全員検査をすべきだった
【東京】は2面の解説記事「核心」。見出しから見てみよう。
船内隔離策 割れる評価
「早く帰宅、各国対応すべきだった」
「適切。検疫終わるまでは上陸無理」
《東京》の記事はリードで「2週間にわたる「船内隔離」は正しかったのか」と、率直な問題提起をしている。紹介されているのは、船内隔離は適切だったという岩手医大の桜井滋教授と、むしろ批判する国立病院機構・三重病院の谷口清洲医師、さらに乗客有志で作る「船内隔離者緊急ネットワーク」(千田忠代表)、そして、《毎日》がスペースを取って紹介していた医療ガバナンス研究所の上昌広理事長。
谷口医師は「客船内部の感染が危惧されれば、症状のない日本人は自宅で健康観察、外国人は施設滞在やチャーター機などでの帰国という選択肢もあった」という立場。船内の乗客で作るネットワークは国の対策を、「感染拡大を防げていないばかりか、感染していない健康な乗客の感染や疾病のリスクを高めている」(「緊急要請書」より)と痛烈に批判。そして上氏は、ようやく全員に検査を実施することを決めた政府の対応の遅れを批判し、「みんなが自分が感染しているかどうか不安。乗客の立場に立ち、希望者に早い段階で検査をやるべきだった」と指摘している。
uttiiの眼
船内の乗客がネットワークを組織し、政府に批判的な緊急要請書を出していることには驚いた。《毎日》のところでは触れていなかったが、上氏の検査に関する指摘は、この問題を考える際に誰もが逢着する点だ。なんとしても検査しきるという立場を確立し、そこに注力すべきだったことは間違いない。その結果を見れば、次に何をしなければならないか、ハッキリとした答えが出ていたはずだ。
【あとがき】
以上、いかがでしたでしょうか。乗客のうち、2人の方が亡くなったと速報が入ってきました。80代の男女だそうで、これで、日本で亡くなった日本人は3人ということに。国内での蔓延を阻止するために、もう一度基本に立ち返って手洗いや咳エチケットを徹底しなければなりませんね。
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