残業減らせば残業代、子連れ出勤OK…「働き方改革」を始めた2社

 

取引先にも協力要請~モーレツ社員はこうして変わった

働く時間を減らして生産性をあげれば業績は必ず上がる」という中井戸の信念を、開発の現場はどう受け止めたのか。

チームの働き方改革を担ったシステム開発担当部長の領木康人も、多い月は180時間以上も残業していたモーレツ社員だった。「最初は絶対にできないと思っていました」という領木だが、長時間残業が慢性化していたチームの働き方を一から見直すことにした。

これまでは、担当者がシステムを開発し、納品直前にようやくテスト。だが不具合があったり、クライアントの新たな要望があると、その都度作り直しになる。この作っては直しの繰り返しが残業の温床となっていた。

そこで領木は、最初から複数の人間がチェックしながら作っていく方式に変えた。さらにクライアントや別部署の人間にも途中でチェックしてもらう。この「階段方式」で、無駄な作り直しを減らしていったのだ。すると、「作業時間が減ったにもかかわらず営業利益利益率が確実に右肩上がりで効率が良くなったのが業績上も現れています」(領木)。

この日、クライアントとのパイプ役を務めるシステム営業担当の小山田多絵子が向かった先は不動産会社の大京。システムの納入先だ。以前はクライアントを訪ねるのは数ヶ月に1度だったが、今は2週に1度。開発の状況を報告しながら先方の要望もチェックする。大京の数原保一郎さんは「計画に則った仕事をしていこうとお互い様で我々の仕事のスタイルも変わったように思います」と言う。

クライアントが意識を変えた裏には、中井戸の常識破りの手紙があった。それは「弊社社員が休暇取得できるよう、ご配慮いただけますと幸いです……」というもの。社員に休暇を取らせるために、取引先にも協力を求めたのだ。

これを受け、大京ではSCSKへの発注の仕方を見直した。さらに、自分たちも見習って残業削減に取り組み始めたという。

「SCSKの取り組みもあって、残業が月20時間を超えていたのが最近は3分の1くらいになりました。これもSCSKとお付き合いをした成果の一つだと思います」(数原さん)

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