女性の「生理」に対してオープンな欧米、タブー視する日本

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欧米諸国では比較的オープンに語られることもある、女性の生理現象。しかし日本では、あまり公に語られることはなく、どこか生理という言葉を発すること自体が恥ずかしい、男性からすると触れてはいけないとさえ思ってしまう感覚があります。毎月人体に起きる現象なのに、なぜなのでしょうか?そんな現状を打破しようという動きも出てくる中、ニューヨーク在住のりばてぃさんが『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』の中で、生理に対する周囲の認識や対応策について、マーケティングと政策の両方から日米を比較してくれました。

様々な物議を醸した“生理バッジ”

大阪の大丸梅田店で今月22日、「女性のリズム」に寄り添う新ゾーンとして「ミチカケ(MICHIKAKE)」を5階に新規オープンしたというニュースを見かけた。周知のとおり日本は切実な少子化問題があるので、せっかくなのでこれについて少し考えてみよう。

報道によると、生理日予測アプリの「ルナルナ」と大丸梅田店の協業だそうで、同アプリが分析する女性の生理やホルモンリズムに合わせた商品を提案するそうだ。

男性で生理に詳しくないという方にも分かりやすい説明がされているので、以下ご紹介すると:

  1. 生理中の「ブルー期」
  2. 生理後の「キラキラ期」
  3. 不安定な時期の「ゆらゆら期」
  4. 生理前の「どんより期」

…となっている。

たった1ヶ月間で、女性の体調と心はこんなにも変化しているのだ。上述の状態は人によるところもあるが、確かにだいたいこんな感じ。ちなみに補足しておくと、生理中の「ブルー期」は必ずしも全員がブルーな鬱々とした気分になる人ばかりじゃない。生理が来た途端に、それまで抱えていた生理前のネガティブな症状であるPMS(月経前症候群)が無くなって急に気分が良くなるという人もいるし、マラソン選手で生理日が最高のパフォーマンスを出せるという人もいる。

生理の期間は3~7日間ほどだが、毎日違う症状(体調の良い日悪い日が混合)という人もいるだろう。また、「ブルー期」どころか、生理期間は寝込むほど酷い人もいる。ブルーな気分どころの話じゃない。さらに、上述した4つの変化は、一般的な女性の体調の変化という認識が基準としてあるため、少し状況が違ったり日程がずれたりすると、それだけで「体調が優れないのかも?」と悩んでしまうこともあったりする。逆に、こうした変化を全く感じないという人もいるだろう。とにかく十人十色という表現がぴったりなのが、生理なのだ。

そして、女性の多くが毎月生理を経験し、悩み多い生理問題なのに、これまで「生理=恥ずかしいこと」という風潮から、生理であることを話すのはタブーという暗黙の了解があったり、生理で体調不良だとしても会社や学校に言えないなど、我慢する人は多い。その結果、生理への理解もあまり進んでこなかった。生理は妊娠・出産にとって非常に重要なので、もう少し気軽に話せる場はあっても良いのかもしれないが、じゃあ、誰にでも話したいわけでもなく、難しい。

そんな状況を少しでも良くしたいと考え、新たな取り組みとして始めたのが、大阪の大丸梅田店の新ゾーンの「ミチカケ(MICHIKAKE)」だったようだ。体調や生理など女性特有の深層的な悩みに寄り添う、従来の百貨店の提案に無かった斬新なアイデアを取り入れたとのこと。

ここまで聞くと、とっても良い取り組みだと感じるだろう。でも、この売り場で実施されたある取り組みに多数の批判があり、ニュースでいろいろ話題となっている。それは、売り場のコンセプトに合わせて、同店の販売スタッフが生理中の時に生理であることを示す“生理バッジ”を付けて売り場に立つというもの。

“生理バッジ”は、生理を擬人化した人気漫画「生理ちゃん」とのコラボレーション企画で、バッジには漫画に出てくるキャラクターの生理ちゃんが描かれている。このバッジは強制ではないそうで、社内でのコミュニケーションツールを目的に10月中旬頃から試験導入していたとのこと。

★ご参考:女性の性と生理にフォーカスした新売り場を大丸梅田店がオープン。スタッフの”生理バッジ”も導入

“生理バッジ”の取り組みには様々な批判があったそうで、フォーブスの記事によると「店員が生理だということは客には関係ない」、「従業員に生理の状態をオープンにさせるような企業はおかしい」などなどだそうだ。

★ご参考:「生理バッジへの批判は覚悟していた」それでも大丸梅田店が店員の生理をオープンにした理由

こうした批判を受けて、生理バッジは1ヶ月ほどで取り止めとなった。

★ご参考:「生理バッジ」取りやめへ 大丸梅田店、意思表示は継続

うーむ。この取り組みについて、皆さんはどう思っただろうか?「体調や生理など女性特有の深層的な悩みに寄り添う」ための売り場を作ったということは、非常に素晴らしいと思うが、確かに「生理バッジ」はやりすぎだったかもしれない。

1つの理由としては、強制ではないとするものほど無言の強制力があるということだろうか。日本人は空気を読むし、しかも自分の意見を言うことを遠慮しがちな人が多い。強制ではないということを社員は了解しているとの認識であったとしても、それは空気を読んでの理解かもしれない。このあたりは現場を仕切る人たちは考えないといけないように思う。

2つ目の理由は、女性だからといって全員に生理があるとは限らないから。その売り場で働く女性や客としてくる女性で、何かしらの理由で生理がないという人はいるだろうし、生理であることをオープンにされることで傷つく人もいるかもしれない。仮にこの職場で働きたいという人がいても生理がない女性は働きにくくなるかもしれない。

生理バッジはどの女性にも生理があって、悩んでいるということが前提の取り組みなので、女性のためにと言いながらも当てはまらない女性を無意識的に排除してしまっているのだ。

3つ目の理由は、女性の体調や生理の悩みをもっとオープンにしたいのであれば、男性も入りやすい環境を作る必要があると思う。女性は当事者なので女性の悩みを理解しやすいけども、性別も違って生理を経験したことない男性にとっては理解するのは難しい。

でも、彼女や奥さんやお母さん、娘といった大切な家族や部下や同僚、友人といった男性の周りにいる女性たちの体調や生理の悩みを心配する男性だったいるだろうし、もしかしたら父子家庭のお父さんで娘にどう話したらいいかとか悩んでいる人もいるかもしれない。

より多くの人たちに生理について理解してもらうには、そういう男性も気兼ねなくお店に入れる環境のほうが良いと思う。でも、タダでさえタブー視され聞きにくい生理について、生理バッジが前面に出ていると男性は聞きにくくならないだろうか?

他にも生理バッジについて思うところはあるけども、結果的には話題になったのは生理問題を考えるきっかけの1つとして良かったのかも?それに大丸梅田店さんとしても、当然このあたりは様々議論された結果の試験的導入だっただろう。

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