電気料金が一気に10倍!「連動型プラン」の危険なワナを回避する方法

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SNS上に悲鳴にも似た書き込みが続出するなど、電力価格の高騰が実生活を直撃しています。なぜこのような事態が起きてしまったのでしょうか。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、高騰を招いた原因を解き明かすとともに、新電力の「市場連動型プラン」のデメリットを解説しています。

電気料金が一気に10倍になった理由

こんにちは!廣田信子です。

電力価格が急騰、約10倍近い異常な高値になっている…と報じられています。

電力の自由化が進み、電力は市場で売買されています。日本で唯一、電力の売買ができる市場が「日本卸電力取引所(JEPX)」です(「ジェーイーピーエックス」または「ジェイペックス」と読む)。JEPXの取引データを見ると、2020年12月末までは80円/kWh程度で推移していたスポット市場価格が、1月7日に100円/kWhを超えてから一層、価格上昇に弾みがついて、エリア別で見ると、直近では北海道・東北・関東が251円、その他の地域が226円で推移している…と。

この電力不足は、東日本大震災直後、計画停電等が実施され時期より深刻だといいます。つい、この間までは、電力が余っている…なんていわれていたのに…。

今回の電力価格高騰は、全国的な寒波の到来という事情もありますが、最大の要因は火力発電にあるといいます。日本の電力供給シェアは、現在は原子力が10%となり、自然エネルギーが26%とシェアを伸ばしていますが、それでもなお、総電力の3分の2近い部分を火力発電に依存しています。その火力発電の燃料である液化天然ガス(LNG)不足が電力価格の高騰を招いているというのです。

地球温暖化対策として「脱炭素社会」といったスローガンが国際的にささやかれるようになってきたことも、LNGの需要増加に拍車をかけた…と。LNG燃料を利用した火力発電によって排出される温室効果ガスの量は、石炭の約半分と比較的エコロジーであるため、国際的なLNG需要を押し上げたのです。市場では1月末まで価格が高止まりする可能性があり、2月以降も状況によっては高い電気料金が維持されるとみられている…と。

これに電力会社は打つ手があるのでしょうか。自社で発電設備を持たない新電力にとっては、急激な電力価格変動は死活問題です。実は、高騰分を電力会社が「自腹を切る」ことをせず、消費者へ転嫁する契約もあります。「市場連動型契約」です。2016年に電力自由化が実施されてから、市場連動型契約プランの人気がじわじわと高まっていました。

一般的な従量型契約プランの場合、電気の調達価格が安い時にも消費者にかかる電気料金が一定となるため、電力会社の利ザヤが増加します。が、市場連動型プランは、電気の調達価格に応じて価格が増減するので電気代がお得になりやすいと説明されてきたからです。当然、電力が余り気味の時は、市場連動型の方が得になるからです。その裏にある、大幅な電力価格高騰のリスクについては、積極的に触れられなかったのです。

市場連動型プランを提供している各社は、今回の価格上昇によって「市場連動型プラン」自体への信用失墜、ひいては顧客流出を食い止めるため、特別に割引をしたり、調達に伴う損失を自社でカバーする…といった対応に追われ、その損失に耐えられない会社では、解約手数料を無料とし、自社から他社へ切り替えるよう顧客に促しているケースもあるといいます。

すでに、「市場連動型プラン」で契約していた消費者から、「今月の電気代は、前月の10倍になった」「今月の電気代は10万円コース」といった声が上がっています。

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