルロースは植物の細胞壁や繊維の主成分であり、食品・紙・衣料品・医薬品など、幅広い分野で利用されている。
※2 菊の花茎からセルロースを効率的かつ安定的に抽出することに成功した。
2. 次世代農業モデルの確立に向けた進捗
農業分野では、(株)Cultivera※1との「モイスカルチャー農法」の実証実験や、法政大学との「ゼオライト農法」※2の共同研究を継続中である。特に「モイスカルチャー農法」は、高温多湿な日本の環境や連作障害への対応策として有望であると言われており、同社の農業事業の発展はもちろん、農業全体の生産性向上に貢献するものである。また、法政大学との共同研究では、同社グループの圃場で生産性向上や栽培環境改善の可能性を検証しており、従来の培養土に代わる持続可能な資材の実用化を目指している。
※1 2025年6月に先進的な栽培技術の導入に向けたコンサルタント業務委託契約を締結した農業スタートアップ企業である。バイオサイエンスと環境制御技術を融合した「モイスカルチャー農法」という、湿度を生かした特許栽培技術を持つ。
※2 無数の細かい孔を持つ天然鉱物「ゼオライト」を土壌に混ぜることで、肥料の保持力や水の浄化力を高め、作物の安定的な生育を促す栽培方法である。
3. デジタル技術を活用した取り組み
2023年7月に資本業務提携した(株)goennが、2026年5月に納骨・預骨から供養までを一貫支援する新サービス「タグル」を正式にリリースした。近年増えているお墓の承継者不足、墓じまい、納骨先に関する悩みに対し、納骨先の紹介だけでなく、預骨、永代供養、専門家・宗教家への相談、納骨や供養の案内までオンラインで一貫して支援するサービスである。同社グループが培ってきた葬祭・供養分野との接点を生かし、社会課題の解決と環境変化を捉えた新たな事業機会の創出につなげていく方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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