あえて「言い訳」と表現いたしますが、以下に典型的な先生方のいじめを解決しようとしない言い訳を列挙してみます。
1.私は、いじめを見ていません
2.いじめの証拠がありません
3.本人は明るく元気に過ごしていますから、いじめられているとは思えません
4.その子たちは「やっていない」と言っています
5.その子たちも私の生徒ですし、その子たちも良い子なんです
6.その子たちを叱ったら、もっといじめられますよ
7.お宅での育て方が良くないので、いじめられるんですよ
「これらの言葉をひっくりかえして、学校に解決にのりだしてもらうための交渉がやはり一番大変で、とても難しいんです」と高校生には説明しました。しかし、学校がその気なってくれさえすれば、1日で解決することもよくあります。1年以上も解決しなかった「いじめ」が1日で解決するという、信じられないような逆転劇がおきるのです。くり返しますが、先生方がやる気になればいじめは解決できるのです。解決方法を知らない若い先生しかいないという学校はありません。何人もの教師がいますので、経験や智恵、ノウハウやリーダーシップを持った教師は必ずいます。その先生たちを動かすことが重要です。
そのための方法として、私たちはいじめの状況を時系列で文書にまとめ「いじめの経緯書」をつくることと、学校にしてもらいたい対処を「要望書」という形で文書にすることを勧めています。さらに関係する子供たちが多いときには「生徒の相関図」をつくることも効果的です。このように文書化することで、「いじめ」が見えてくるのです。担任に言葉で2時間説明しても、担任から校長への説明は10分もかからないのが普通です。しかし、文書にして渡すことで、多くの先生がいじめの事実を把握できることになります。そして、何より、担任と話すのではなく、直接、「校長先生」に訴えることを勧めています。
質問してくれた高校生に「学校にいじめは多いの」と逆に質問してみました。「うちの学校ではないと思う。私も友達も聞いたことがないですし。それに、うちの高校でいじめは即退学だから」。なんと、公立の高校でも「いじめは即退学」ということを徹底している高校があるんですね。結局、リーダーの考え方一つでいじめは変わるのです。こんな学校がもっともっと増えてほしいものです。
今年もまもなく終わり、新しい年が幕を開けます。新型コロナの影響はまだ続いておりますし、子供たちにとっては受験の季節ですし、ゆっくりしていられない子も多いと思います。いじめ問題に関していえば、まもなく3学期に入りますので、早めに対処しないといけない季節です。学年が変わってしまうと、クラス替えのお願いもできませんし、学年も変わるからと、いじめに対処することを躊躇する教師も出てきます。保護者の皆様も早めの判断が必要です。何か気になることがありましたら、ご遠慮無く、ご相談いただきたいと思います。
一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明
image by: Shutterstock.com