90年代に国策会社があった驚愕事実。誰も知らないVR・AR裏面史

2017.02.06
by まぐまぐ編集部
 

VRで面白いのは眼前の世界と全く関係のない世界が体験できてしまうということである。居ながらにしてニューヨークやパリ、果ては存在しない空想の世界が体験できることがVRならではである。だから、VR用のHMDには高い臨場感の創出、つまり広視野角、高精細度などが要求される。

それに対し、ARは、眼前のリアル世界という文脈に大きく拘束されている。実験室のような小さい実空間では、演出できるコンテンツは限られる。リアルな世界を楽しみたければ、公園や商店街、大学のキャンパスなど、室内にとどまらない広がりが必要である。

技術は屋外(アウトドア)仕様になる。そこでは、コントラストや輝度などが、広視野角や高精細度より大事である。つまり、AR世界の持つ空間的広がりは、VRよりはるかに大きい。AR技術は広域化という独自の目標を持つようになるのである。

ARにとって、幸せだったのは、ちょうどMRプロジェクト終了のころから、携帯電話をはじめとするいわゆるモバイル形の情報システムが一気に普及をはじめたことである。

ARシステムは、そのうちウェアラブルコンピュータへと進化する。ARは「ポケモンGO」や「セカイカメラ」などの新しい技術へとつながっていくことになるのである。

 

著者/廣瀬通孝

東京大学大学院情報理工学系研究科 教授。昭和57年3月、東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。工学博士。同年東京大学工学部講師、助教授、先端科学技術研究センター教授などを経て、平成18年東京大学大学院情報理工学系研究科教授、現在に至る。日本バーチャルリアリティ学会会長、監事などを務める。

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