子どもに対して周りの状況に応じた対応や、相手の気持ちを察しての行動を望むのは、少々無理があるとも言えます。経験の絶対量が少ないのですから、何をすれば人に喜んでもらえるのかのかを理解出来ないのも仕方ありません。今回の無料メルマガ『子どもが育つ「父親術」』では、そんな子どもたちの行動の質を上げる方法を紹介しています。
躾――ありがとう」に添えて
子どもが親切にしてくれた時、ちゃんと「ありがとう」と言っていますか?
子どもに「ありがとう」を言うように指導・躾をするなら、まずは親自身が率先してその姿を見せてあげたいところです。親が「ありがとう」を言わずに、子どもに対しては指摘する、という接し方を続けていると…、子どもには「自分のことは棚に上げて、他人に対して指摘ばかりする」という振る舞い方が伝わってしまいますよ。気を付けてくださいね。
さて、今号では親自身が「ありがとう」を言うことよりも一歩進んだ内容をお届けします。普通は、子どもが親切にしてくれた時に「ありがとう」と言いますよね。
─食事の時に、食卓に醤油を持ってきてくれた。
「リュウセイ、ありがとう!」
─遊びに行く時に、行先をメモに書いて残してあった。
「ミユ、ちゃんと行先を書いておいてくれたんだね。ありがとう」
お勧めしたいのは、この「ありがとう」に加えて、「なぜ、ありがたかったのか」を一言添える、という接し方。
─食事の時に、食卓に醤油を持ってきてくれた。
「リュウセイ、ありがとう!今日はお刺身だから、醤油がテーブルにあるとすぐに使えて助かるよ」
─遊びに行く時に、行先をメモに書いて残してあった。
「ミユ、ちゃんと行先を書いておいてくれたんだね。ありがとう。こうしてメモが残っていると、どこに行っているかわかるから、安心して待っていられるんだ」
こんな具合に伝えることで、子どもに対して「自分の行動が、他者にどのような良い影響を与えたのか」の理解を助けることができるのです。
ここまで深い理解を繰り返し体験できた子どもは、「相手の状況を見ながら適切な親切行動を選ぶ」ことのセンスも磨かれていきます。その違いを非常に極端な例えでお伝えすると…、「ありがとう」だけ言っていると、「とにかく醤油を持って行くと喜ばれる!」という誤解を生む恐れがあり、サンドイッチでもパンケーキでも醤油を持ってきてしまう可能性がありますが、「どうして嬉しかったのか」を一言添えていれば、「醤油を使う料理の時は、醤油を持って行くと喜ばれる」と正しくメッセージが伝わるので、サンドイッチの時には子ども自身が頭を働かせてマヨネーズを持ってこれるようになる…、このような違いを生み出す、ということ。
この違いは、かなり高度な「思いやり」スキルそのもの。
- 相手の状況を理解し
- 相手の立場で必要なこと・求められていることを察し
- 適切な援助をしてあげる
こんな発想と、それを実行する能力を育むことができるのです。
子どもに「ありがとう」を言う時に一言添えること、頭の片隅に置いておいていただけたら、私も嬉しいです!
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