【書評】「武士道」の精神で敵を尊敬する日本人、報復する米国人

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なぜアメリカは日本に原爆を投下したうえ、「報復裁判」に及んだのか。無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長である柴田忠男さんは、その謎がとある書籍を読んで氷解したと言います。さらに、国際化社会を生きる日本人が持っておくべき知識も満載というこの1冊。一体どのような書なのでしょうか。

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日本人の遺伝子』渡部昇一・著 ビジネス社

渡部昇一【日本人の遺伝子』を読んだ。日本には武士道がある。中世ヨーロッパには騎士道があった。大きな違いは、騎士道には女性崇拝があるが武士道にはなかった(それがいい悪いではない)。共通するのは「敵を尊敬する」という原則があることだ。堂々と戦った相手に対する礼儀であり共感である。なぜなら、武士も騎士も好きで戦争したからではなく、王さまや主君の命令で戦場に出たからだ。名誉を大事にする精神も共通している。国際法はそもそもを騎士道を基にしている。戦争も国際法に適っていれば、基本的に良い悪いはない。ところが、敵を尊敬するどころか報復に出た国がある

日本に原爆を落とし報復裁判に及んだのがアメリカだ。アメリカはなぜそんなブザマなことをしたのか。この本を読んで氷解した。西洋において騎士道を育んだ中世、それがアメリカにはなかったからだ。発達した封建時代を経験した国は極めて少ない。日本と西ヨーロッパにしかない(わたしはオランダに騎士道はないと思うが)。日露戦争の日本海海戦で、帝国海軍はロシアのバルチック艦隊に完璧な勝利を収め世界を驚かせた。この「奇跡」はどうして起きたのかというと、超弩級の破壊力のある下瀬火薬と、伊集院信管、三六式無線電信機を用いたからである。司馬遼太郎『坂の上の雲』にも詳しく描かれている。

当時の日本の優れた技術力が国を救った。昭和から平成に変わる頃、半導体の成功で日本は世界の理系の先頭を走っていた。湾岸戦争で日本は130億ドルの資金支援とさまざまな物資提供、ペルシャ湾の機雷掃海などの貢献をしたが、派兵はできなかったため世界的な評価が低く(むしろ非難され)日本外交の威信は低下した残念な思い出がある。

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