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米中東政策とサウジ通貨【フィスコ・コラム】

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米中間選挙での共和党の大敗でトランプ政権は弱体化し、今後の中東政策も修正を迫られそうです。イスラエルの政治情勢も流動化するなか、サウジアラビアが地域外交の主導権を握る展開が予想されます。ただ、中東が安定に向かうかどうかは現時点で不透明です。

11月3日に行われた米中間選挙で、共和党は上下両院で過半数を失いました。その結果、予算編成や重要人事で民主党の影響力が強まり、中東政策を巡っても議会との対立が予想されます。大統領には一定の外交・軍事権限が残るとはいえ、イスラエルへの軍事支援やイランに対する追加制裁では、議会の承認が必要な措置を進めにくくなります。米国の政策運営が不安定になる可能性があります。

こうしたなか、存在感を高めそうなのが湾岸の盟主サウジアラビア。ムハンマド皇太子は米国との安全保障協力を維持しながら、長年対立してきたイランとの関係改善を模索してきました。一方、中東紛争ではイランや親イラン武装組織の攻撃にさらされ、地域の安定は自国の安全保障にも直結します。米国とイスラエルの影響力が弱まれば、サウジが対立する各国の仲介役となり、中東外交の主導権を握る余地が広がるでしょう。

もっとも、サウジが外交の中心になっても、中東の安定化につながるわけではありません。最大の課題はイランとの緊張緩和を進めながら、親イラン勢力の圧力を抑えられるかどうかです。フーシ派はイエメンを拠点に紅海の船舶を脅かしており、サウジの石油施設も攻撃対象となってきました。イランとの外交交渉が進んでも、フーシ派が独自の要求を掲げる以上、和平への道筋は容易ではありません。

それでもサウジが地域の対立を調整し、紅海やホルムズ海峡の安全が確保されれば、海上輸送の正常化も進み原油の供給不安が後退するはず。エネルギー価格や物流費の低下は各国のインフレ圧力を和らげ、企業収益や個人消費を下支えします。サウジの外交手腕は、中東だけでなく国際金融市場の行方を左右することになります。

その変化を見極める手掛かりの一つが、サウジ通貨リヤルの動向です。同国は1ドル=3.75リヤルの固定相場制を採用しており、注目されるのが将来の為替レートを取引するフォワード市場。地政学的な緊張が高まれば、リヤル安への警戒からドル買い圧力が強まることがあります。金利差の影響を考慮してもリヤル安方向への圧力が弱まれば、地域情勢に対する市場の不安が後退した兆候といえるでしょう。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。

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