日常生活で頭痛等を感じた時、頼りになるのは市販薬。しかし、薬局の棚には多くの鎮痛剤が並んでいて、どれを買えばいいのか迷ってしまう…という経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか? そんな悩みを解消すべく、今回の無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』では著者で科学者のくられさんが、処方箋なしで購入できる痛み止めについて、その使い分け方や選ぶポイント、注意点などを含め詳しく解説しています。
薬局にある痛み止め
頭が痛い、肩が痛い…なんて理由で痛み止めを求めて薬局に行く人が多いでしょう。しかし棚にずらーっと並ぶ薬に、どれがいいんじゃろ…ってなって、有名所をとりあえず買う…という感じの人が多いかと思います。今回は、そうした痛み止めの「成分」について紹介します。
医薬(処方箋医薬品や医薬用医薬品)では、これらのクスリは解熱鎮痛薬と呼び、アントラニル酸系だの、アリール酸系だの、やれプロピオン酸系だの用法と種類も多彩で、医療従事者の頭を悩ますたくさんの種類のある薬剤群です。
しかし、こと薬局で買えるクスリ…という話に限定すると、なんと、わずか数種類の成分しかないため、薬に詳しくない人でも覚えきれるレベルです。
これらの薬局にある内服用痛み止めの大半の成分は古いものなのですが、有効に働く成分も多いので、その薬剤ごとの使い分け、注意点を知っておけば、痛み別に見事に使い分けができるということです。
アスピリン(アセチルサリチル酸)
アスピリンというのはもともとは商標登録であり、本来の名前はアセチルサリチル酸というもので、クスリによっては成分表示名がアスピリンであったり、アセチルサリチル酸であったりするのだが同一成分。
クスリとしては100年以上の歴史のあるもので、完全合成された初めての医薬品として知られています。
アスピリンはダイバッファーが含まれているバファリンでさえ、やはり胃への負担はゼロではなく、胃の弱い人は注意が必要です。アスピリンという名前だが、他の「~ピリン」という薬とは違ってピリン系ではないので、ピリンアレルギーの人でも使うことができる。鎮痛効果は並。
15歳以下の人はライ症候群などの強い副作用を起こす危険性があるため、飲まない方が良いとされているので、お子さんが居る場合は、うっかり飲まないように薬箱に置いておかないほうがいいかもしれません。
アセトアミノフェン
鎮痛作用も解熱作用も高く、さらに副作用らしい副作用もまず無いと良いことづくめなので、十数年前から、アスピリンを押しのけて、解熱鎮痛成分といえばコレ…という定番の位置にあるクスリがこのアセトアミノフェン。
注意が必要なのは飲みすぎ。胃に負担が無いからとガンガン飲んでいると、肝臓が代謝できる限界を超えてしまい急激に毒性を持つため、説明書に書かれた分量以上飲まないように注意が必要です。
また風邪薬にも多く含まれているので、頭痛薬に風邪薬を飲んで…というだけで許容量を超えてしまうこともあるので気をつけましょう。また、酒によって毒作用が出る危険性があがるので、酒との併用は原則やめておいたほうがいい。
とはいえ、それ以外はとりわけ注意は必要の無い薬で安全であり効果もアスピリンより高いという人が多く、作用機構が少し違うので、併せて飲むと効果が高まることもあります。
イソプロピルアンチピリン
ピリン系の痛み止め。かつて風邪薬を飲んで蕁麻疹や紅斑が現れたことがある人は飲むことが出来ないが、それ以外の人には効果の高い薬剤。
イソプロピルアンチピリンが好まれるのは、かつて多く使われていた他のピリン系の薬剤に比べ、アレルギーを仮に起こしてもその作用が激化しにくいという配慮から、最近はピリン系といえばこの成分になっています。
薬局薬の痛み止めの成分の中ではロキソプロフェンに次いで強く、効果は高い。頭痛薬では塩野義製薬のセデスハイが人気なのは、この成分にアセトアミノフェンがさらに入っているため、鎮痛効果がかなり高い。あまり知られていないがセミドン顆粒(全薬工業)というのもあり、セデスハイよりさらに鎮痛成分が多く配合されている。
イブプロフェン
エスエス製薬の「イブ」の代表的な成分で、アスピリンより強い鎮痛効果をもちます。ただし胃への負担も同様にあるので、きちんと説明書の通り食後に服用するなどの注意が必要です。
ごくまれに湿疹やかゆみ、めまい、喘息などの呼吸症状の副作用を起こすことが知られています。喘息持ちや喘息家系の人で呼吸器が弱い人は避けたほうがいいかもしれません。