なぜいるの? 視力の良い人、悪い人。 遺伝や体質との関係は

2016.09.16
by gyouza(まぐまぐ編集部)
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「最近、以前よりも目が見えにくい」「視力が落ちた」と感じることはありませんか?

視力低下の原因はさまざまですが、同じように目を使っていても、眼鏡をかけている人もいれば、眼鏡を必要としない人もいますよね。

この違いって何なのでしょうか。詳しく解説していきましょう。

そもそも視力って何?

まず、私たちの「視力」には3つの種類があることはご存じでしょうか。

視力には、「動体視力」「静止視力」「深視力(しんしりょく)」といった3つの種類があります。そのうち、私たちが一般的な視力検査で測定する視力は「静止視力」で、どれくらい目が見えるかを評価しています。

今回はこの3つの視力のうち、この静止視力(以下、「視力」と表現)についてお話します。

視力が落ちた!これってどうして?

ヒトは生まれたときから大人のような視力はありません。視力は、成長とともに、周りから適切な刺激が加わることで発達します。赤ちゃんは明かりがぼんやりと分かる程度の視力しかないのです。
大人と同じくらいに見えるようになるのは、8歳くらいからといわれています。

そのため、この成長段階で何らかの影響を受けた場合、視力が十分に発達せず、小さいころから眼鏡が必要になることもあります。

元々あった視力が低下してしまう原因として考えられるものは、次の2つが考えられます。 

(1)屈折異常によるもの…近視、遠視、乱視、老眼(老視)など
(2)ほかの目の病気によるもの…緑内障や白内障など

今回はこのなかでも、最近増加傾向にある「近視」についてご説明します。

近視ってどんな状態?

ヒトの目は、よくカメラに例えられます。

目には、レンズの役割を果たす水晶体、見たものを映す網膜があり、このレンズの厚みを変えることでピントを合わせています。しかし、水晶体が自ら動いて調整することはできません。

水晶体の周りにある「毛様体筋(もうようたいきん)」という筋肉が緊張したり、ゆるくなったりすることで水晶体の厚みを調節しているのです。そして、このピントが合わせられなくなると、ものがはっきりと見ることができない状態、つまりは視力が落ちた状態になります。

網膜より前にピントが合ってしまい、遠くの物がよく見えない状態を「近視」といいます。逆に近くにある物にはピントが合い、像が網膜上に結ばれるために見やすくなります。

視力は遺伝する?

両親が眼鏡をかけていたり、視力が悪い家族がいると、「自分も視力が低下してしまうのではないか」と不安に思う方もいることでしょう。

近視になる原因には、大きく分けて「遺伝要因」と「環境要因」があります。

軽度の近視では、環境要因が強いと考えられていますが、一方で強度の近視は遺伝の影響が大きいといわれています。また、遺伝と環境の両方が関係している場合もあります。

このように、遺伝によって視力が低下することがありますが、それだけでなく、近い距離で家族一緒にテレビを見るなど、近視になりやすい生活をする家族の習慣なども影響していると考えられます。

遺伝だけじゃない視力を低下させる生活って?

環境要因は、目の使い方が大きく関わってきます。近くを見ることが多いと水晶体が厚くなり、水晶体での屈折する力が強くなります。この状態が続くと、いつも近くを見るのに楽な目、つまり近視になっていくのです。

また、「仮性近視(調節緊張症)」というものもあります。
これは、パソコンやスマホなど近い物を長時間見続けることで毛様体筋が一時的に異常に緊張して凝りかたまり、近視のようになった状態です。

毛様体筋の緊張をとることで改善はできますが、近視の発症や進行の前段階の場合もあり、注意が必要です。最近、視力が低下している方は、パソコンやスマホなどの影響で仮性近視になっていて、ピント調節がうまくいっていない可能性も考えられます。

視力を低下させないためには?

視力を低下させないためには、正しい姿勢でパソコンや読書をする、長時間目を酷使せずに適度に休憩をはさむ、寝る前に暗くなった部屋でスマホを使用せずに、適度な照明を設置するなど、日々の生活の中で見直せるところもあります。

これらの改善点は、「暗いところでは本を読まない」「姿勢を正しなさい」など、昔からの親をはじめとする大人たちから注意をされたことに通ずるものがありますね。

近年はスマホやパソコンなど、近くで見ることの多い作業が増えています。視力を低下させないために、生活の中で気をつけていかなければいけないことが増えてきたと言えるでしょう。

視力が落ちてきたと感じるのであれば、視力低下の原因は屈折異常だけでなく、目の病気(緑内障や白内障)なども考えられます。そのままにせず適切な診断を受けられるよう、早めに眼科を受診しましょう。

執筆:井上 愛子(保健師、看護師)

 

<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

 

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