イヤホンとヘッドホン、耳への影響で選ぶならどっちがいいの?

2016.10.21
by gyouza(まぐまぐ編集部)
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携帯用のオーディオプレーヤーやスマートフォンの普及によって、好きな時に好きな場所で音楽が楽しめる時代になりました。

そんな外出先で音楽を聴くとき、欠かせないグッズといえばイヤホンやヘッドホンですよね。

本人の音の聞こえ方の好みや、使う場所によって使い分けることができるイヤホンとヘッドホンですが、耳に与える影響という点で、この2つに違いはあるのでしょうか?

注意点についてみていきましょう。

耳に与える影響

どちらも使い方に注意をしないと耳に悪い影響をもたらしてしまいます。

どちらの場合でも、大音量で聴いてしまうと出てくるのが難聴のリスクです。耳は、外耳、中耳、内耳の3つの部分からできています。

このうち聴覚に関係しているのは、内耳の「蝸牛(かぎゅう)」です。ここが大きな音の力などが加わることで傷がついて発症します。

イヤホンやヘッドホンを大音量で聞いていたら、「最近何だか聞き取りにくい感じがある」という方もいるのではないでしょうか?

そこで次からは、耳にどんな影響があるのか、イヤホンとヘッドホンの場合に分けてみていきましょう。

耳への影響:イヤホンの場合

イヤホンは耳に近いところで音を出すため、耳へ悪影響を及ぼします。

当然、耳が痛くなるほどの大音量で聞けば難聴になりますが、大きな音でなくても長時間イヤホンを耳に入れて聴くのは望ましくありません。

実際に、若いころに頻繁にイヤホンを使用していた人が、歳をとってから耳に影響を及ぼすのではないかという指摘があります。

ただ、加齢によるものなのか、本当にイヤホンの影響なのかを証明することは難しく、はっきりとした医学的な見解は出ていません。

耳への影響:ヘッドホンの場合

WHOが発表したところによると、12~35歳の若者のうち、半数近くが「ヘッドホン難聴」の危険にさらされている可能性があります。ヘッドホン難聴とは、難聴の一種で、「音響外傷」と呼ばれています。

ヘッドホンは、多少大きな音でも周囲に迷惑をかけずに聴くことができるため、大音量になってしまいがちです。また、たとえ大音量で聴いていなくても、毎日のようにヘッドホンで長時間音楽を聴いていることで、次のような症状がでてきます。

・聞こえが悪くなってきた気がする
・他の人の話が聞き取りにくい
・頭痛を感じる
・耳鳴りがする
・耳が詰まる感じがある
・左右で聞こえ方が違う

このような症状は、最初のうちは音楽を聴いているときや聴いた後にだけ出ます。

また、高い周波数領域から発生するため、最初は高音部だけが聴きづらい程度で、日常会話には影響がありません。そのため、気がつかないうちに進行してしまいます。

だんだん症状が進行していくと、低い周波数でも症状がでてきて、次第に会話が聞き取りにくくなります。

ですから、最近会話が聞きとりにくい、聴力が落ちてきた気がするなど、気がついたときは症状が進行している状態なのです。

イヤホン・ヘッドホン難聴の予防法

予防法その1:音量に注意しよう!

ヒトは、1日に100db(デシベル)以上の音の15分以上聴くと、難聴になりやすいといわれています。

100dbとは、ガード下で電車が通過した時の音と同じくらいです。ここに15分いることを想像しても難聴になることは実感できますね。

65db位ならばリスクは少ないといわれています。目安は、ヘッドホンをしていても会話が聞き取れるくらいの音量。

ヘッドホンの場合は、電車の中で音楽を聴く場合が多く、知らずしらずのうちに音を大きくしてしまいがちです。周囲の会話や車内アナウンスが聴こえるかどうか確かめてみるのもひとつの方法でしょう。

予防法その2:耳を休ませよう!

たとえ大音量でなくても、長時間聴き続けることも耳にとっては良くありません。

耳が疲れてしまい、ダメージを受けるのです。

とくに周波数が高い音、つまり高音ほど、耳に負担がかかります。高い音は空気中だと弱まりますが、ヘッドホンをしているとダイレクトに耳に入りますので、ダメージも大きくなるのです。

ですから、耳はしっかり休めましょう。ヘッドホンで音楽を聴いたら、その3倍の時間の休息が必要です。

さらに、自分の身体が疲れていると思うときは、疲労やストレスがたまっていて、難聴になる確率も高くなります。寝不足などの時も含めて、体調にも気を配りながら、時間と音量を抑えるようにしましょう。

予防法その3:異常を感じたら耳鼻科を受診しよう!

ヘッドホン難聴は、重症化すると完全に治るのが難しいといわれています。耳に何か異常を感じたら、すぐに耳鼻科へ受診しましょう。

早期であれば治る可能性があります。症状が1か月以上経つ前に、ぜひ受診して下さい。

WHOでは「ヘッドホン難聴」と呼んでいますが、これにはイヤホンも含まれています。ですから、どちらがいいかという比較では甲乙つけがたく、どちらもポイントになるのは使い方です。

イヤホンでもヘッドホンでも、大きな音を聴きたいというときは、短時間におさえ耳を休めるようにしましょう。

一方で長時間聴くときには、音を小さくします。

そして、「疲れているときには耳を休ませる」、「異常を感じたら受診する」、この2点は共通の重要事項といえるでしょう。

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師・保育士)
監修:坂本 忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ)

image by: Shutterstock

 

<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

 

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記事提供:Mocosuku(もこすく)

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