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シークス Research Memo(5):戦略目標は順調に進捗

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■中期経営計画

1. 当初の中期経営計画
シークス<7613>は2024年12月期初に「2024-2026年中期経営計画」を策定し、2026年12月期に売上高3,700億円、営業利益155億円、営業利益率4.2%、ROE10%以上(維持)、CCC(Cash Conversion Cycle)94日→65日を目指すこととした。そのため成長戦略として、「新規ビジネスへの挑戦、最高品質の提供」「脱炭素社会への貢献」「経営管理、財務」「人的資本経営」という4つのチャレンジを掲げた。

「新規ビジネスへの挑戦、最高品質の提供」では、収益率の向上と新規ビジネスの創出を目指した。EMSで車載関連機器を深耕して最高品質を提供することに加え、バッテリー関連やプリンテッドエレクトロニクス、ロボティクスなどの面で、テクノロジーパートナーとのシナジーを生かしてJDMとTRADINGを深化する計画である。また、フィリピンの人材派遣会社など異業種とのシナジーによって、人材紹介やBPOサービスなど非エレクトロニクスの分野を開拓する予定である。インドやマレーシア、ベトナム、韓国、シリコンバレーといった新市場も開拓する考えである。「脱炭素社会への貢献」では、社用車のEV化やEV利用促進に向けた社内給電ステーションの設置などによりScope1、再エネ由来電力への切り替えや太陽光パネルの設置、電力消費の効率化などによりScope 2、サプライチェーンへのエンゲージメントや輸送手段の適正化、リサイクルの促進などによりScope3を進め、2050年までにScope1+2+3で温室効果ガスをゼロにする目標を立てた。「経営管理、財務」では、投資方針として、精度の高い見積もりと取捨選択によって収益性・成長性の高いビジネスへの投資、既存生産ラインの稼働率最大化や各工場のボトルネック解消など効率化投資、稼働率改善や工数削減により生産性を最大化する自動化投資を優先することになった。加えて、在庫の圧縮や支払サイトの延伸により、CCCを改善して成長資金を創出する計画である。「人的資本経営」では、グローバル企業として相応しい人事制度の構築やエンゲージメントサーベイの実施などを通じて、「ヒト」を大切にする人財会社へ変わることを宣言した。

ところが、最終年度の業績予想は、中期経営計画の数値目標に対して未達になる見込みとなった。当初、EV市場の拡大に伴い車載関連機器などの需要増加を期待していたが、補助金の打ち切りや寒冷地性能問題、充電スタンドなどインフラ不足などにより、初年度の2024年12月期の段階で既にEVは世界的に失速し、数値目標との乖離が生じることとなった。特に欧州での失速の影響が大きく、また、中国では国策によりEVシフトが加速したことで同社の主要顧客である日本車のシェアが下がり、欧州、中国ともに稼働率が低下した。その影響は大きく、2024年12月期から2025年12月期にかけ、ハンガリー工場閉鎖に伴う事業再編損や欧州・中国での減損損失を計上するに至った。しかし、中期経営計画2年目に早くも方向性を見直し、戦略コンセプトを打ち出したことで、同社は戦略目標を順調に進めることができた。

高付加価値化、高収益化、多様化を推進
2. 戦略コンセプト
戦略コンセプトは、社長交代のタイミングで新社長が中期経営計画に加えたコンセプトで、経営や次期中期経営計画に向けた方向性を示すものでもある。具体的には、2026年12月期を変革の1年とし、長期的に安定成長できる高付加価値の創出、高収益体質の確立、事業ポートフォリオの変革と多様化を進める。

そのうえで5つの戦略軸として、コアビジネスモデルの拡大による基盤事業の成長、アドバンスドEMSへの進化による事業の高付加価値化、購買改革と調達改革によるサプライチェーンの最適化、新市場の開拓や新ビジネスポートフォリオの構築を通じた事業の多角化、BPR戦略による全体最適を目指した業務プロセスの設計と実装を推進した。さらに各戦略軸では、パートナーシップ活用を共通項目とし、基盤事業の成長では顧客ポートフォリオの多様化やEMS競争力の強化、事業の高付加価値化では新規ビジネスの企画やJDM/DFM(製造性考慮設計)の機能強化、サプライチェーンの最適化ではサプライチェーンの一元管理、事業の多角化では新規ビジネスモデル・新規市場・新規エリアの開拓、BPR戦略ではRPA・AI・BIなどツールの活用と人財の役割分担を推進することになった。加えて製造工場では、製造DX(デジタルトランスフォーメーション)を引き続き推進する計画である。データドリブン管理によりマネジメント変革、グローバルな営業技術・原価計算の導入によって製造現場変革、IT機能の導入によってオペレーション変革を進める。また、製品プロセスへの早期参画、製造プロセス技術の深掘り、AI技術活用による省人化など、アドバンスドEMSによってバリューチェーンを強化し、モノづくりの付加価値を高める考えである。

創業70周年となる2027年12月期をスタートとする次期中期経営計画は、2026年12月期本決算発表の前後で公表されると思われるが、戦略コンセプトで示された多様化がテーマの1つになると考える。サービスの多様化では、基板実装の工程で後工程の取り付けや組み立てを強化していく見通しである。JDMによる前工程も含めて、一気通貫の付加価値をさらに高める方針と思われる。また、事業環境の変化には、データセンターなど成長分野向けの強化やマネジメントのローカライズによって対応する見込みである。苦戦する中華系や欧州の顧客に対しては日本品質を提供し、特に欧州では、大手顧客による米国やアジアへの進出をサポートすることになると考えられる。長期的には、2024年3月にRenzoku Biologics(株)に出資して参入した、バイオ抗体医薬品CDMO(受託開発製造)事業を収益化する意向である。生産スケールの可変性に優れ、中少量多品種生産にフレキシブルに対応できる「完全連続生産技術」を社会実装し、“医薬品のEMS”を目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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