なぜ、このBBQグリルは「インドア派」をユーザーにできたのか?

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コロナ禍で会食の機会を減らさざるを得ない今、注目されているのが家族で楽しむアウトドアでの食事です。しかし、もともとインドア派の人では火の扱い方もわからず、躊躇してしまうことが多いのかもしれません。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では、著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、インドア派だった「ノンユーザー」を「ユーザー」に変えたバーベキューグリルメーカーの戦略と戦術を紹介しています。

ノンユーザーからユーザーへ

今号は、世界シェアNo.1のバーベキューグリルメーカーがリリースした電気バーベキューグリルを分析します

● ウェーバー・スティーブン・プロダクツ・ジャパン(以下、ウェーバー)が展開しているIoT機能を搭載した電気バーベキュー(BBQ)グリル「ウェーバーパルス1000

簡単にバーベキューを楽しみたい方をターゲットに「世界シェアNo.1のバーベキューグリルメーカーのノウハウ」に支えられた「手軽にBBQを楽しめる」等の強みで差別化しています。

バーベキュー初心者や二の足を踏むユーザーに対して、「簡単」「手軽」という形でバーベキューに対するハードルが下がるような訴求をすることで、興味をひいてます。

■分析のポイント

コロナ禍でアウトドアで楽しめることに注目が集まっています。国内で起こっていたキャンプブームにも拍車がかかっているようですね。

バーベキューもアウトドアで楽しめるメジャーどころと言えますが、インドア派の人にとっては、ハードルが高いと感じるのではないでしょうか。やはり、不慣れな人にとって、グリルでの調理は、火加減、焼き加減などが難しく、できれば避けたいと思ってしまいますよね。

今回取り上げたバーベキューグリル「ウェーバーパルス1000」はそういった不慣れな方の味方と言えそうです。火加減、焼き加減をアプリが指示してくれるので、経験が無くても、安心して調理ができますからね。

今回のポイントは、いかにして、グリルを使わないユーザー(ノンユーザー)を引き込むかということです。

どの業界でもノンユーザーにユーザーになってもらうことには苦労します。ユーザーとノンユーザーの間には、大きな壁があることが多いためです。そういった意味で、「ウェーバー」は、うまくノンユーザーの興味をひいていると感じます。

「ウェーバー」の事例からノンユーザーのをひきつけるために有効と考えられるのは

1.魅力的な世界を見せる
2.ハードルを下げる

ことがポイントになりそうです。やはり、ノンユーザーからすると、ユーザーが商品を利用しているシーンを見て、魅力的に感じないようでは、ユーザーになる確率は上がりませんね。

「ウェーバー」はグリル調理の魅力を様々なメディアを通じて発信しているようですが、非常に大切な活動と言えるでしょう。グリルで調理する方が増えれば、SNSなどを通して、ノンユーザーの目に触れる可能性も高まります。

また、ノンユーザーが感じているハードルをしっかりと認識しないことには、ノンユーザーをひきつけることは困難です。ハードルを認識できなければ、対策を考えることもできませんからね。

「ウェーバー」はグリルを使ったことが無いノンユーザーに対して、グリルでの調理が「簡単に」「手軽に」できると訴求しています。こういったハードルを下げる活動が、ノンユーザーに振り向いてもらう確率を高めていくことに貢献していくでしょう。

なお、「ウェーバー」は世界シェアNo.1のバーベキューグリルメーカーですが、市場を大きくすることは、No.1の役目とも言えます。市場を大きくできなければ、自社が成長することが難しいためです。

バーベキューグリルはもともとアウトドアで使われるものですが、「ウェーバーパルス1000」を見る限り、よりインドア(家庭)に近づいてきているように見受けられます。市場を大きくする機会と捉えて、インドアに近づいていくという判断をされているのでしょう。そうなると、家庭用の調理器具などとも競合していきそうですね。

今後、「ウェーバー」がどのような存在になっていくのか注目していきたいです。

 

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