■今後の見通し
1. 2027年7月期の業績見通し
はてな<3930>の2027年7月期の業績は、売上高で前期比8.8%増の3,968百万円、営業利益で同7.9%減の159百万円、経常利益で同17.3%増の121百万円、当期純利益で117百万円(前期は995百万円の損失)を計画している。売上高はテクノロジーソリューションサービスにおける受託開発が回復することもあり、2期ぶりに過去最高を更新する見通しである。営業利益は将来のレベニューシェア拡大に向けた広告宣伝費の増加や新規サービス育成のための先行投資により減益となるが、経常利益は営業外費用の減少により2期ぶりの増益に転じる見通しである。
事業費用は前期比9.6%増の3,808百万円となる見通しで、内訳は人件費が同7.8%増の1,992百万円、DC利用料が同8.2%増の846百万円、その他費用が同15.3%増の970百万円となる。人件費については、期末社員数で前期末比2名増の215名と前期に引き続き抑制する方針で、定期昇給が主な増加要因となる。採用については適正規模を維持しつつ厳選して進めていく予定で、受託開発需要の回復・拡大に対応するためのエンジニアや企画職の採用を中心に進めていく。
DC利用料の増加要因は、「GigaViewer」の利用量増加に加えて、AWS料金等の購入における想定為替レート(前期比で円安水準)の見直しによる。その他費用については、出版社向けマーケティング支援サービス「Comic Growth powered by GigaViewer」の利用媒体数増加に伴う広告宣伝費の戦略的投下に加えて、自社サービスにAIを活用することによる生成AI関連コストの増加を見込んでいる。
(1)テクノロジーソリューションサービス
テクノロジーソリューションサービスの売上高は、前期比14%増の3,161百万円と2期ぶりに過去最高を更新する見通しである。このうち、受託サービスは同18%増の2,396百万円、「Mackerel」は同1%増の765百万円を計画している。
受託サービスについては、「GigaViewer」の新規開発及び既存媒体向け追加機能の開発案件が増加するほか、出版業界以外の開発案件も増加する見通しで増収要因の大半を占めるほか、ストック売上(保守運用料、レベニューシェア等)についても着実な積み上がりが見込まれる。「GigaViewer」に関しては、Web版で24サービス、アプリ版で4サービスに導入されており、2027年7月期はWeb版導入ユーザー向けにアプリ版の開発が進む見通しである。また、海外展開を検討する出版社からの相談も寄せられており、今後の事業機会として期待される。日本のマンガは海外でも人気が高いが、経済産業省の委託調査(CODA実施、2026年1月公表)によると、出版分野のオンライン海賊版被害額は2.6兆円に達するなど問題となっている。こうした状況下で、政府は日本成長戦略17分野の1つとしてコンテンツ産業の海外展開を掲げ、コミックについても正規版の流通を促進していくための投資支援を行う方針を示している。電子コミックのプラットフォームを開発・提供する同社にとっては追い風となる。
また、新たな取り組みとして、KADOKAWAと共同開発を進めているAIを活用した次世代小説エディタ「RIKU(リク)」のクローズドβテストへの参加者募集を2026年7月30日より開始した。ユーザーが持つアイデアをもとに、AIがストーリーやキャラクター、世界観などの設定づくりを支援するほか、作家が執筆に行き詰まった際に次の展開をAIに相談、書き上げた原稿の校正・校閲などをAIが担うサービスとなる。
参加者を募集し、テスト運用を行いながらサービスの品質向上を進めていく予定で、募集開始後には相当数の申込みがあったと見られる。正式なサービス提供開始時期は未定だが、従来よりも手軽に小説を書くことが可能となるため、潜在需要は大きいと見られる。「RIKU」のサービスが本格化すれば売上規模も一段と拡大するものと期待される。
「Mackerel」はAPM機能の拡充を図るため、要望の多かった「ログ機能」を2026年11月に正式リリースする予定としている。既にβ版は提供済みで、インフラ監視需要を取り込みつつ、サービスを拡充していくことで、アップセルと顧客数の拡大を進めていく方針である。開発にリソースを投下するため、2027年7月期の増収率は1%増とやや保守的な見込みとなっているが、着実に需要を開拓していく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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