民間には優秀なデジタル専門家があまたいるはずのこの国の政府に、デジタル化の指揮をとる人材が決定的に欠けている。
「台湾のコンピューター界における偉大な10人の中の1人」とされるオードリー・タン氏を、35歳でデジタル担当大臣に抜擢した台湾との違いはどこにあるのだろうか。
オードリー・タン氏は昨年12月18日に配信された「NIKKEI STYLE」のインタビューでこう語っている。
「デジタル担当大臣になる前、私は前デジタル大臣・蔡玉玲のもとで1年半、リバースメンターシップという制度を利用して働いていました。リバースメンターシップとは、大臣たちが35歳以下のソーシャルイノベーターを、リバースメンターに任命する制度です。リバースメンターが大臣に新しい方向へと導く一方で、大臣たちは若い人たちに政府がどういう仕事をするのかを教えます。…今は私もリバースメンターと一緒に働いています」
リバースメンタリングは若手が上司に助言する逆方向の支援活動だ。タン氏は前デジタル大臣のもとで政治を学びながら社会革新のために助言を続け、ついには大臣に登用されたのである。
こういう仕組みが日本政府にあるという話は聞いたことがない。おそらくないだろう。デジタルによる社会問題の革新的な解決に取り組もうとする若手をいかにして政官の場に呼び込み、活躍させるか。この課題解決をめざし、台湾の例などを参考に人事システムを変革する必要がありそうだ。
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