ダメだとわかっているのに、日本で差別がなくならない独特の理由

 

そうは言っても、もちろんアメリカにも、正論と現実のギャップはあります。同性愛者へのヘイトクライムは日本以上の悲惨さであるし、毎年アカデミー賞では黒人やマイノリティーの俳優がいくつノミネートされるのかが、焦点になります。 それでも、被害者サイドが声高らかに叫びます。不当の差別に対して、許せない、と。この国は、被害者が黙っていない、のかもしれません。 なにより、日本と違うのは超大国だけに、教育が日本ほど行き届いていない。リアルに常識がない人も多い。差別をする人は、心より差別をしている。建前でなく、宗教上の理由もあるのか、心からマイノリティを憎み、軽蔑している層がある。そこが日本とは違います。

日本はすでに国民みんなが「正解」を知っていて、ただ「実行」に移せていないだけのような気もします。「加害者の意識を変えなくては」と良識あるコメンテイターがテレビ番組で発言するのを聞いて、いや、実は、意識はとっくに変わっているのではないのかな、と思うのです。 いまさら、本気で、性的マイノリティーの方や、外国人を「自分たちより下」と本気で思い込んでいるノータリンが今の日本にいるとは考えにくい。それでも、差別は、いまだ存在する。それは「意識」ではなく、「実行」もしくは「事件」として。

世界とは違う日本の差別・ヘイトクライム問題

ということは。ここからは、ただの持論で、何のデータもあるわけでなく、ただの個人的な感想なのですが(メルマガだから、個人的な主観で書いてもいいよね?)、結局、すべての日本人の問題は、「同調圧力」に集約されるんじゃないだろうか、と思ってしまうわけです(あまりに乱暴な感想だけど)。 だって、もし、同性愛者に差別的な発言をしている人を別室に呼んでふたりっきりになって心の内を聞いてみたとして。まったく違うことを言うんじゃないかな、今の日本人。多分。

例えば、知能テストです、と問題を出す。「コンビニのベトナム人店員、日本人店員、失礼な態度をとっていいのはどちらですか、もしくは、どちらにも、とってはいけませんか」の問いに「ベトナム人にはいいです!」と真顔で答える日本人は、今の時代、ほぼゼロではないでしょうか。 世界で起こっている差別問題は、違います。ヘイトクライムは、違います。心から、差別し、ヘイトしている。でも、日本の場合は、心から差別しているわけでも、ヘイトしているわけでもない。では、なぜ、差別がなくならないのか。頭でも、心でも、それがよくないこととわかっていても。 おそらく、「だって…みんながしているから…」と答える人も多いんじゃないでしょうか。ひょっとすると、前述の「年齢」問題や、「英語学習」問題についても、同じかも。

なにかをスタートするのに、いくつになっても遅すぎることはない、と頭ではわかっている。でも、そんな時に限って、必ず、周囲が、社会が、口を挟む。「もう、いい歳なんだから、」と。 英語なんてコミュニケーションの道具、発音なんてテキトーでいい、そう言ってるそばから、どこかの脳医学者が勧める、ベストセラーの英語マスター本が発売されたら、購入してしまう。「みんながいいと言うから…」と。

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