高知小2水難事故、南国市教育委が遺族に姑息な対応。隠蔽許さず真相究明を

 

解散を求めた3つの理由

1.合意が得られていない

南国市教育委員会がどのように捉えたのかは不明だが、本件の取材に当たる地元記者らもご遺族が合意していないことを知っていた。

つまり、合意していないことは周知の事実であり、直接対話をすれば容易にその意思は確認できたはずなのだ。

昨年11月18日に南国市教育委員会がご遺族に第三者委員会を設置要望に回答する書面には、「第三者委員会の設置につきましては、設置者である教育委員会が主体となって行います」とある。

これについて、多く第三者委員会の設置で問題となる根本的な原因として、「学校の設置者が第三者委員会を設置する」とあるいじめ防止対策推進法(以下「いじめ法」という)を設置のすべての権能が設置者にはあると勘違いしている教育委員会などがあまりに多いという問題がある。

いじめ法立法に当たっては、同時に行われた付帯決議があり、立法の審議もあった。それを紐解けば、第三者委員会の中立公平性の視点は、被害者やご遺族であり、その担保のために、職能団体などからの推薦状によって委員を決めていくことが大切なのだとガイドラインに載っているのだ。

つまり、設置するのは学校や学校の設置者である教育委員会(私立の場合は学校法人など)であるが、その委員の構成についてを独占的に行って良いというものではなく、被害者やご遺族の合意は不可欠であることが内包されているのだ。

これを理解せず、法の上面だけを読んで条例を定めた地方自治体では、いじめ法と条例の乖離が起き、問題を歪めており、全国的に起きている再調査によるいじめ認定が連発しているという異常事態が発生しているのだ。

南国市教委は、いじめ法のきっかけとなった「大津いじめ重大問題」の大津市に人を派遣して学んできたと自慢げであった。

そもそも大津の第三者委員会は他県の専門家を基本としていた。

それなのに、ご遺族が他県の委員で構成してほしいという要望に「他県の委員選定は困難です」と回答したり、「そんな事例は聞いたことがない、他県メンバーとか、ご遺族推薦の事例を示せ」と求められたなど、本来で言えばナンセンスなのだ。一体何を学んだのか疑問しか生じない。

2.メンバー構成の異常

いじめの重大事態ガイドラインには、学校や教育委員会の隠ぺい的な行為が注意として書かれている。

その意図は、第三者委員会のメンバーについては、関係する学校や教育委員会などと直接雇用関係が発生するスクールカウンセラーなどは好ましくないということだ。

隠ぺい問題や事実いじめであるのにいじめを頭から否定する行為への注意を敢えてガイドラインに明記するということは、学校や教育委員会と直接関係がある者のなれあり、かばいあいがこれまであったということを意味している。

今回の、南国市教委の第三者委員会では、南国市のスクールロイヤーが起用されており、これにはご遺族側は反対していた。

ご遺族からすれば、このスクールロイヤーの人間性や実績ではなく、その立場として中立公平性が担保できていないということからの反発である。

この事態のみを取っても、中立公平性が担保された委員会であるとするのはできないだろう。

また、事務局についても、過去の事例からご遺族は南国市教育委員会が事務局を行うことに反対していたが、事務局は断固として教育委員会が行うと強引に進めていた。

過去の事例とは南国市ではいじめ自殺問題で第三者委員会の設置が過去にあり、この委員会では議事録を作成せずに文科省から指導が入った。再調査をすることが妥当と判断されていたが、未だに再調査には応じていない。このやり取りは、相当期間に相当数行われており、誰が見てもご遺族が第三者委員会の構成メンバーに不満を持っていることは明らかだったのだ。

3.設置要項がない

国家に法律があるように、中立公平性を謳い、公正な運営をするには、その組織に一定のルールを定めるのは一般常識の範囲とも言える。

いじめ法においても、第三者委員会の適正な運用をするにあたっては、「設置要項」を定め、委員会などの恣意的な活動を制限するなど一定のルールを定めることが求められている。

しかし、南国市教委が専門性があると認める今回の第三者委員会には、こうした設置要項がないのだ。

一部の関係者によれば、南国市教委自体、この設置要項について何の知識もなかったとのことであった。

もしかすると、過去の南国市でおきた事例でも設置要項なく第三者委員会などの運用したかもしれない。そうであれば、大きな問題であろう。

今回、ご遺族側に新たについた代理人弁護士は、いじめ法立法に関わり、いじめ問題で大きな実績を持つ弁護士さんだ。南国市はこの弁護士さんの指導を仰いで問題解決に当たった方が良いだろう。今後を含め、その方が立法の趣旨にあった教育行政としてのいじめ対策ができるようになるであろう。

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