原発を止めた裁判官が語る、運転停止を判断した恐ろしすぎる理由

 

2014年5月、樋口氏が福井地裁の裁判長として大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じたさいの判決文にはこう書かれていた。

原子力発電は経済活動の自由に属するが、憲法上、生命を守り生活を維持する人格権の中核部分より劣位に置かれるべきもの

人の生命や生活のほうが、経済活動の自由より大切であると、日本国憲法を根拠に断定した根底には、「原発は被害がでかいうえ、発生確率がものすごく高い」という樋口氏の認識があった。

「3.11の後、原発を止めたのは私と大津地裁の山本善彦裁判長だけ。二人だけが原発の本当の危険性をわかっていた。ほかの人はわからなかった。それだけのことです」

原発はどこも400ガルとか700ガルとかいった低い耐震基準でつくられているが、いまや日本列島全体が、それを上まわる強さの揺れの頻発する地震活動期に入っている。にもかかわらず、経産省・資源エネルギー庁シンドロームにおかされた政府は、電源構成に占める原子力の割合を2030年に20~22%まで復活させるプランを捨てていない。

繰り返しになるが、安倍首相ら政権中枢は、原発のほんとうの怖さをいまだにわかっていない、と断定するほかないだろう。国を滅ぼさないために、憲法改正より先にすることがある。原発ゼロ方針を内外に宣言し、実現のために一歩を踏み出すことである。

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