どうしても年金を出したくない国の呆れた「定年延長」という無策

 

多くの国民も、個性を発揮して会社の営業に貢献しようという考えよりも、言われたとおりに一生懸命働けば、未来は開けるという従来型の思考パターンから抜け出ることができず、日本企業は、労使一体となって転落への道を進んだわけだ。国民がこういった思考パターンから抜けられないのは、すでにあちこちに書き散らしたように、教育の画一化の弊害である。

ちなみに、工業社会型の組織形態をますます強めて、時代に逆行しているのは小学校、中学校、高等学校が最たるもので、今や大学もこの列に加わろうとしている。日本で、最悪のブラック企業は学校といっても過言ではない。

文部科学省は、国民が権力者の奴隷になるような教育を行うように、教育現場に指示を出すことに余念がない。世界標準から見たら完全に時代遅れの工業社会適応型の教育を推し進めている。上の命令をよく守り自分で考えようとしない国民は、権力者にとっては都合がいいが、ポスト工業社会(情報化社会)の企業では使い物にならないことは自明である。権力者は威張っていられて満足かもしれないが、国の経済力はじり貧になって、多くの国民の生活水準は凋落する。それは北朝鮮を見れば分かる。日本は北朝鮮化への道を驀進しているとしか思えない。 最近になって、学校はブラック企業だという認識が広まってきたのであろう。2018年度の教員採用試験の倍率は過去最低に落ち込んだようだ。2000年に12.5倍だったものが、2018年は3.2倍だったという。東京都に限れば、1.8倍だった。授業がない夏休みにも、学校に出てきて勤務時間が終わるまで拘束されるような無駄の極みのような職場に未来はないのは明らかで、向上心のある若者は、先生のようなつまらない職業は選ばないとなるのは当然である。

職場にやってきて、熱意などあってもなくても勤務時間をよく守り、勤勉でありさえすれば、仕事の効率が上がるわけでもないのは当たり前で、イノベーションをもたらすアイデアは、場所も時間も選ばないポスト工業化社会では、単なる勤勉は評価されず、いかに面白いアイデアを出すかだけが勝負となる。

image by: shutterstock.com

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