揺れるニッポンの屋台骨。中小企業の「2017年問題」が深刻

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今、中小・零細企業が頭を悩ませている深刻な「2017年問題」をご存知でしょうか。現在の日本は、急速に進む高齢化と解決策が打ち出せないでいる少子化で、「深刻な事態になるであろう未来」をただ呆然と受け入れなければならない状況に追い込まれていますが、これに伴って起こる中小・零細企業の廃業が懸念されているのです。今回の無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』では、日本の未来に暗くのしかかる「2017年問題」について様々な角度から考察、さらにその解決策を探っています。

目指せ!第二の創業時代

中小・零細企業群の中で「2017年問題」が大きな注目点となっている。団塊世代(1947~1950年生まれ)の経営者が70歳を迎え始め廃業が急増するとみられているからだ。日本の企業数は約382万社(2014年現在、中小企業庁発表 ※1)。そのうち99.7%が中小・零細企業で成り立っている。

いま中小企業の経営者年齢で最も多いのは2015年時点で66歳、20年前は47歳の働き盛りの世代が社長として最も多かった。数字的にみると、結局20年前の社長がそのまま経営してきたものの、ここへ来て高齢化となり後継者不在で悩める状況にあるというのが2017年問題の核心といえる。

しかも後継者不在は売り上げ規模が小さいほど高い。帝国データバンクの調べだと7割にのぼり、1~10億円未満で約7割10~100億円未満で約6割となっている。また2015年の企業の休廃業、解散件数は2万6,700件で、2009年以降は毎年2万5,000件を超す高水準(東京商工リサーチ調べ ※2)で推移しているのだ。後継者がいなければ廃業に追い込まれるしかないわけである。

後継者不足を乗り越えよう

後継者難の解決で最も望まれているのは、

  1. 自分の身内・家族か親類が継ぐ
  2. 企業ごと第三者に売却──

で、これがうまくいかないと従業員の中から選ぶか廃業ということになる。日本の中小・零細企業は戦後の焼け跡から起業したところが多く、従業員数が数人からせいぜい数十人といった規模で、従業員10人未満が4割以上とされる。

多くは大企業の下請けとして生き残ってきたが、自ら技術開発を行ない独自の製品、部品を作って競争力をつけてきた企業もある。幸い日本経済は1950年代後半から成長軌道に乗り、60~90年は高度成長を謳歌した。その間の70年代に2回の石油危機に見舞われてマイナス成長のいっときもあったが、日本人の勤勉さや忍耐強さなどで乗り越えてきた

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