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トランプお得意の駆け引きなのか?対中制裁関税25%引き上げツイートの真意とは=坂本彰

大型連休中、海外は大きな変化がなかったものの終了間際にトランプ大統領のツイートでまたも波乱の幕開けかと思われた日本市場。今後注目すべきポイントとは。(『日本株投資家「坂本彰」公式メールマガジン』坂本彰)

プロフィール:坂本彰(さかもと あきら)
株式会社リーブル代表取締役。サラリーマン時代に始めた株式投資から多くの失敗と経験を積み、株で勝つための独自ルールを作り上げる。2009年10月に130万円だった株式資産は、2016年に6000万円を突破。定期預金などを合わせた資産は1億円超。2012年より投資顧問業(助言)を取得。現在、著者自身が実践してきた株で成功するための投資ノウハウや有望株情報を会員向けに提供するかたわら、ブログやコラム等の執筆活動も行う。前職はラーメン屋という異色の経歴。メールマガジン『日本株投資家 坂本彰 公式メールマガジン』は2014年まぐまぐマネー大賞を受賞。読者数2万人。雑誌等のメディア掲載歴多数。主な著書に『小売お宝株だけで1億円儲ける法』(日本実業出版社)日本証券アナリスト協会検定会員候補。

連休明け間際、にわかに沸いた懸念材料が市場に与える影響は?

目先は米中通商交渉の行方次第

大型連休中は米国を中心とした海外の動きに特に大きな変化はなく、5日の米中通商交渉に絡むトランプ大統領の発言でやや波乱の動きを見せているが、シカゴの日経平均先物も総じて小幅な動きで終えている(連休前に比べ173円安)。

大型連休前は、海外の機関投資家のポジション調整による売りの影響が懸念されたが、そのような動きはほとんど見られなかった。その理由は、連休後に日本株の先高期待が出ているからだ。

先高感をもたらしているのは7月の参院選挙を意識した政治的な動きだ。連休前に「消費税増税延期」と「衆参同時選挙」のアドバルーンが政府筋から盛んに上がり始めている。これは安倍政権が参院選挙で勝つために最後の切り札として考えている秘策だ。

実行に移すかどうかは、5月25日前後のタイムリミット時点での情勢判断によるため、まだ流動的なところはあるが、可能性は高まっている(詳細については下記「株式投資のセオリー」参照)。

もしこれらが実行されることになれば、今年10-12期以降に予想される増税による景気の大きな落ち込み(今のところ10-12期はマイナス3%程度のGDP成長率となる予想)が避けられることに加え、安倍首相が続投する可能性が高まる(選挙で自民党圧勝の可能性も)ので、外国人投資家としては大歓迎だ。従って、外国人投資家は連休後も強気の姿勢で臨んでくる可能性がある。

ところが、直近でにわかに懸念材料として飛び出してきたのが米中通商交渉に絡むトランプ大統領の発言だ。自身のツイッターで2,000億ドルにかけている10%の制裁関税を10日に25%に引上げると表明した。

ただこの追加関税は8日から始まる交渉が不調の場合に実行に移されるもので、まだ正式に決定されたわけではない。トランプ発言は対中交渉のブラフ(揺さぶり)だろうという見方も少なくない。トランプ氏は交渉で脅しを使うのを得意としているからだ。

国内事情を考えてみても、現状の10%の追加関税だけでも米国内では強い反発が出ているのに、本当に25%まで引上げられのかについては疑問が残る。来年の次期大統領選が意識され始めている中で、致命的となりかねない不評覚悟でそこまで踏み込むのだろうか。

トランプ氏としても(大統領選を意識して)そろそろ成果を上げなければならないタイミングにきているので、あえて強硬姿勢を示し中国の譲歩を引き出したいというのが本音ではないだろうか。トランプ氏も追い込まれているのだ。

5日の米市場の動き(小幅下げで終える)を見る限り、トランプ氏お得意の駆け引きと楽観視している感じが窺えるが、まだ現時点では即断は禁物、もう少し情勢を見る必要ありそうだ。もし、25%への追加関税の引き上げが実現しなければ、相場は強含みの動きも予想されるのだが。

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