マツキヨ首位陥落後にも波乱。ドラッグストア業界は5社戦国時代へ

 

さて、首位に躍り出るツルハHDとはどのような企業なのでしょうか。ツルハHDの創業の地は北海道旭川市です。北海道を中心に出店を推し進め、南下する形で東北地方や関東地方などにも進出していきました。5月15日時点では国内に1,755店の直営店を展開しています。

こうした経緯から、ツルハHDは東日本において盤石な地盤を固めることに成功しています。店舗数は、北海道・東北・関東甲信越地方だけで約7割を占めています。一方、中部・関西地方はわずか61店で、静岡県には店舗はありません。西日本における店舗網は手薄な状況です。

ツルハHDはドミナント戦略地域を絞って集中的に出店する戦略)で成長してきました。北海道から南下する形で店舗網を広げ、関東甲信越地方では403店(5月15日時点)を展開しています。そういった状況から考えると、地盤のある関東地方と隣接する静岡県に出店してもおかしくはないはずです。しかし、静岡には現在店舗は存在しません

そういった状況のなか、杏林堂薬局は静岡に77店(4月15日時点)を展開し、存在感を放っていました。ドミナント戦略の考えでは、ツルハHDは静岡に出店してもよかったはずですが、杏林堂薬局の子会社化を狙っていたので、あえて静岡には出店しないようにしていたと考えられます。静岡に出店してしまうと杏林堂薬局と競合してしまい、子会社化するメリットが低下してしまうからです。

ツルハHDは四国地方に地盤を持つ「レデイ薬局」や関東地方に地盤を持つ「くすりの福太郎」を子会社化するなど積極的にM&Aを仕掛けてきた経緯があります。そのため、自社だけで店舗網を拡大するよりも、M&Aで拡大する方が効率的と判断したのではないでしょうか。そして、杏林堂薬局を傘下に収めることで静岡での地盤を固め、西日本で出店網を広げるための足がかりにしたいのではないでしょうか。

ツルハHDは中国地方と四国地方ではある程度の地盤があります。一方、中部・関西地方と九州地方は弱く出店の余地が大きくある状況です。

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関東地方はどうでしょうか。ウエルシアHDは関東地方が地盤でグループ店舗数の過半となる800店以上が同地域に集中しています。また、マツキヨHDも過半となる800店以上が関東地方にあります。ちなみに、ウエルシアHDは郊外での出店が多く、マツキヨHDは都市部の方が多いという違いがあります。いずれにしても、他のドラッグストアも交えて、関東地方では激しい競争を繰り広げている状況です。

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