いじめ自殺は夏休み明けに激増。その防止策を邪魔する勢力の正体

 

いじめ法改正での問題

共同宣言文は、私が全て書き上げた。それも思うがままに書いたものだ。

日々数が増えすぎて、もはや数えることよりも対応する事を重視した為に、本当の数字は私もわからないのだが、数えられるだけで、2018年末ごろには6,000人のいじめ相談を受けていた。

その私が、率直にそのまま言葉にしてみたのが、共同宣言文だ。

ただこれにも反対勢力はあった。それは、学校のみの自治権を主張する団体である。例えば、変な校則で児童生徒を縛ることも学校の自治であり、いじめ被害がもはや犯罪であるとなっても、警察との連携を拒み、問題自体をなかったことにしようとする人物らである。

彼らは、いじめ防止対策推進法の改正でもその改正案の座長であった馳浩参議院議員に圧力をかけて、この法を後退させようとした。結果、改正勢力と自死遺族の会などが反発し、この改正案は頓挫したのだ。

ニュース報道では、教員処罰が問題となっているとするが、その実、これを問題としたのは、この反対勢力と各社報道機関のみであった。問題はそれ以外にも大いにあるのだ。

このいじめ防止対策推進法改正は、超党派の議員によって行われようとしていたのであり、2018年末には協議案が出来上がっていた。あとは、立法府としての国会で、議員立法(議員立法は最後の審議となる)として採決を待つというところであった。

この中では、大きく、「いじめの定義の限定解釈などを禁止」「いじめ問題担当者を決める」「学校のみならず地域社会でも取り組む」「放置や加担する教員の処罰」「第三者委員会が身内にならない組織にすること」などが盛り込まれていた。その全てに反対したのが、前述からの反対勢力であり、全国校長会教職員組合全国教育委員会の3団体であった。この勢力については当時、読売新聞が大きく報じた。

いじめの定義の限定解釈は、いじめ自殺の大きな要因として文科省と法務省が総務省から勧告を受けるという異例の指摘があった問題だが、この反対勢力はいじめの定義自体に反対であるので、簡単に言えば、限定解釈をしても構わないとした

いじめの担当者は、主に生活指導主任が行うがそれを明記しようというだけであり、別段、教員の仕事が増える自体とはならないが、当時の文科省担当や校長会のメンバーは、文科省通達で、「生活指導主任を決めなさい」としたのに、それを忘れ、教員の負担が増えるからと言ってこれを妨害した。

学校のみならず地域社会でもいじめの問題に取り組もうというのも、学校の自治権が乱れるからと反対、放置や加担する教員処分についても教員が萎縮すると言って反対、第三者委員会が身内委員会になる問題についても選任が大変だからと言って反対したのだ。

つまり、この反対勢力は、子供の命より大人の保身と面倒くさい仕事を無くせばいいと主張したのだ。

そして、これが学校社会の中心を担う全国的な団体であったということは、もはや学校社会ではいじめの取り組みなどできない事を宣言したのと同然なのだ。こんな腐った社会に、子供たちの命を任せることはできないと思うのは当然だろう。

それでも理想を掲げ、学校を楽しい場に、よく学べる場にしようとしている教員たちもいる。だから、私は、「学校が君にとっての地獄なら、行かなくてもいい」と共同宣言文に書いたのだ。

死にたくなるくらい辛いなら行くなそれは逃げたことにはならない、むしろ、賢者の選択と言えるだろう。学校に行くか行かぬかを決めるのは、児童と生徒の選択であっていい。

学校職員やそれに関わる人たちは、子供達が学校に行きたくなるような環境とよく学べる授業を提供できるように全力を尽くせばいいのだ。

それがわからぬ馬鹿どもが、学校の自治という、もはや時代遅れで、特にいじめにおいては法ができたことによって、一部を否定された利権に、しがみつき、子供達を喰い物にしているというのが、今なのだ。

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