2023年4月20日、日経新聞の一面に気になる記事が投稿されました。「中途採用比率過去最高に、日本型雇用変わる?」という記事です。採用の37.6%は中途人材で、この比率は2016年から7年で2倍になったとのこと。即戦力人材の需要が高まっていると報じています。転職市場が活性化し、人材の流動性が高まっているなかで、利益を上げている企業はあるのでしょうか?中途採用が増えるなかで気になるのは、転職支援・人材派遣企業の業績の動向です。今回は人材関連の企業を7社紹介します。株価・利益を見て気になる企業を見つけてみましょう。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)
プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。
なぜ転職市場が活性化しているのか?
まずは、市場全体の理解をしましょう。なぜ転職する人が増えているのでしょうか?
マクロ・企業・転職者3つの視点で考えてみます。
<マクロ視点:労働力人口減少>
dudaの転職市場予測2023上半期によると、IT通信・法務・電気機械など14の業界・職種すべての分野で求人が増えることが予想されています。求人が増えることは転職市場の活性化を促すでしょう。
なぜ求人が増えるのでしょうか?
まずは日本の生産年齢人口(労働の中核となる15~64歳の人口)は1990年と比較し、10%減少しています。(参考:労働力人口・就業者数の推移)
人口が減っている中でも、一方で企業は成長のために人財は必要不可欠な存在ですから、少ないパイの取り合いが起こる構造になっているのです。
<企業視点:DXの即戦力が欲しい>
企業側が転職者に求めるものはなんでしょうか?
年齢によって求められる能力は違うと思います。若手であれば、仕事へのモチベーションなどが重視され、中堅になれば経験やスキルが重要視されるでしょう。
しかし、企業側が最も求めているものは即戦力人材です。特にITスキルを持っている即戦力人材の需要が高まっています。
今やどこの企業もDXを活用した効率的な経営を目指しています。しかし、多くの企業はそれを実行できるIT人材を有しているわけではありません。そこでDXに強い、即戦力人材を中途採用に求めているのです。
このように、自社で足りない部分を転職者など外部の人間に頼ることで、転職市場が活性化していくのです。
<転職者視点:給料アップ>
では、転職者が求めるものはなんでしょうか。それは給料アップです。
私の個人的な話ですが、私が転職を意識したのは、前職で将来想定される給与水準が納得できるものではない、と気づいた時でした。ものすごく少ないわけではないけれども、なんか物足りない…そんなモヤモヤを抱えていました。
実際に、転職が盛んなIT業界の転職者も給与・待遇を重要視しています。
出典:CodeZine
ITエンジニアの転職先の決定要因は収入・待遇が51.2%でトップになっています。終身雇用と年功序列の文化が終わりつつある今、転職によって給与アップを狙う労働者が増えているのです。
<転職・中途採用は成長業界!>
転職市場が活性化している理由をまとめます。
マクロ視点:労働人口の減少が起こっている
企業視点:業種業界を問わずDX促進が重要であるが、自社に人材育成できるノウハウがないため、即戦力を求め、中途採用を増やしている
転職者視点:終身雇用と年功序列の文化が終わりつつある今、転職によって給与アップを狙う労働者が増えている
ここで、投資家の視点に移ります。
これだけ転職者が増える潮流が揃っているのですから、転職支援・人材派遣に注目しない理由はありません。転職が増えるに連れて利益を伸ばせる企業があるのではないでしょうか?